リスナーさんからもらうコメントは基本的にチェックするようにしている。独特の文化を持つニッチな界隈だからこそルールをきちんと守ってくれるリスナーがほとんどで、全年齢対象を掲げるうちのグループのカラーもあって、コメントも基本的には微笑ましいものがほとんどだ。
しかし。
「またかあ…」
以前から俺を推してくれている、よく知るリスナーのアイコンを見つけ、眉を顰めてしまう。
比較的活動初期から応援してくれていた。新曲を上げる度、ショート動画をアップする度、いち早く応援コメントをくれていた。
それがいつからか、コメントの内容が不穏なものに変わってきていた。
「私だけのミズキ」「なんでも知ってるよ♡」「愛してるって素直に言えないところも愛しいんだよね、帰ってきたらまた愛を囁いてね」
まるで恋人同士のような。
うちのスタッフさんは優秀なので気づき次第削除してくれているし、巡回時に俺が気づいて消したこともある。幸いにも他のリスナーさんは反応しないようにしてくれているが、ほっこりしたコメント欄に突然不穏なものを感じた人も少なくないに違いない。
ケイちゃんや事務所の社長、スタッフさんたちにも、何かあったらすぐに教えて、念の為身の回りには用心するようにと言われていたが、今まではコメント欄に現れて、妄想としか言いようのない作り話を垂れ流すだけのことだったので特段実害があったわけでもない。
最初こそ狼狽えたが、これでも配信者として二年やってきて、少しずつ耐性もついてきた。
世の中には、いろんな人がいる。ある程度の誹謗中傷や偶像崇拝は覚悟の上で表に立っている。
しかし、今日のコメントは流石に看過できないものだった。
『ミズキの家発見♡わたしに言わなかったのは、サプライズだったのかな?みつけちゃった♡』
背筋がゾッとして、思わずカーテンを開けて窓の外を見る。
コメントは二時間前、外は真っ暗で誰かいるかぱっと見ではわからない。しかしそれ以上探すことを脳が拒否する。俺はザッとカーテンを戻すと、窓の下にしゃがみこんだ。
本当に自宅を特定されたのか、まだわからない。もしかしたら妄想なのかもしれない。
けれど、その書き込みの真偽がどちらであれ、俺に恐怖を与えるのに十分だった。
怖い。
“ミズキ”ではなく、“綾谷瑞季”を暴かれるのは、俺が俺として生きていく場所を失ってしまいそうな気がして、立っていられなくなるような恐怖を覚えた。
ガタガタと震え出す体をぎゅっと抱きしめる。
ーー電話しなきゃ。
そう思い立ったのは少し経ってからで、震える指で選んだのは、無意識だった。
しかし。
「またかあ…」
以前から俺を推してくれている、よく知るリスナーのアイコンを見つけ、眉を顰めてしまう。
比較的活動初期から応援してくれていた。新曲を上げる度、ショート動画をアップする度、いち早く応援コメントをくれていた。
それがいつからか、コメントの内容が不穏なものに変わってきていた。
「私だけのミズキ」「なんでも知ってるよ♡」「愛してるって素直に言えないところも愛しいんだよね、帰ってきたらまた愛を囁いてね」
まるで恋人同士のような。
うちのスタッフさんは優秀なので気づき次第削除してくれているし、巡回時に俺が気づいて消したこともある。幸いにも他のリスナーさんは反応しないようにしてくれているが、ほっこりしたコメント欄に突然不穏なものを感じた人も少なくないに違いない。
ケイちゃんや事務所の社長、スタッフさんたちにも、何かあったらすぐに教えて、念の為身の回りには用心するようにと言われていたが、今まではコメント欄に現れて、妄想としか言いようのない作り話を垂れ流すだけのことだったので特段実害があったわけでもない。
最初こそ狼狽えたが、これでも配信者として二年やってきて、少しずつ耐性もついてきた。
世の中には、いろんな人がいる。ある程度の誹謗中傷や偶像崇拝は覚悟の上で表に立っている。
しかし、今日のコメントは流石に看過できないものだった。
『ミズキの家発見♡わたしに言わなかったのは、サプライズだったのかな?みつけちゃった♡』
背筋がゾッとして、思わずカーテンを開けて窓の外を見る。
コメントは二時間前、外は真っ暗で誰かいるかぱっと見ではわからない。しかしそれ以上探すことを脳が拒否する。俺はザッとカーテンを戻すと、窓の下にしゃがみこんだ。
本当に自宅を特定されたのか、まだわからない。もしかしたら妄想なのかもしれない。
けれど、その書き込みの真偽がどちらであれ、俺に恐怖を与えるのに十分だった。
怖い。
“ミズキ”ではなく、“綾谷瑞季”を暴かれるのは、俺が俺として生きていく場所を失ってしまいそうな気がして、立っていられなくなるような恐怖を覚えた。
ガタガタと震え出す体をぎゅっと抱きしめる。
ーー電話しなきゃ。
そう思い立ったのは少し経ってからで、震える指で選んだのは、無意識だった。

