腐男子くんは大好きな兄の恋を応援したい。

『ただいま。』
いつも、家に両親はいない。
だから置いてある靴は俺と兄さんとで二足。
なのに、その日はなぜか俺が3足目だった。

(誰か来てるのか??)
兄さんの靴の横に置いてあるのは見知らぬ靴。
両親の物でも、たまに家に来る兄さんの友達の宵くんの物でもない。

いつもなら後で聞けばいっかと自分の部屋に向かう所だが、兄の部屋の扉は少し開いていた。

(少しだけなら覗いても。。。。)
そんな出来心から兄の部屋を覗くと中では衝撃的な事が起きていた。

兄の部屋の中で、見知らぬ男と兄さんがキスしていたのだ。

『っっっっ!?』
声が出そうになって、咄嗟にマスクの上から口を手で押さえる。
兄さんと相手の男の表情を見ればわかる。2人はおそらく恋人だ。
(身内でこんな漫画みたいな事あるんだな。)
俺、瀬名洸はいわゆる腐男子だ。この事は兄さんも知らない。

まぁこの状況を知ってしまった以上、知らないフリをしながら応援するしかない。

(現実だとどんな感じか気になるし。)
それに、これは幼少期の兄さんの大切な時間を奪ってしまった俺ができる唯一の「償い」なのだから。

(もう、これ以上兄さんの時間を俺のために使わせるわけにはいかない。)

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