彼岸花の使い

「おっはよー」

やけに元気で威勢が良い声が耳元で聞こえる。波小路 千代(なみこうじ ちよ)親友であり、良き相談相手だ。緋花の家の事情も知っており、一番信頼をおいている。

「そういえばさ、妖の上家の当主さま変わったらしいよ?それがすごく顔立ちがいいらしくて。」

(どうでもいい…男になんか興味ない。)

一番嫌な話の類だ。

「旧制高等学校の三年生らしーよ。って私の話聞いてる!?興味ないのは知ってるけどさー緋花でも絶対見惚れちゃうと思うよ?」

「ハイハイ。授業始まっちゃうよ?」

「ひどー」

(なんで私がひどいのだか。)

緋花は友達と唯一盛り上がらない話がある。男性についての話だ。

「ハイ。今日は終わり!」

急に教室がガヤガヤと騒がしくなる。緋花はさっと荷物を持ち、教室を出る。普段なら、千代と一緒に買い物などをして帰るが、今日は違う。校門をで、人が多い街に入り、一本の裏路地に入る。薄暗く気味が悪い。一つの茶屋の裏口のドアを開け中に入る。緑茶の少し苦味のある香りと異国の鼻がツンとする異様な香りが混じっている。肩までの髪のながさの初老の男性が出てくる。

「で?呼び出したからにはなんか用があるんでしょ?爺」

緋花は雑に話しかける。

「お前の強さが最大限に生かされる時が来たぞ」

爺も雑に答える。爺は引き取られて一年目に知り合い武道、毒薬、殺し方を教わった。

ーーそう私は今帝都を騒がしている殺人代行人『紅』だ。