「立花さん! 大丈夫ですか…!」
急いで駆け寄り、彼女のそばにしゃがみ込んだ。
「私たちは、縁相談所の者です」
そう伝えると、立花さんは涙に濡れた顔を上げた。
私は彼女の背中にそっと手を添えた。
「うぅ…っ、ごめんなさ、い…っ。わたしの不注意で…っ、なつき…っ」
何と声をかければいいのか分からず、ただ彼女の背中をさすり続けた。
その後、少し落ち着いた立花さんを縁相談所へ案内し、事情を聞くことになった。
彼女も私と同じように、中学校に入るまで影がなかったらしい。
そんな彼女のために、家族が高額なお金を払い、影を迎え入れたのだという。
「私の影は、なつきっていうんです」
立花さんは膝の上に置いた手を見つめながら、話し始めた。
「会話はできないんですけど、私の言葉は分かるみたいで…。頷いてくれたり、そばに寄り添ってくれたりして…」
なつきのことを話す彼女の表情は、どこか穏やかだった。
「家族や友達には言えないことも、いつもなつきに聞いてもらっていました。外に出るのが怖かった私を…変えてくれたんです」
けれど、そう言った途端、彼女の声が震え始めた。
「まだ、たくさん感謝を伝えたかったのに…。話したいことだって、いっぱいあったのに…っ」
「大切にしなきゃ…いけなかったのに……っ」
「立花さん…」
「なのに…っ、なつきは…もう、私のこと……覚えてないのかな……っ」
その言葉に、胸が締めつけられる。
「忘れたく…ないのに…っ」
彼女は顔を覆い、声を詰まらせた。
私と、同じだ。
影がないというだけで、外へ出ることさえ怖くなる。
そんな毎日を変えてくれた、大切な影。
立花さんにとってのなつきさんは、私にとっての如月と同じような存在なのかもしれない。
そのとき、羽月さんが静かに口を開いた。
「大丈夫ですよ、立花さん。なつきさんは、必ず私たちが取り戻します」
その言葉に、立花さんは涙を拭いながら、小さく頷いた。
けれど、私は先ほどの言葉が気になっていた。
『忘れたくない』
なつきさんが自分を覚えていないかもしれない。その不安は分かる。
でも、どうして彼女は、自分が忘れてしまうことまで恐れているのだろう。
その疑問が、胸の奥に引っかかっていた。
急いで駆け寄り、彼女のそばにしゃがみ込んだ。
「私たちは、縁相談所の者です」
そう伝えると、立花さんは涙に濡れた顔を上げた。
私は彼女の背中にそっと手を添えた。
「うぅ…っ、ごめんなさ、い…っ。わたしの不注意で…っ、なつき…っ」
何と声をかければいいのか分からず、ただ彼女の背中をさすり続けた。
その後、少し落ち着いた立花さんを縁相談所へ案内し、事情を聞くことになった。
彼女も私と同じように、中学校に入るまで影がなかったらしい。
そんな彼女のために、家族が高額なお金を払い、影を迎え入れたのだという。
「私の影は、なつきっていうんです」
立花さんは膝の上に置いた手を見つめながら、話し始めた。
「会話はできないんですけど、私の言葉は分かるみたいで…。頷いてくれたり、そばに寄り添ってくれたりして…」
なつきのことを話す彼女の表情は、どこか穏やかだった。
「家族や友達には言えないことも、いつもなつきに聞いてもらっていました。外に出るのが怖かった私を…変えてくれたんです」
けれど、そう言った途端、彼女の声が震え始めた。
「まだ、たくさん感謝を伝えたかったのに…。話したいことだって、いっぱいあったのに…っ」
「大切にしなきゃ…いけなかったのに……っ」
「立花さん…」
「なのに…っ、なつきは…もう、私のこと……覚えてないのかな……っ」
その言葉に、胸が締めつけられる。
「忘れたく…ないのに…っ」
彼女は顔を覆い、声を詰まらせた。
私と、同じだ。
影がないというだけで、外へ出ることさえ怖くなる。
そんな毎日を変えてくれた、大切な影。
立花さんにとってのなつきさんは、私にとっての如月と同じような存在なのかもしれない。
そのとき、羽月さんが静かに口を開いた。
「大丈夫ですよ、立花さん。なつきさんは、必ず私たちが取り戻します」
その言葉に、立花さんは涙を拭いながら、小さく頷いた。
けれど、私は先ほどの言葉が気になっていた。
『忘れたくない』
なつきさんが自分を覚えていないかもしれない。その不安は分かる。
でも、どうして彼女は、自分が忘れてしまうことまで恐れているのだろう。
その疑問が、胸の奥に引っかかっていた。
