秘密の囚人

秘密を貫くには、ひとつの嘘じゃ足りない。
嘘に嘘を重ねて、それを真実にしていくしかない。

真実を告げられるより、嘘をつかれた方が心地いい。
または、真実を告げるより、嘘をついた方が気楽だ。

大切な人のピンチを目の当たりにすると、自分の意思を超えた行動に出る。
後からふと気がつくと、もう取り返しのつかない所まで来ている。
私は、それが人を想うという事だと信じてきた。

私達は秘密に囚われている。
嘘をつき続け、秘密を真実にしてきた。
これがいつまで続くか分からない。
死ぬまで嘘をつき続けるのか、打ち明ける日が来るのか。
どうやら、私は怯えていたみたい。
バレないように、知られないように、武者震いだと思っていた震えは、怯えから来るものだった。
嘘を始めたあの日、秘密を真実にすると決めたあの日、私の覚悟は決まったはずなのに。
なぜだろう。
今はどうしても楽になりたいと思ってしまう。
嘘を吐き、隠してきた真実を、告げたいと思う日が来るなんて。

あの頃の私は、どうかしていた。
好きな人のためならなんでもできると言う気持ちを、行動に示したくて仕方がなかった。
そういう、馬鹿な女だった。

馬鹿な女は、結局痛い目を見る。
世界はそう、出来ているんだ。