「忌々しい龍め、まとめて滅ぼしてくれる」
寿栄は黒い結界を張ってその斬撃を受け止める。
「寿栄。おまえはなぜ龍族、いや、霊獣を滅ぼそうとする!」
「なぜ? 獣の分際で人間と同じように霊力を扱う生意気な種族を罰するのは当然のことだろう? 俺はすべての霊獣を殺し、この国の王――いや、この世界の神になるのだ」
寿栄が呪術で作った三本の黒い刃を一斉に蒼真様へ向ける。蒼真様は剣を振り、その刃を消し去った。
「させるものか!」
蒼真様が剣に雷をまとわせ、寿栄に切り込む。蒼真様の得意の雷の呪術だ。雷鳴が轟く音と共に苛烈な雷撃が寿栄の体にぶつかる。
「ぐあああっ!」
焼け焦げた寿栄の体が地面に倒れる。
「す、すごい……」
あまりの威力に感嘆の声を漏らした時だった。
「生ぬるいな。そんな術で俺を殺せるとでも?」
蒼真様の背後に、倒れたはずの寿栄が無傷で立っていた。寿栄が腕を一振りすると、無数の刃が生まれて、一斉に蒼真様を突き刺そうとする。
「蒼真様!」
蒼真様がすぐさま振り返り、結界の印を結んだ。私も同時に祈り手をつくる。すると通常よりもはるかに速く結界が展開し、呪術でつくられた刃を粉々に砕いた。
ひょっとして、私の祈りの効果で結界の展開が速くなったのかもしれない。
きっとそうだ。自分を鼓舞するようにそう言い聞かせて、私はそのまま祈り続ける。
目を閉じて意識を研ぎ澄ませると、周囲の霊力が炎のような気配をしているのを感じ取れた。
青い大きな炎が蒼真様。黒く渦巻いている炎が寿栄。蒼真様の炎を体の負担にならない程度に少し強く、寿栄の炎を弱めるように頭で思い描く。
斬撃の音が響き渡る中、集中して祈っていると、激しい雷鳴が聞こえた。目を開けると、寿栄が焼け焦げた左腕を押さえながら苦悶の表情で蒼真様と距離を取っていた。
「くそっ、なぜ術の威力が」
寿栄が警戒しながら辺りを見回す。すると、寿栄の目が私を捉えたような気がした。ハッとする。祈ることに没頭していて、姿をうまく隠せていなかった。
「もしや、おまえの仕業か? 本当に忌々しい娘だ」
寿栄が今度は黒い刃を放ちながら私を捕まえようと腕を伸ばす。
「朋里!」
蒼真様が雷撃で刃を砕く。
「朋里、しっかり捕まっていろ!」
私は豆豆の首にしがみつく。豆豆は猛スピードで空を駆け、蛇のように伸びる寿栄の腕から逃れることができた。
「おまえ、体の中に大蛇を取り込んでいるな。霊獣はすべて滅ぼすのではなかったのか」
大蛇は血と霊力を食らう蛇の霊獣だ。
霊獣を体内に取り込み、その力を得る呪術はあるが、禁術に指定されているはず。
「便利な道具を利用してなにが悪い。人間様が有効に使ってやっているのだ。むしろ感謝をしてほしいくらいだ」
「ひどい……! 霊獣は道具じゃないわ!」
寿栄の身勝手な言い分に我慢ならず、私は空から叫んだ。
「ああ、朋里の言う通りだ。霊獣はこの国の大切な民。それなのに禁術で霊獣の力を無理やり引き出すなど……おまえのような非道な人間を玉座に置いておくわけにはいかない。覚悟しろ、寿栄!」
「穢らわしい獣が……偉そうに俺に指図するな!!」
ふたりが再び刃を交える。
寿栄の黒い刃と蒼真様の雷が、目にも留まらぬ速さで入り乱れている。私めがけて飛んでくる刃もあるが、それは豆豆がしっかり避けてくれる。
寿栄は黒い結界を張ってその斬撃を受け止める。
「寿栄。おまえはなぜ龍族、いや、霊獣を滅ぼそうとする!」
「なぜ? 獣の分際で人間と同じように霊力を扱う生意気な種族を罰するのは当然のことだろう? 俺はすべての霊獣を殺し、この国の王――いや、この世界の神になるのだ」
寿栄が呪術で作った三本の黒い刃を一斉に蒼真様へ向ける。蒼真様は剣を振り、その刃を消し去った。
「させるものか!」
蒼真様が剣に雷をまとわせ、寿栄に切り込む。蒼真様の得意の雷の呪術だ。雷鳴が轟く音と共に苛烈な雷撃が寿栄の体にぶつかる。
「ぐあああっ!」
焼け焦げた寿栄の体が地面に倒れる。
「す、すごい……」
あまりの威力に感嘆の声を漏らした時だった。
「生ぬるいな。そんな術で俺を殺せるとでも?」
蒼真様の背後に、倒れたはずの寿栄が無傷で立っていた。寿栄が腕を一振りすると、無数の刃が生まれて、一斉に蒼真様を突き刺そうとする。
「蒼真様!」
蒼真様がすぐさま振り返り、結界の印を結んだ。私も同時に祈り手をつくる。すると通常よりもはるかに速く結界が展開し、呪術でつくられた刃を粉々に砕いた。
ひょっとして、私の祈りの効果で結界の展開が速くなったのかもしれない。
きっとそうだ。自分を鼓舞するようにそう言い聞かせて、私はそのまま祈り続ける。
目を閉じて意識を研ぎ澄ませると、周囲の霊力が炎のような気配をしているのを感じ取れた。
青い大きな炎が蒼真様。黒く渦巻いている炎が寿栄。蒼真様の炎を体の負担にならない程度に少し強く、寿栄の炎を弱めるように頭で思い描く。
斬撃の音が響き渡る中、集中して祈っていると、激しい雷鳴が聞こえた。目を開けると、寿栄が焼け焦げた左腕を押さえながら苦悶の表情で蒼真様と距離を取っていた。
「くそっ、なぜ術の威力が」
寿栄が警戒しながら辺りを見回す。すると、寿栄の目が私を捉えたような気がした。ハッとする。祈ることに没頭していて、姿をうまく隠せていなかった。
「もしや、おまえの仕業か? 本当に忌々しい娘だ」
寿栄が今度は黒い刃を放ちながら私を捕まえようと腕を伸ばす。
「朋里!」
蒼真様が雷撃で刃を砕く。
「朋里、しっかり捕まっていろ!」
私は豆豆の首にしがみつく。豆豆は猛スピードで空を駆け、蛇のように伸びる寿栄の腕から逃れることができた。
「おまえ、体の中に大蛇を取り込んでいるな。霊獣はすべて滅ぼすのではなかったのか」
大蛇は血と霊力を食らう蛇の霊獣だ。
霊獣を体内に取り込み、その力を得る呪術はあるが、禁術に指定されているはず。
「便利な道具を利用してなにが悪い。人間様が有効に使ってやっているのだ。むしろ感謝をしてほしいくらいだ」
「ひどい……! 霊獣は道具じゃないわ!」
寿栄の身勝手な言い分に我慢ならず、私は空から叫んだ。
「ああ、朋里の言う通りだ。霊獣はこの国の大切な民。それなのに禁術で霊獣の力を無理やり引き出すなど……おまえのような非道な人間を玉座に置いておくわけにはいかない。覚悟しろ、寿栄!」
「穢らわしい獣が……偉そうに俺に指図するな!!」
ふたりが再び刃を交える。
寿栄の黒い刃と蒼真様の雷が、目にも留まらぬ速さで入り乱れている。私めがけて飛んでくる刃もあるが、それは豆豆がしっかり避けてくれる。
