「えー、早苗ちゃんてサッカー好きなの?」
「うん。ゴラッソ応援してるよ、うち」
「そうなの? ねえ、今度さ、一緒に観に行こうよ、試合」
ゴラッソはわたしの住んでいる地元の、プロサッカーチームだ。
サッカーに興味はないけど、イケメンが多いし……何より早苗ちゃんと一緒に行きたい。
「え? ゴラッソの?」
「そうそう! クレープ食べながら試合観たいな」
「ゴメン、試合ね……一緒に観に行く人がいるんだよ」
「ええ……誰? 誰と行くの?」
ちょっと困った表情をする早苗ちゃんに、わたしは乗り出すように聞いた。
「中学校の友達。年間パス買ってさ、ずっと一緒に行ってるんだよね……その子と一緒でも良い?」
「いや……そっか。それなら良いや」
乗り出していたカラダを、大人しく自分の席に、引っ込めた。
(2人で行きたかったのに……意味ないじゃん)
「よおし、水橋が席に着いたところで。授業始めるぞー」
はっとした。
早苗ちゃんと2人でサッカーを観に行けるかもと思って……思わず熱くなってしまっていた。先生が教室に入ってきたことに、わたしは気づいていなかった。
みんなの視線が、背中に突き刺さって、すごく痛い――
☆
今日から通常通り。昨日までの午前終了じゃなくて、フツーに夕方まで授業が始まる。
わたしはショックを受けた。
聞いた時、頭の中が真っ白になって、ぎこちなく話を合わせるのが精一杯だった。
「早苗ちゃん、部活なんだっけ」
この一言。この一言が……わたしのこの1年を決定した。
「吹部だよ」
吹奏楽部。柳ケ丘高校の吹奏楽部は、県で1位を常に争っているらしい。詳しくは知らないけど。
わたしにとって強いか弱いかなんて、どうでも良い。
だいじなことは『昼休みにいない』ってこと。
吹奏楽部の人たちは、昼休みに練習をする。だから……昼休みはお弁当を持って教室を出て、部室でみんな集まって食べている。
(……どうしよう)
早苗ちゃんから「吹部だよ」って聞いてから、ずっと顔が熱い。先生の言葉なんて、もう耳に入るわけがない――
(早苗ちゃん、吹部だったんだ……ああ、どうしよう……)
「うん。ゴラッソ応援してるよ、うち」
「そうなの? ねえ、今度さ、一緒に観に行こうよ、試合」
ゴラッソはわたしの住んでいる地元の、プロサッカーチームだ。
サッカーに興味はないけど、イケメンが多いし……何より早苗ちゃんと一緒に行きたい。
「え? ゴラッソの?」
「そうそう! クレープ食べながら試合観たいな」
「ゴメン、試合ね……一緒に観に行く人がいるんだよ」
「ええ……誰? 誰と行くの?」
ちょっと困った表情をする早苗ちゃんに、わたしは乗り出すように聞いた。
「中学校の友達。年間パス買ってさ、ずっと一緒に行ってるんだよね……その子と一緒でも良い?」
「いや……そっか。それなら良いや」
乗り出していたカラダを、大人しく自分の席に、引っ込めた。
(2人で行きたかったのに……意味ないじゃん)
「よおし、水橋が席に着いたところで。授業始めるぞー」
はっとした。
早苗ちゃんと2人でサッカーを観に行けるかもと思って……思わず熱くなってしまっていた。先生が教室に入ってきたことに、わたしは気づいていなかった。
みんなの視線が、背中に突き刺さって、すごく痛い――
☆
今日から通常通り。昨日までの午前終了じゃなくて、フツーに夕方まで授業が始まる。
わたしはショックを受けた。
聞いた時、頭の中が真っ白になって、ぎこちなく話を合わせるのが精一杯だった。
「早苗ちゃん、部活なんだっけ」
この一言。この一言が……わたしのこの1年を決定した。
「吹部だよ」
吹奏楽部。柳ケ丘高校の吹奏楽部は、県で1位を常に争っているらしい。詳しくは知らないけど。
わたしにとって強いか弱いかなんて、どうでも良い。
だいじなことは『昼休みにいない』ってこと。
吹奏楽部の人たちは、昼休みに練習をする。だから……昼休みはお弁当を持って教室を出て、部室でみんな集まって食べている。
(……どうしよう)
早苗ちゃんから「吹部だよ」って聞いてから、ずっと顔が熱い。先生の言葉なんて、もう耳に入るわけがない――
(早苗ちゃん、吹部だったんだ……ああ、どうしよう……)



