「いや〜、まさか瀬尾ちゃんと一緒に働くことになるとはな〜」
「私も…まさか、こんなことになるなんて」
縁相談所で働くことになった翌日。私たちは早速、依頼の調査に向かっていた。
依頼人は、中学二年生の立花帆乃香さん。
突然影を失い、直前に会った同級生の男の子に奪われたのではないかと疑っているらしい。
私たちは、その男の子の自宅近くで様子をうかがっていた。
「あの子やな〜」
やがて家から出てきた男の子を見て、多田くんが呟いた。
「ん〜、普通の影に見えるけどなぁ」
私も目を凝らす。
「…いや、二つある」
「え?」
「よく見ると、影二重になってるときがある」
「まじか! 瀬尾ちゃん、よう見つけたな〜」
多田くんは感心したように笑った。
「ほんなら、取り戻してみよか。俺が気を逸らすから、影がずれたら踏んでみて」
「うん…!」
多田くんが男の子とすれ違いざまにぶつかりそうになると、その足元で影がわずかにずれた。
けれど、踏もうとした瞬間には元に戻ってしまった。
「ごめん、取れなかった……」
「気にせんでええよ。また方法考えよ」
そう言って、多田くんは笑った。
そのときだった。
「返して…!!」
前方から、女の子の声が響いた。
そこにいたのは、資料で見た立花さんだった。
「私の影返してよ…っ!」
「は? 俺の影、1つしかないでしょ?」
男の子は面倒くさそうに答えた。
「言いがかりはやめてよ。そもそも、元はなかったんだから、元に戻っただけでしょ」
「…っ」
立花さんは言葉を失った。
彼はそんな彼女を気に留める様子もなく、再び歩き出す。
女の子が伸ばしかけた手は、彼には届かなかった。
彼女はその場にしゃがみ込んだ。
「…うぅっ…」
小さく震える肩を見て、私は思わず駆け出していた。
「私も…まさか、こんなことになるなんて」
縁相談所で働くことになった翌日。私たちは早速、依頼の調査に向かっていた。
依頼人は、中学二年生の立花帆乃香さん。
突然影を失い、直前に会った同級生の男の子に奪われたのではないかと疑っているらしい。
私たちは、その男の子の自宅近くで様子をうかがっていた。
「あの子やな〜」
やがて家から出てきた男の子を見て、多田くんが呟いた。
「ん〜、普通の影に見えるけどなぁ」
私も目を凝らす。
「…いや、二つある」
「え?」
「よく見ると、影二重になってるときがある」
「まじか! 瀬尾ちゃん、よう見つけたな〜」
多田くんは感心したように笑った。
「ほんなら、取り戻してみよか。俺が気を逸らすから、影がずれたら踏んでみて」
「うん…!」
多田くんが男の子とすれ違いざまにぶつかりそうになると、その足元で影がわずかにずれた。
けれど、踏もうとした瞬間には元に戻ってしまった。
「ごめん、取れなかった……」
「気にせんでええよ。また方法考えよ」
そう言って、多田くんは笑った。
そのときだった。
「返して…!!」
前方から、女の子の声が響いた。
そこにいたのは、資料で見た立花さんだった。
「私の影返してよ…っ!」
「は? 俺の影、1つしかないでしょ?」
男の子は面倒くさそうに答えた。
「言いがかりはやめてよ。そもそも、元はなかったんだから、元に戻っただけでしょ」
「…っ」
立花さんは言葉を失った。
彼はそんな彼女を気に留める様子もなく、再び歩き出す。
女の子が伸ばしかけた手は、彼には届かなかった。
彼女はその場にしゃがみ込んだ。
「…うぅっ…」
小さく震える肩を見て、私は思わず駆け出していた。
