現の主人と影

『SO機関にいた影には、識別のための色と番号が付けられる。どちらも契約後、時間とともに薄れていくんだ』

「そうなんだ…」

「せやから、いろちゃんにはまだ残っとるってわけ。俺ら、まだまだ新米コンビやからな〜」

『うるさいぞ、優里』

「あははっ、また怒られたわ」
そのやり取りは自然で、二人の間には確かな信頼が感じられた。

「それでな、影と契約すると、お互いに能力を得るんよ」

「能力…?」

「俺は、その人が生まれつき持っとる影なんか、契約して得た影なんかが分かる。いろちゃんは俺と言葉を交わせるようになったんや」

だから昨日、私の影が本来のものではないと見抜けたのか。

「でも、いろちゃんの声は俺にしか聞こえへんはずなんよ。瀬尾ちゃん、聞こえたんやろ?」
「うん…」

「それって、瀬尾ちゃん自身の力なん?」

 答えに迷っていると、如月が口を開いた。

『りんの力だ。私と契約したことで得た能力のひとつだ』

「私の…?」

影と契約することで、私自身にも能力が生まれていたなんて。

 私はまだ、何も知らなかった。
 契約のことも、影のことも。
 そして、如月のことも。

いつか、彼自身のことをもっと知りたい。
そう思った。