俺の朝は6時の目覚ましで始まる。
ベッドを抜け出し、朝のシャワーを浴びる。
着替えを済ませたら、朝食の準備に取り掛かる。
朝食は二人分のトーストとサラダ、ヨーグルトにコーヒーだ。
準備が整ったら、同居人の夢斗を起こす。
「おい、朝食が出来たぞ」
夢斗からの返事はいつもない。
ドアをノックしても反応がない時は勝手に入ることにしている。
相変わらず、布団にくるまっていて、気持ちよさそうに眠っている。
「……倫くん……」
寝言か……。どこまでもおめでたい奴だ。
俺はベッドに腰かけ「ここにいるぞ」と夢斗の顔を覗き込んだ。
夢斗がバチッと目を開ける。
「最高、朝起きて、最初に目に入ったのが倫くんだぁ」
寝ぼけているようだ。
夢斗が俺の首に腕を回し、「おはよう、倫くん」と声をはずませた。
びっくりした。
腕を回す時に顔が極限まで近づいたので、キスされるのかと思った。
夢斗は腕を解くと「着替えたら行くね」と、ベッドから起き上がり、着替えを始めた。
目のやり場に困った俺は、即座に部屋から出ていく。
ドキドキしているのは俺だけか?!
「いただきます」
俺たちは料理を前に手を合わせ、食べ始めた。
「今日も最高」
「それは良かった」
「何がって聞いてくれないの?」
「はいはい。なにが?」
これも毎朝のお決まりになった。
毎朝、夢斗と同じものを食べて、同じ会話をする。
「倫くんの顔で起きれて、こうして朝食を食べていることだよ」
「そうか」
そっけなく答えているが、実は、俺も夢斗と同じことを思っている。
悔しいので夢斗には言わないが。
食後のコーヒーを淹れているところに夢斗のキャッキャとした声が聞こえた。
「ねぇねぇ、アボカドの種、見て」
夢斗がダイニングテーブルに飾っているアボカドの種を指さした。
種に大きな亀裂が入り、もう少しで芽が出てきそうだ。
ちなみに、俺は毎日アボカドの水を交換しているので、数日前から気づいていた。
夢斗が「世話をする」と言ったのに、結局、水の交換は俺がしている。
でも、それでいい。
アボカドの水を毎日交換しながら思ったのだが、俺は何かを継続するのが得意なようだ。
継続の中でちょっとした変化に気づくのがとても楽しい。
一年前の俺だったら、植物のお世話など、「何が面白いんだ?」と言って、切り捨てていただろう。
夢斗のおかげで、自分の新しい側面を知ることができた。
夢斗もアボカドの種の変化に気づいた。
俺はそろそろ夢斗に返事をしなくてはならない。
当の本人は忘れていそうだが、約束は約束だ。
「これからもよろしく」
答えはその一言で通じるだろうか。
アボカドの芽が出たら伝えるとしよう。
END
ベッドを抜け出し、朝のシャワーを浴びる。
着替えを済ませたら、朝食の準備に取り掛かる。
朝食は二人分のトーストとサラダ、ヨーグルトにコーヒーだ。
準備が整ったら、同居人の夢斗を起こす。
「おい、朝食が出来たぞ」
夢斗からの返事はいつもない。
ドアをノックしても反応がない時は勝手に入ることにしている。
相変わらず、布団にくるまっていて、気持ちよさそうに眠っている。
「……倫くん……」
寝言か……。どこまでもおめでたい奴だ。
俺はベッドに腰かけ「ここにいるぞ」と夢斗の顔を覗き込んだ。
夢斗がバチッと目を開ける。
「最高、朝起きて、最初に目に入ったのが倫くんだぁ」
寝ぼけているようだ。
夢斗が俺の首に腕を回し、「おはよう、倫くん」と声をはずませた。
びっくりした。
腕を回す時に顔が極限まで近づいたので、キスされるのかと思った。
夢斗は腕を解くと「着替えたら行くね」と、ベッドから起き上がり、着替えを始めた。
目のやり場に困った俺は、即座に部屋から出ていく。
ドキドキしているのは俺だけか?!
「いただきます」
俺たちは料理を前に手を合わせ、食べ始めた。
「今日も最高」
「それは良かった」
「何がって聞いてくれないの?」
「はいはい。なにが?」
これも毎朝のお決まりになった。
毎朝、夢斗と同じものを食べて、同じ会話をする。
「倫くんの顔で起きれて、こうして朝食を食べていることだよ」
「そうか」
そっけなく答えているが、実は、俺も夢斗と同じことを思っている。
悔しいので夢斗には言わないが。
食後のコーヒーを淹れているところに夢斗のキャッキャとした声が聞こえた。
「ねぇねぇ、アボカドの種、見て」
夢斗がダイニングテーブルに飾っているアボカドの種を指さした。
種に大きな亀裂が入り、もう少しで芽が出てきそうだ。
ちなみに、俺は毎日アボカドの水を交換しているので、数日前から気づいていた。
夢斗が「世話をする」と言ったのに、結局、水の交換は俺がしている。
でも、それでいい。
アボカドの水を毎日交換しながら思ったのだが、俺は何かを継続するのが得意なようだ。
継続の中でちょっとした変化に気づくのがとても楽しい。
一年前の俺だったら、植物のお世話など、「何が面白いんだ?」と言って、切り捨てていただろう。
夢斗のおかげで、自分の新しい側面を知ることができた。
夢斗もアボカドの種の変化に気づいた。
俺はそろそろ夢斗に返事をしなくてはならない。
当の本人は忘れていそうだが、約束は約束だ。
「これからもよろしく」
答えはその一言で通じるだろうか。
アボカドの芽が出たら伝えるとしよう。
END

