『田崎くんっているでしょ? どこの中学校か、早苗ちゃん知ってる?』
『確か、校区外から来てるらしいよ』
『まちがってたらゴメン!』
『ううん。そっか、校区外かー』
『じゃあ頭めっちゃ良いね~』
「ちょっと! 美鈴! もう何時だと思ってんのよ!」
ベッドに寝っ転がって、早苗ちゃんとダラダラとやりとりするこの時間。わたしは大好きだ。守られているような気持ちになって、何だか安心する。まるでお風呂で湯舟に浸かっているみたい。
「分かってるってば!」
階段の下から聞こえてくる、ママの怒鳴り声に、『一応』返事をした。
「早く寝なさい! ママも寝れないでしょ」
「はあい」
ちょっとだけドアに意識を向けて、ママの足音が遠ざかっていくのを確認すると、スマホのロックを再び開けた――
☆
「あ、真実ちゃん!」
学校に向けて自転車を漕いでいると、久しぶりに真実ちゃんを見つけた。赤信号が変わるのを、待っているところだった。
「あ、美鈴ちゃん!」
「なんか、久しぶりな感じ」
あの日以来、早苗ちゃんと一緒に帰るようになっていたわたし。
1年生の時は毎日一緒に帰っていた真実ちゃんとは、すっかり疎遠になった。真実ちゃんから「一緒に帰ろう」って来てくれれば良いのにって、ちょっと腹が立っていたのもある。
どっかでわたしと早苗ちゃんが一緒に帰るのを、見て欲しいのかも知れないなと思った。
「どう? 美鈴ちゃん、友達できた? 同じ中学校の人さ、いなかったでしょ?」
最後の坂道を立ちこぎしながら、真実ちゃんが心配『そう』な表情で、わたしに尋ねた。
「ん? できたよ、友達」
「ウソ、良かったね」
(これで安心? 真実ちゃん……)
「毎日一緒に帰ってるからね」
気にしてないよとばかりに、涼しい顔で答えた。
声をかけに来てくれない真実ちゃんにできる、わたしの唯一の復讐だった。
『確か、校区外から来てるらしいよ』
『まちがってたらゴメン!』
『ううん。そっか、校区外かー』
『じゃあ頭めっちゃ良いね~』
「ちょっと! 美鈴! もう何時だと思ってんのよ!」
ベッドに寝っ転がって、早苗ちゃんとダラダラとやりとりするこの時間。わたしは大好きだ。守られているような気持ちになって、何だか安心する。まるでお風呂で湯舟に浸かっているみたい。
「分かってるってば!」
階段の下から聞こえてくる、ママの怒鳴り声に、『一応』返事をした。
「早く寝なさい! ママも寝れないでしょ」
「はあい」
ちょっとだけドアに意識を向けて、ママの足音が遠ざかっていくのを確認すると、スマホのロックを再び開けた――
☆
「あ、真実ちゃん!」
学校に向けて自転車を漕いでいると、久しぶりに真実ちゃんを見つけた。赤信号が変わるのを、待っているところだった。
「あ、美鈴ちゃん!」
「なんか、久しぶりな感じ」
あの日以来、早苗ちゃんと一緒に帰るようになっていたわたし。
1年生の時は毎日一緒に帰っていた真実ちゃんとは、すっかり疎遠になった。真実ちゃんから「一緒に帰ろう」って来てくれれば良いのにって、ちょっと腹が立っていたのもある。
どっかでわたしと早苗ちゃんが一緒に帰るのを、見て欲しいのかも知れないなと思った。
「どう? 美鈴ちゃん、友達できた? 同じ中学校の人さ、いなかったでしょ?」
最後の坂道を立ちこぎしながら、真実ちゃんが心配『そう』な表情で、わたしに尋ねた。
「ん? できたよ、友達」
「ウソ、良かったね」
(これで安心? 真実ちゃん……)
「毎日一緒に帰ってるからね」
気にしてないよとばかりに、涼しい顔で答えた。
声をかけに来てくれない真実ちゃんにできる、わたしの唯一の復讐だった。



