『立花美咲初顔出しの日・生中継』は無事に終わり、そのままサイン会が行われることになった。僕の素性に落胆し、その場に来ていたファンの子の半分は帰ったとスタッフから知らされ、「先生が男性でも、この小説は大好きです!」「『秘密の囚人』のファンなのには変わりありません!」と、そう言ってくれる優しい子達ばかりが残った。
世の中の誹謗中傷が、僕の演説でなくなるなんてことは決してない。ただ、美里が体験したことを、世の中に知ってもらいたかった。
あの後、美里は大好きだった仕事を辞めて、しばらくは隠れて生活をした。証拠も何もないあの火事の事は、警察こそ動きはしなかったけれど、その分マスコミがよく動いて、美里や僕たちまでも苦しめた。僕は、勤めていた会社を辞めて、今じゃ小説家として働いている。それも、美里の人生を書いた小説がこんなにも人気を得たからだ。彼女の人生を、彼女の苦しみを世の中に知ってほしいと思った。
次々に来るファンの子にサインを書く。すると、見慣れた顔が目の前に現れた。
「美里、来てたんだ」
「うん!私が主人公なんだからくるに決まってるじゃない、ねえ栞ちゃん」
僕の隣に立っている栞に、美里は手を伸ばした。栞はその手を掴んで応える。
「うんそうよ!今日のためにその服買いに行ったもんね~」
「あーそれは言わなくていいのに~」
美里の不貞腐れた顔は、とても可愛らしい。
サイン会が終わり、会場を出ると、美里が僕と栞を待っていた。白いワンピースが風に乗ってひらひらと揺れている。僕の本を読みながら待っている姿を見ると、自然と口角が上がってしまう。
「なーに見惚れてんのよ。ほら行くよ!」
栞に背中を叩かれる。僕らは三人で、並んで歩いて帰った。
こんな時間が、ずっと続けばいい。
たわいもない話で笑ったり、世の中の理不尽に文句を言ったり。時には、過去を思い出して泣いてもいいと思う。
その全ての時間を彼女と共に過ごせる限り、僕は彼女を守るナイトになって、全力で幸せへと導いてやる。
もう、秘密に囚われることはないと、信じて進んでいくんだ。
〈終〉
世の中の誹謗中傷が、僕の演説でなくなるなんてことは決してない。ただ、美里が体験したことを、世の中に知ってもらいたかった。
あの後、美里は大好きだった仕事を辞めて、しばらくは隠れて生活をした。証拠も何もないあの火事の事は、警察こそ動きはしなかったけれど、その分マスコミがよく動いて、美里や僕たちまでも苦しめた。僕は、勤めていた会社を辞めて、今じゃ小説家として働いている。それも、美里の人生を書いた小説がこんなにも人気を得たからだ。彼女の人生を、彼女の苦しみを世の中に知ってほしいと思った。
次々に来るファンの子にサインを書く。すると、見慣れた顔が目の前に現れた。
「美里、来てたんだ」
「うん!私が主人公なんだからくるに決まってるじゃない、ねえ栞ちゃん」
僕の隣に立っている栞に、美里は手を伸ばした。栞はその手を掴んで応える。
「うんそうよ!今日のためにその服買いに行ったもんね~」
「あーそれは言わなくていいのに~」
美里の不貞腐れた顔は、とても可愛らしい。
サイン会が終わり、会場を出ると、美里が僕と栞を待っていた。白いワンピースが風に乗ってひらひらと揺れている。僕の本を読みながら待っている姿を見ると、自然と口角が上がってしまう。
「なーに見惚れてんのよ。ほら行くよ!」
栞に背中を叩かれる。僕らは三人で、並んで歩いて帰った。
こんな時間が、ずっと続けばいい。
たわいもない話で笑ったり、世の中の理不尽に文句を言ったり。時には、過去を思い出して泣いてもいいと思う。
その全ての時間を彼女と共に過ごせる限り、僕は彼女を守るナイトになって、全力で幸せへと導いてやる。
もう、秘密に囚われることはないと、信じて進んでいくんだ。
〈終〉



