どこがリアルなんだよ

ドアの外からは、にぎやかな声が廊下に響きわたっていた。

シンとした部屋の中で、窓の外をずっと見ているしかなかった。

(早苗ちゃん……あの2人にところに行ったのかな?)

松中さんたちの部屋へ、押しかけてみたい。

でも、そんなことできるわけない。

(……もうこんな時間じゃん)

カッチカッチと、時計の針の音だけが響く、わたしの部屋。何も考えることができず、スマホのSNSを開いた。

夜の10時。少し寝てしまったらしく、せっかくお風呂に入ったのに、髪はバサバサになっていた。

まだまだ廊下はさわがしく、声が鎮まる気配はない。きっとみんな楽しく過ごすつもりで来てるだろうから。

わたしも、そのつもりだったのに。

(いつ帰ってくるんだろう……)

ただ何も考えずに、真っ暗になった窓の外に視線を向けた。

☆

「……早苗ちゃん」

ドアのノブが静かに回って、早苗ちゃんが入ってきたのは夜の11時前だった。

「ごめんね、美鈴ちゃん」

(なんで? なんでそんなにあっさりと謝るの?)
(謝るだけなの?)

「どこ行ってたの……?」
「え? 裕子ちゃん達のところ」

ちょっと言いにくそうに、早苗ちゃんは小声でつぶやく。感情は入ってないように感じた。

「もう、11時だよ」

不思議と大きな声になりそうだったのを、こらえて言う。「そうだね」と言わんばかりに早苗ちゃんはわざとらしく時計に視線を向けた。

(あれ?)

早苗ちゃんは、ベッドに入る態勢じゃなかった。なぜかバッグに手をかけている。

「何してるの?」
「ゴメン、私……2人と寝るね」
「え? 山本さんたちの部屋に行くってこと?」

一瞬間があいて、「うん」と首を縦にふった。

「ねえ! なんで? 早苗ちゃん、なんで?」

限界だった。楽しいはずの……仲を深めるための団体宿泊。

わたしは感情的に、声を荒げてしまった。