彼岸花の花嫁〜殺し屋からの花嫁へ〜

結局雑貨屋などに寄り道していたら、6時を回ってしまっていた。

(怒られないことを願わないと…)

急ぎ足で家につく。門をくぐり抜け広い日本庭園を横切り一階の台所に行く。
…つもりだったが台所の前の廊下に叔母が立っている。

「あらあら走り込んでっ。みっともない…」

叔母の真っ赤な唇は開口一番に文句を言う。
なんだよ!とは口に出さないが、嫌な顔をする。それを見て叔母の顔がまた引き攣る。ここ十年くらいこのようなことばかりだ。

「まあいいわ今日は個別に食べるのではなく。夕食を食べにいきますわよ」

叔父は一回毒を盛られている。そこから使用人は台所に近づけないけないようにしているのだ。なので叔父と叔母は夕食を二人で食べに行くか叔母が自分の分と叔父の分を作る。必然的に緋花は自分の分を自分で作るしかない。一ヶ月の夕食をお小遣いでやりくりできるだろうが、緋花はかんざしなどの小物に使いたかった。ところが今日はなんだ。放って置きながら急に一緒に食事とは嫌なものだ。

「なぜでしょうか」

「色々と話さなきゃ行けないからよ」

(何かやら貸してしまったか?)

めんどくさい。名家の出身というこの女は母の妹であり、私の叔母。いい家の出ということがわかる、豊かな体型。痩せすぎず太りすぎずという女性の鏡のような女性。なので口うるさく美を追求してくる。

(逆らっても仕方がないか…)

「わかりました。着替えてきます」

(おじさんも行くよね…もうちょっといい感じの服にしよ)

薄紫色の手鞠が描かれている着物を手に取る。