どこがリアルなんだよ

帰りたい。

でも絶対に表情に出しちゃいけない。

新しいクラスになって、初めての昼休み。

ガガガ……と机を動かす音が、背中に響く。いたるところから聞こえてくる明るい声に、わたしは一切気がついてはいけない。

1人、机をそのままに……わたしだけが取り残されていく。

(はあ……帰りたい)

きっとぐるりと教室を見渡せば、みんなわたしを見てるんだと思う。「やってるなあ」って。「ああならなくて良かったって」

自分の部屋にいるかのように、落ち着いて鞄からお弁当を取り出した。涙が出るのを、ぐっとこらえながら。

「あっはっはっ!!」

松中さんと山本さんが笑う声が、なぜだかいつもより大きい気がした。

きっとそれは……わたしの背中に向かって、笑っているからだ。

☆

「ねえ! 美鈴ー」

まくらに顔を埋めたわたしに、下からママの声が響いてきた。

(……)

「ねえ、起きてるんでしょ? ちょっと来て」

ぐすっと鼻をすすって鏡を見ると、情けないほど目が真っ赤になっていた。

「何? 今……動画観てたんだけど」

鼻声になっているのと、目が真っ赤なのは、動画を観てるからってことにした。

「そう。お弁当。けっこう残してるけど……何かあった?」
「いや? 分からないけど、お腹いっぱいだったから」
「ふうん。それなら良いけど……明日はどうする?」
「どうするって?」
「量よ、量。こんなに残すなら、半分くらいにしようか?」

悩むフリをして、わたしは「そうして」と答えた。もう答えは決まっているのに。1年間、ずっとお弁当は半分でいいのに。

部屋に戻ると、急にイライラしてきて、枕を壁に投げつけた。