久城蒼は、神野洸太が好きだ。
神野洸太も、久城蒼が好き……なのかもしれない。
ならば、どうするべきか。
それはもう決まっている。
「あ・え・い・う・え・お・あ・お!」
——演劇だ。
「……なんか最近の神野ヤバくね」
「ヤバいって何が?」
「鬼気迫ってるつーか、本番前の久城みてえ……」
「はぁ?」
「またなんかしたのかよ?」
「何もしていないよ! ……いや、したかな?」
「どっちだよ!」
そんなやりとりが南田と久城の間で行われていることも知らずに、俺は最終公演に向けて練習に勤しんでいた。
逆井と話したことで答えが得られたわけではない。
でも分かったこともある。
俺は——ダサい。
久城に好意を向けられているというのに怯えている。
久城が隣にいてほしいと願っているのに逃げている。
何故なら、自信がないからだ。
俺が俺の価値も、俺の才能も、俺の実力も、何も信じていないから。
どうやったら信じられるようになるか?
——実績を作るしかない。
俺が俺自身を信じるに値するほどの実績を。
俺は脚本が書ける。
風見ヶ丘学園で最も脚本を書くのが上手いのは俺だ。
でもそれだけじゃ久城の隣に立つには足りない。
二年前の新人公演の失敗。
俺の心は、あの瞬間に留まっているに違いない。
台詞を間違えて、久城にフォローしてもらった。
お陰でなんとか舞台全体の失敗が食い止められた。
それでも俺の恐怖は消えない。
また、失敗したら?
久城の主演を台無しにしたら?
足を引っ張ってしまったら?
俺は怖い。
ずっと怖い。
だから逃げてきた。
あれから一度も舞台に立たなかった。
二度と舞台に立つことはないと思っていた。
けれど——。
『お前じゃなきゃダメだ』
『……お前はもっと舞台に立つべきだった』
『お前は僕の隣にいるべきだ』
久城が与えてくれた言葉が俺を奮い立たせる。
『お前は僕が世界で一番愛している天才だろうが!』
それを嘘にしたくない。
久城蒼を裏切りたくない。
だから俺はやらなきゃならない。
何もやっていないうちからどうしようって悩むなんて逆井が言う通り、猛烈にダサい。
失敗を恐れるなら恐れなくなるまで努力すればいいだけだ。
出来ないことを、出来るように。
俺が俺を信じて、誇れるように。
俺は久城の隣に立っていいんだって胸を張って言えるように。
立ち止まっている暇なんてない。
とにかく、努力! 努力! 努力!
努力あるのみである!
そして——絶対に最終公演を成功させる。
今の俺は、とにかくそのことだけを考えていた。
「久城! 基礎練終わったぞ! ホールに行こう!」
「あ、ああ……」
俺が声を掛ければ久城は素直についてくる。
そしてチラリと俺の方を見たが、俺は気付かなかった。
いつものホールでの立ち稽古も佳境を迎えていた。
『俺は裏切られたんだ! 信じていたのに!』
『僕はキミを決して裏切ることはない!』
久城の台詞に俺の台詞を被せるように叫ぶ。
俺たちが練習しているのは、最後の場面。
恋人に裏切られたオリヴァーが慟哭し、オースティンがそれを宥めるシーンだ。
『二度も裏切られた。三度目がないと言えるのか?』
『キミが恐れるのもわかる。でも信じてくれ!』
オースティンは必死に訴えかける。
だが、オリヴァーは後ずさる。
『どうやってお前を信じればいいんだ……』
オリヴァーの切なげな声が薄暗い洞窟に響く。
ここが舞台の中でも一番の山場だ。
俺が書いた脚本である『死者の国』は、二人の男が死んだ恋人と会うために死者の国に向かう話である。
久城が演じる主役のオリヴァーと俺が演じるオースティンは、それぞれが最愛の恋人を亡くしており、強い未練があった。
彼らは恋人に会うために死者の国行きの列車に潜り込む。
その無断乗車が車掌のカロンに見つかって、彼や他の乗客たちに追いかけ回されながらも、二人で協力してなんとか死者の国に辿り着く。
そして死者の国で待っていたのは、オースティンの恋人だけ。
オリヴァーの恋人はいない。
彼女は死んでいなかった。
なんとオリヴァーの恋人は他の男と結婚していた。
オリヴァーを諦めさせるために死んだと嘘を吐いていたのだ。
裏切られたショックで打ちのめされるオリヴァー。
そこへオースティンの恋人のマーガレットが近付く。
オリヴァーを犠牲にすればマーガレットがオースティンと共に現世に戻れるからだ。
傷心のオリヴァーはマーガレットの企みに気付かず心が揺らぐが、オースティンのことを思い出し、彼女を突っ撥ねる。
すると正体を現したマーガレットがオリヴァーを無理やり生贄にして、自分が生き返ろうとする。
それを止めに入ったのが、オースティンだ。
二度も裏切られたオリヴァーは死者の国に留まろうとする。
だが、オースティンは諦めない。
死者の国に至るまでの間に、オリヴァーが何度もオースティンを救ってくれたことを覚えているからだ。
『ここまでずっとそばにいたじゃないか』
『……オースティン』
『キミは僕を救ってくれた。今度は僕がキミを救う番だ』
オースティンがオリヴァーに手を差し伸べる。
『共に生きよう、オリヴァー』
そして今度は死者の国からの脱出を試みる、という話なのだが——。
「……ん?」
いつまで経っても握り返されない手に首を傾げる。
久城ほどの役者が演技を忘れることはあり得ない。
もしかして俺が何かミスをしてしまっただろうか。
俺は焦りながらも手を差し伸べたまま固まる。
すると久城が溜息を吐いた。
「……すまない、少し止めてもいいかな?」
「あ、ああ、もちろん」
俺が頷けば久城は差し出した手には触れずに台本を広げた。
それから、さっきまで演じていたシーンのページを開く。
「このシーンでオリヴァーはオースティンをすぐに信じるよね」
「そうだな」
「……その展開に無理があるんじゃないかなって思うんだけど」
「え……?」
久城の指摘に俺は呆然とする。
俺が書いた脚本に久城が苦言を呈したのは初めてだ。
「ち、ちょっと待ってくれ!」
慌てて読み返してみる。
だが、俺としては無理があるとは思えない。
知恵と勇気があるオリヴァーに比べてオースティンは冴えないし、お人好しだし、ドジだ。
そのせいでピンチに陥ったこともある。
しかし、オースティンとオリヴァーの間には、これまで二人で旅してきたからこそ信頼と絆が育まれてきた。
特にオリヴァーはオースティンの誠実さに惹かれており、それこそが自分にはないオースティンの長所だと伝えるシーンもある。
だからオリヴァーはオースティンの言葉だけは信じられる。
ここは、そんな二人の関係性を示す重要な展開だったと思っていた。
まさか、久城に伝わっていなかったとは!
俺はショックを受けながらも必死に説明する。
「いや、ここは……オリヴァーが誰に裏切られてもオースティンの言葉だけは信じられることを伝えるシーンでもあって——」
台本のページを捲り、他のシーンの台詞も示しながら、丁寧にここまでの流れを説明していく。
こういうやりとりは、南田や他の役者とは交わしたことがあるが、久城とはしたことがない。
久城は俺の脚本を読めばすぐに理解してくれていたから。
でもそれは久城の才能に甘え過ぎていたのかもしれない。
本来ならこうやってお互いに擦り合わせていくべきだったのに、俺が怠っていた。
またも俺の怠惰に気付いて落ち込みそうになる。
でも、そんな場合ではない。
この最終公演を成功させて俺が久城の隣に立つためにも、この展開の意図を久城に理解してもらう必要がある。
そう思って言葉を尽くしていたのが——。
「……久城?」
俺は台本を片手に怪訝な顔をする。
「どうして台本じゃなくて俺の顔を見ているんだ?」
「……あー」
俺の指摘に久城は歯切れの悪い返事をした。
そして片手で首の裏を揉みながら視線を逸らす。
「ごめん、ちょっと集中が切れた」
「ええっ!?」
こんな久城は見たことがない。
俺も激しく動揺する。
凄まじい集中力の持ち主である久城は、いつもノンストップで演技を続けることができる。
それなのに今の久城はどこか疲れ果てているように見えた。
体調でも悪いのだろうか……?
それとも俺が張り切り過ぎてしまったか……?
「水飲むか? 椅子座るか? なんか食うか!?」
「いやあの……」
「ど、ど、ど、どうしたらいい!?」
「落ち着きなよ……」
パニックを起こしかけている俺に久城が苦笑する。
妙に穏やかなのも恐ろしい。
まるで嵐の前の静けさのようで。
「……俺、何かしたか?」
「…………」
恐る恐る尋ねると久城は黙り込んだ。
胸の前で腕を組む仕草に俺は察する。
言いたいことがあるんだ……。
多分、俺は怒られるんだ……。
だって一度も舌打ちされてないんなんておかしい!
「我慢せずに言ってくれ、久城! 何でも受け止めるから!」
俺は勇気を振り絞って久城に訴えかけた。
本当は怒られるなんて嫌だ。
でも、後でブチ切れられるよりはずっといい。
「……本当に?」
「ほ、本当に!」
俺が即答すれば久城は青い瞳をこちらへ向けた。
どんなことを言われたって耐えて見せる!
俺は覚悟を決めた。
しかし、久城は俺の予想をいつも裏切ってくれる。
「お前、もしかして——浮気してる?」
その瞬間、俺は頭が真っ白になった。
「……は?」
久城蒼は、神野洸太が好きだ。
神野洸太も、久城蒼が好き……なのかもしれない。
そして、なぜか神野洸太は久城蒼に浮気を疑われていた。
神野洸太も、久城蒼が好き……なのかもしれない。
ならば、どうするべきか。
それはもう決まっている。
「あ・え・い・う・え・お・あ・お!」
——演劇だ。
「……なんか最近の神野ヤバくね」
「ヤバいって何が?」
「鬼気迫ってるつーか、本番前の久城みてえ……」
「はぁ?」
「またなんかしたのかよ?」
「何もしていないよ! ……いや、したかな?」
「どっちだよ!」
そんなやりとりが南田と久城の間で行われていることも知らずに、俺は最終公演に向けて練習に勤しんでいた。
逆井と話したことで答えが得られたわけではない。
でも分かったこともある。
俺は——ダサい。
久城に好意を向けられているというのに怯えている。
久城が隣にいてほしいと願っているのに逃げている。
何故なら、自信がないからだ。
俺が俺の価値も、俺の才能も、俺の実力も、何も信じていないから。
どうやったら信じられるようになるか?
——実績を作るしかない。
俺が俺自身を信じるに値するほどの実績を。
俺は脚本が書ける。
風見ヶ丘学園で最も脚本を書くのが上手いのは俺だ。
でもそれだけじゃ久城の隣に立つには足りない。
二年前の新人公演の失敗。
俺の心は、あの瞬間に留まっているに違いない。
台詞を間違えて、久城にフォローしてもらった。
お陰でなんとか舞台全体の失敗が食い止められた。
それでも俺の恐怖は消えない。
また、失敗したら?
久城の主演を台無しにしたら?
足を引っ張ってしまったら?
俺は怖い。
ずっと怖い。
だから逃げてきた。
あれから一度も舞台に立たなかった。
二度と舞台に立つことはないと思っていた。
けれど——。
『お前じゃなきゃダメだ』
『……お前はもっと舞台に立つべきだった』
『お前は僕の隣にいるべきだ』
久城が与えてくれた言葉が俺を奮い立たせる。
『お前は僕が世界で一番愛している天才だろうが!』
それを嘘にしたくない。
久城蒼を裏切りたくない。
だから俺はやらなきゃならない。
何もやっていないうちからどうしようって悩むなんて逆井が言う通り、猛烈にダサい。
失敗を恐れるなら恐れなくなるまで努力すればいいだけだ。
出来ないことを、出来るように。
俺が俺を信じて、誇れるように。
俺は久城の隣に立っていいんだって胸を張って言えるように。
立ち止まっている暇なんてない。
とにかく、努力! 努力! 努力!
努力あるのみである!
そして——絶対に最終公演を成功させる。
今の俺は、とにかくそのことだけを考えていた。
「久城! 基礎練終わったぞ! ホールに行こう!」
「あ、ああ……」
俺が声を掛ければ久城は素直についてくる。
そしてチラリと俺の方を見たが、俺は気付かなかった。
いつものホールでの立ち稽古も佳境を迎えていた。
『俺は裏切られたんだ! 信じていたのに!』
『僕はキミを決して裏切ることはない!』
久城の台詞に俺の台詞を被せるように叫ぶ。
俺たちが練習しているのは、最後の場面。
恋人に裏切られたオリヴァーが慟哭し、オースティンがそれを宥めるシーンだ。
『二度も裏切られた。三度目がないと言えるのか?』
『キミが恐れるのもわかる。でも信じてくれ!』
オースティンは必死に訴えかける。
だが、オリヴァーは後ずさる。
『どうやってお前を信じればいいんだ……』
オリヴァーの切なげな声が薄暗い洞窟に響く。
ここが舞台の中でも一番の山場だ。
俺が書いた脚本である『死者の国』は、二人の男が死んだ恋人と会うために死者の国に向かう話である。
久城が演じる主役のオリヴァーと俺が演じるオースティンは、それぞれが最愛の恋人を亡くしており、強い未練があった。
彼らは恋人に会うために死者の国行きの列車に潜り込む。
その無断乗車が車掌のカロンに見つかって、彼や他の乗客たちに追いかけ回されながらも、二人で協力してなんとか死者の国に辿り着く。
そして死者の国で待っていたのは、オースティンの恋人だけ。
オリヴァーの恋人はいない。
彼女は死んでいなかった。
なんとオリヴァーの恋人は他の男と結婚していた。
オリヴァーを諦めさせるために死んだと嘘を吐いていたのだ。
裏切られたショックで打ちのめされるオリヴァー。
そこへオースティンの恋人のマーガレットが近付く。
オリヴァーを犠牲にすればマーガレットがオースティンと共に現世に戻れるからだ。
傷心のオリヴァーはマーガレットの企みに気付かず心が揺らぐが、オースティンのことを思い出し、彼女を突っ撥ねる。
すると正体を現したマーガレットがオリヴァーを無理やり生贄にして、自分が生き返ろうとする。
それを止めに入ったのが、オースティンだ。
二度も裏切られたオリヴァーは死者の国に留まろうとする。
だが、オースティンは諦めない。
死者の国に至るまでの間に、オリヴァーが何度もオースティンを救ってくれたことを覚えているからだ。
『ここまでずっとそばにいたじゃないか』
『……オースティン』
『キミは僕を救ってくれた。今度は僕がキミを救う番だ』
オースティンがオリヴァーに手を差し伸べる。
『共に生きよう、オリヴァー』
そして今度は死者の国からの脱出を試みる、という話なのだが——。
「……ん?」
いつまで経っても握り返されない手に首を傾げる。
久城ほどの役者が演技を忘れることはあり得ない。
もしかして俺が何かミスをしてしまっただろうか。
俺は焦りながらも手を差し伸べたまま固まる。
すると久城が溜息を吐いた。
「……すまない、少し止めてもいいかな?」
「あ、ああ、もちろん」
俺が頷けば久城は差し出した手には触れずに台本を広げた。
それから、さっきまで演じていたシーンのページを開く。
「このシーンでオリヴァーはオースティンをすぐに信じるよね」
「そうだな」
「……その展開に無理があるんじゃないかなって思うんだけど」
「え……?」
久城の指摘に俺は呆然とする。
俺が書いた脚本に久城が苦言を呈したのは初めてだ。
「ち、ちょっと待ってくれ!」
慌てて読み返してみる。
だが、俺としては無理があるとは思えない。
知恵と勇気があるオリヴァーに比べてオースティンは冴えないし、お人好しだし、ドジだ。
そのせいでピンチに陥ったこともある。
しかし、オースティンとオリヴァーの間には、これまで二人で旅してきたからこそ信頼と絆が育まれてきた。
特にオリヴァーはオースティンの誠実さに惹かれており、それこそが自分にはないオースティンの長所だと伝えるシーンもある。
だからオリヴァーはオースティンの言葉だけは信じられる。
ここは、そんな二人の関係性を示す重要な展開だったと思っていた。
まさか、久城に伝わっていなかったとは!
俺はショックを受けながらも必死に説明する。
「いや、ここは……オリヴァーが誰に裏切られてもオースティンの言葉だけは信じられることを伝えるシーンでもあって——」
台本のページを捲り、他のシーンの台詞も示しながら、丁寧にここまでの流れを説明していく。
こういうやりとりは、南田や他の役者とは交わしたことがあるが、久城とはしたことがない。
久城は俺の脚本を読めばすぐに理解してくれていたから。
でもそれは久城の才能に甘え過ぎていたのかもしれない。
本来ならこうやってお互いに擦り合わせていくべきだったのに、俺が怠っていた。
またも俺の怠惰に気付いて落ち込みそうになる。
でも、そんな場合ではない。
この最終公演を成功させて俺が久城の隣に立つためにも、この展開の意図を久城に理解してもらう必要がある。
そう思って言葉を尽くしていたのが——。
「……久城?」
俺は台本を片手に怪訝な顔をする。
「どうして台本じゃなくて俺の顔を見ているんだ?」
「……あー」
俺の指摘に久城は歯切れの悪い返事をした。
そして片手で首の裏を揉みながら視線を逸らす。
「ごめん、ちょっと集中が切れた」
「ええっ!?」
こんな久城は見たことがない。
俺も激しく動揺する。
凄まじい集中力の持ち主である久城は、いつもノンストップで演技を続けることができる。
それなのに今の久城はどこか疲れ果てているように見えた。
体調でも悪いのだろうか……?
それとも俺が張り切り過ぎてしまったか……?
「水飲むか? 椅子座るか? なんか食うか!?」
「いやあの……」
「ど、ど、ど、どうしたらいい!?」
「落ち着きなよ……」
パニックを起こしかけている俺に久城が苦笑する。
妙に穏やかなのも恐ろしい。
まるで嵐の前の静けさのようで。
「……俺、何かしたか?」
「…………」
恐る恐る尋ねると久城は黙り込んだ。
胸の前で腕を組む仕草に俺は察する。
言いたいことがあるんだ……。
多分、俺は怒られるんだ……。
だって一度も舌打ちされてないんなんておかしい!
「我慢せずに言ってくれ、久城! 何でも受け止めるから!」
俺は勇気を振り絞って久城に訴えかけた。
本当は怒られるなんて嫌だ。
でも、後でブチ切れられるよりはずっといい。
「……本当に?」
「ほ、本当に!」
俺が即答すれば久城は青い瞳をこちらへ向けた。
どんなことを言われたって耐えて見せる!
俺は覚悟を決めた。
しかし、久城は俺の予想をいつも裏切ってくれる。
「お前、もしかして——浮気してる?」
その瞬間、俺は頭が真っ白になった。
「……は?」
久城蒼は、神野洸太が好きだ。
神野洸太も、久城蒼が好き……なのかもしれない。
そして、なぜか神野洸太は久城蒼に浮気を疑われていた。
