どこがリアルなんだよ

「あ、ゴメン! ぶつかっちゃった……」

夜中までずっとスマホを握ることが増えて、ぼんやりすることが増えた気がした。

お昼休み、ゴミ箱に捨てに歩いていると、松中さんの太ももにぶつかってしまった。

「いったあ」
「……大丈夫? ゴメン」

わざとらしく山本さんが「大丈夫?」って松中さんの太ももに顔を近づける。

(……なによ。謝ってるのに)

目線を合わせてくれない松中さん。わたしは静かに2人の姿を見つめながら、ゴミを捨てに行った。

ボーっとしてしまうのには、もう1つ理由があった。

団体宿泊。

団体行動という名目だけど、言ってしまえば『みんなで仲良くなろう』というものだ。本格的に新学期がスタートする前に、行われる。

今年の2年生の行先は少年自然の家に1泊2日での宿泊になっていた。

☆

『今度さ、団体宿泊あるじゃん』

『うん、あるね』

昨日のやりとり以来、田崎くんからDMが来なくなった。「なんでだろう」「嫌わるようなこと言ったかな」と思いながら、わたしは早苗ちゃんにいつものようにDMを送った。

『わたし宿泊、苦手なんだよね。早苗ちゃんは?』

『うーん、どうかな。そんなにじゃないけど』

『え! そうなんだ! 部屋とかどうなるんだろう?』

『分からないなー。今度先生が言ってくれるんじゃない?』
『あ、ゴメン! お母さんが早く寝ろって』

『ゴメン! 早苗ちゃん! じゃあまた明日ね』

(早苗ちゃんのお母さん……珍しいな)

毎日ずっとDMをやっていても、わたしのママは「早く寝ろ」って言うけど……早苗ちゃんのお母さんが言ったことはなかった。

(ま、良いか。……寝れないな)

団体宿泊のことを考えると、どうしても眠れない。そもそもいつもよりDMのやりとりも早く終わったし。

(部屋とか……どうなってるんだろ)

せっかく早く寝ることができるのに、結局電気を消してからずっとスマホの画面を見つめていた。