相談所からの帰り道、私は自然とあのバス停へ足を向けていた。
初めて如月と出会った、あの古びたバス停。
ベンチに腰を下ろし、そっと声をかける。
「如月……さっきはありがとう」
足元に伸びる影へ視線を落とした。
「如月が助けてくれなかったら、きっと…私だけじゃ、立花さんたちを助けられなかったと思う」
すると、私から伸びていた影がゆっくりと離れ、隣のベンチに腰を下ろした。
「だから…、本当にありがとう」
「私だけでは、彼女たちを助けることはできなかっただろう」
如月は穏やかに言葉を続けた。
「りんが私のために相談所へと足を踏み出してくれたこと。それが、今回彼女たちを助けることにも繋がったのだと思う」
そして、少し間を置いて。
「よく頑張ったな、りん。私たち影のこと、主のことを考えてくれて、ありがとう」
その言葉に、胸の奥から何かが込み上げてきた。
本当は、ずっと不安だった。
如月の本当の主を探すと決めたものの、何をどうすればいいのかも分からなかった。
それに、そもそも私が如月に協力すると言い出したのは、自分のためだったのではないか。
影のある普通の生活を送りたかったから。
周りの目を気にせず、生きていきたかったから。
そんな自分の願いを叶えてくれた如月に、何かを返さなければと思っただけなのではないか。
そう考えるたびに、胸の奥に小さな罪悪感が生まれていた。
でも、最初の理由が自分のためだったとしても、今の気持ちまで嘘になるわけじゃない。
如月と出会って、私の世界は確かに変わった。
それは、ただ影を手に入れたからだけじゃない。
誰かを信じることも、誰かのために行動することも、如月と出会わなければ、きっと知らないままだった。
そして今は、心から願っている。
如月に、本当の主さんと再会してほしい。
たとえその日が、如月との別れを意味するのだとしても。
この願いだけは、誰かに言われたからでも、何かを返したいからでもない。
私自身が、そうしたいと思っているのだ。
「如月…。あの日、声をかけてくれてありがとう」
隣に座る彼へ、そっと笑いかけた。
「絶対に見つけるからね。本当の主さんのこと。…改めて、約束っ」
「ああ…。改めて、君に忠誠を誓おう。我が現の主、りんよ」
その声は、あの日と変わらず穏やかだった。
私たちは、まだ出会ったばかりだ。
この先にどんなことが待っているのか、今の私には分からない。
けれど、少なくとも今、この出会いを間違いだったとは思わない。
何が正解なのか、まだ分からなくても、私たちの答えは、これから一緒に探していけばいいのだから。
初めて如月と出会った、あの古びたバス停。
ベンチに腰を下ろし、そっと声をかける。
「如月……さっきはありがとう」
足元に伸びる影へ視線を落とした。
「如月が助けてくれなかったら、きっと…私だけじゃ、立花さんたちを助けられなかったと思う」
すると、私から伸びていた影がゆっくりと離れ、隣のベンチに腰を下ろした。
「だから…、本当にありがとう」
「私だけでは、彼女たちを助けることはできなかっただろう」
如月は穏やかに言葉を続けた。
「りんが私のために相談所へと足を踏み出してくれたこと。それが、今回彼女たちを助けることにも繋がったのだと思う」
そして、少し間を置いて。
「よく頑張ったな、りん。私たち影のこと、主のことを考えてくれて、ありがとう」
その言葉に、胸の奥から何かが込み上げてきた。
本当は、ずっと不安だった。
如月の本当の主を探すと決めたものの、何をどうすればいいのかも分からなかった。
それに、そもそも私が如月に協力すると言い出したのは、自分のためだったのではないか。
影のある普通の生活を送りたかったから。
周りの目を気にせず、生きていきたかったから。
そんな自分の願いを叶えてくれた如月に、何かを返さなければと思っただけなのではないか。
そう考えるたびに、胸の奥に小さな罪悪感が生まれていた。
でも、最初の理由が自分のためだったとしても、今の気持ちまで嘘になるわけじゃない。
如月と出会って、私の世界は確かに変わった。
それは、ただ影を手に入れたからだけじゃない。
誰かを信じることも、誰かのために行動することも、如月と出会わなければ、きっと知らないままだった。
そして今は、心から願っている。
如月に、本当の主さんと再会してほしい。
たとえその日が、如月との別れを意味するのだとしても。
この願いだけは、誰かに言われたからでも、何かを返したいからでもない。
私自身が、そうしたいと思っているのだ。
「如月…。あの日、声をかけてくれてありがとう」
隣に座る彼へ、そっと笑いかけた。
「絶対に見つけるからね。本当の主さんのこと。…改めて、約束っ」
「ああ…。改めて、君に忠誠を誓おう。我が現の主、りんよ」
その声は、あの日と変わらず穏やかだった。
私たちは、まだ出会ったばかりだ。
この先にどんなことが待っているのか、今の私には分からない。
けれど、少なくとも今、この出会いを間違いだったとは思わない。
何が正解なのか、まだ分からなくても、私たちの答えは、これから一緒に探していけばいいのだから。
