彼岸花の花嫁〜殺し屋からの花嫁へ〜

「夜道は一人で歩いてはいけないわよ」

繁華街のように賑わっている場所でも一つ曲がる道を間違えると危険で有る。



深い夜の静けさと血の生臭さ。

三十路手前の女性が女の子を連れて歩く。

…鬼 

鬼のような雰囲気を纏った男性が日本刀を持って親子の前に立つ。

ぐしゅっ

男が女を突き刺し、女はその場に倒れる。

「うっ。何貴方」

凛々しくも妖艶な美しさの女性は刺されても叫び声一つあげない。

少女は急すぎて何が起きているのかわかってないのか。

「お前にはなすことなど一つもない」

地が唸るような声を男は出す。

鬼だ。

男はそう言い女をもう一度突き刺す。

「緋花生きてっ…」

「最後の力を振り絞って」と言うのはこう言うことだ。

少女はずっと黙って大きく震えていたが、咄嗟に走り出す。

ビッシャ

血が滴る。

男が死んだ女をもう一度突き刺した。

咲き誇った血溜まりの彼岸花が満開になる。

「ちっ。ガキに逃げられた」

男は黙って去ってゆく。



殺し屋「紅」の深い夜の記憶である。