壊れてしまった私たちはマスキングテープで愛を描く

 翌日。作業スペースの空気はガラリと変わった。

 昨晩からリヒトは特大のケント紙に向き合っていた。

 ミリ単位の細さでマステを切ったり、貼りつけたりする作業は、極限の集中力を要求するだろう。

 デザインナイフを握るリヒトの顔からは気さくなお兄さんのやわらかさが消え、研ぎ澄まされた芸術家のような物々しい気配が漂っていた。
 とても話しかけられる雰囲気じゃない。

 ワイワイとマステ絵をする時間は一旦お預け。その日、言葉を交わせたのは、店に入ったときと、出るときのほんの一瞬だけだった。
 
 三日目からは宿題を家でやらず、涼水文房具店へ持ち込んだ。レジカウンターに教材やノートを広げ、宿題を消化していく。

 暖簾の向こうから聞こえてくるのは、ピンセットやクラフトナイフをコトッと置く音や、マスキングテープがロールから剥がされる摩擦音。

 それらの音は、無料動画サイトで流すどんな作業用BGMよりも、心を落ち着かせてくれる最高の音楽だった。

 玲瑠は時折シャープペンを止めては、暖簾をかき分けてアトリエを覗く。そして、一心不乱にキャンバスへ情熱を注ぎ込むリヒトの横顔を見つめる。

 真剣な眼差し、すっと伸びた鼻筋、作業の合間にふっと漏れる浅い吐息。その姿を視界に収めるだけで、一日は十分に満足できた。

 リヒトはひと区切りつくと「ゴメンね、ほったらかしにしちゃって」っと申しわけなさそうに頭をかきながら、暖簾から顔を出す。

 そして、ほんの数分間、ネットで流行っている話題や、作品の途中経過について言葉を交わす。

 たったそれだけの短い会話。けれど、大好きな人と同じ空間で呼吸を重ねている、それだけ玲瑠の胸は踊るような幸せで満たされていった。

◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇

 作品を作り始めて四日目の午後。

 作業に没頭しているリヒトの集中力を切らさないためにも、玲瑠は自ら申し出て店番を引き受け、レジカウンターで勉強をしていた。

 っと言っても、昨今は文房具ひとつ買うにしても大型スーパーやネット通販で済ませてしまう時代だ。小さな個人商店の客足はほぼないに等しい。

 今日訪れた客は、百円玉を握りしめて消しゴムを買いにきた小学生の男の子と、散歩ついでに封筒を買いにきた近所のおばあちゃんのふたりだけだった。

 明紀が言うには、ふたりもきたら大繫盛らしい。

 玲瑠は初めての接客に緊張しながらも、商品を丁寧に紙袋に入れ、何年ものかわからない年季が入ったレジのボタンを叩いて会計をする。最後に恥ずかしさを殺しながら「ありがとうございました」っとぎこちなく言って客を見送った。

 賃金も出ず、社会的には仕事とも言えない小さな手伝い。だけど、玲瑠にとっては人生初のアルバイトだ。玲瑠という存在が誰かの日常の役に立っているという実感は、どこか誇らしくて気持ちがよかった。

 部屋に引きこもっていたら絶対に味わえない爽快感だ。

 それからしばらくノートにシャープペンを走らせていると、ザッザッと足を引きずる音とともに暖簾が静かに揺れた。

「レイルちゃん、店番お疲れ様」

 背後から声をかけられて振り返る。目元のしわをさらに深めた、やさしい笑顔を浮かべた明紀が立っていた。

「リヒト君の代わりに店番をしてくれたお礼に、裏でお菓子でも食べないかい?」
「いえ、お気遣いなく! 私が好きでやっていることですし」

 慌てて両手を振って辞退しようとしたが、明紀は骨ばった細い手で玲瑠の背中をポンと優しく叩いた。

「いいんだよ、お駄賃もあげられないんだから、お菓子ぐらい食べていってくれないかい?」
「はい……それではお言葉に甘えて……」

 暖簾をくぐり、リヒトが絵を描いている土間の作業場のさらに奥にある、畳張りの居間へ案内された。

 使い込まれたこげ茶色のちゃぶ台には、湯気が立っている緑茶と、丸いしょうゆせんべいが置かれていた。
 玲瑠と明紀はちゃぶ台を挟んで、座布団に腰を下ろした。

「どうぞ」
「はい、いただきます」

 玲瑠は温かい湯呑みを両手でそっと包み、一口静かにすすった。
 渋みが口いっぱいに広がる。淹れた温かい緑茶を飲むなんていつ以来だろうか。
 温かいお茶が体にじわっと染みると、肩の力がふっと抜けていく。

「レイルちゃん、改めてリヒト君の代わりに店番をしてくれてありがとうねぇ」
「いえ、リヒト先生には最優秀賞を取ってもらいたいので、先生が作業に集中できる環境を作れるならお安い御用ですよ!」
「うんうん、レイルちゃんは本当に気遣いのできるやさしい子だねぇ」

 目を細めてお茶をすすっている明紀の言葉に、玲瑠の胸がちくりと痛んで湯呑みをギュッと握りしめる。

「気遣いができる」「やさしい」という褒め言葉。それは、いつ爆発するかわからない衣琉華の感情を刺激しないように、必死に爆弾処理を繰り返す中で身につけた、負の副産物だった。

 インターネットの情報によれば、常に相手の顔色を窺うタスクで脳が占領されているため、慢性的な精神疲労を引き起こす思考は今すぐやめろと言われている。

 でも、先回りして相手の気持ちを考えた末に「あんたって本当に気が利かないわね」っと、衣琉華にののしられる日常と比べたら、明紀の言葉は胸がくすぐったくなるほど嬉しかった。

「やさしいだなんて……えへへ、ありがとうございます。でも、私は店番程度でしかリヒト先生の役に立てませんから、やさしいなんて言っていただけるほどの人間じゃないんですよ」
「誰かのために動こうと思える、それだけで十分にやさしいよ。だって、リヒト君から頼まれたわけじゃないんだろ?」
「はい」
「ならものすごくやさしいじゃないか。レイルちゃんは、もっと自分に自信を持ちなさい」
「はい……自信を……持ちたいです」

 玲瑠はうつむき、湯呑みにゆらゆら浮かぶ茶柱を見つめる。

――自信を持て。

 大人は誰しもが簡単にそう口にするけれど、どうやって持てばいいのか、その方法を誰も教えてはくれない。

 なにも積み上げてこなかった身が急に胸を張ろうとしたところで、取り繕ったメッキなんてすぐに剥がれてしまうだけだ

「自信」なんて言葉は、どれだけ手を伸ばしても絶対に届かない、雲の上の概念にしか感じられない。

「レイルちゃん、褒めてるのになんだか暗い顔をしてるねぇ」
「あっ、いえ、ちょっといろいろ考えちゃって」
「悩み事があるなら話を聞こうかい? こんな老いぼれには話を聞いてあげることぐらいしかできないからねぇ」

 玲瑠は否定の言葉を重ねようとした。

 でも、向かいに座る明紀の深い眼差しに見つめられるだけで、心の中にため込んできた傷や葛藤のすべてを優しく包み込まれているような、不思議な安心感に満たされていった。

 長年、小学校近くの文房具店を切り盛りしてきた明紀は、無数の子供たちの成長を見守ってきた人生の大先輩だ。

 この人なら、実の母親には見向きもされなかった痛みに寄り添ってくれるかもしれない――そんな大きな期待が胸の中で膨らむ。

「それじゃあ……話を聞いてくれますか?」
「もちろん、なんでも話してごらん」

 玲瑠はもうひと口お茶を飲み、喉の渇きを潤しながら気持ちを整えた。

 なぜだろう。母親に必需品の文房具を買ってとお願いしていた小学生のときよりも、ずっと安心しておしゃべりできるような気がした。

「最近インターネットを見てると暗いニュースばかりで、それを見てたら生きる気力がなくなって、私、中学生のときに学校に行かなくなったんです。今は通信制に通ってますけど、その勉強も正直嫌で……ホントに私って、根が腐ってるダメダメ人間なんです」

 ぽつり、ぽつりと、ため込んでいた引け目と自己否定の言葉を吐き出していく。

「世間の言う普通のレールの先にある将来が見えなくて、逃げて、逃げて……でも逃げている自分のことも嫌いで……こんな甘えた存在じゃやっぱり価値のない人間だなって、さらに落ち込んで……褒められてもまったく響かないんです」

 唇が震え、言葉を発するごとに声のボリュームが下がっていく。

 すると、明紀は呆れた顔をするでもなく、怒るでもなく、凪いだ海のようなやさしさを秘めた瞳で玲瑠を見つめる。

「なるほどそういうことかい。今の若い子たちには、私たちの時代にはなかったインターネットというものがあるから大変そうだねぇ。ただねぇ、ダメダメ人間だなんて自分を卑下しなくてもいいんだよ。悩みなんていうものはね、人の数だけあるものなんだから」

 明紀も熱いお茶で喉を潤し、話を続ける。

「文房具は鉛筆、消しゴム、定規、ハサミ、ノリ、それぞれでできる役割がまったく違う。人間だってそれぞれできる役割が違うし、それぞれの悩みもある。それなのに、昔からみんなが同じ形にならなきゃいけないなんて、本当に酷で理不尽な話だよねぇ」

 明紀が言う通り、SNSのタイムラインを覗けば、誰もが似たような人生の正解のテンプレートを追いかけて競い合っている。

 そして、そこから少しでも脱落したら失敗の烙印を押されてしまうような、息苦しい空気がずっと漂っている。

「鉛筆は文字や絵を描くし、消しゴムは間違えたところを消す。定規は真っ直ぐな線を引く手助けをして、ハサミは物を切る。みんなできることが違うんだよ」

 明紀が言いたいことは、昨今よく耳にするワードで言えば「多様性」なのだろう。

 子供ひとりひとりの個性を尊重する教育方針の多様性。

 聞こえがいい言葉かもしれないが、形ばかりの多様性を尊重するあまり、子供がどれだけできなくても、どんな問題児でも、多様性という言葉で片付けられ、適切な教育ができずに現場が疲弊しているという話も聞く。

 玲瑠自身、教育現場からしてみれば、面倒くさい部類の多様性に括られ、見放される人間なのだろうと重々承知している。

 だけど、明紀が言いたい多様性の意味は、人間という個体の能力が均一じゃない、本当の意味での多様性だ。

「文房具はどれかひとつでも欠けたら、学校生活は成り立たないだろ? 人間もまったく同じなんだよ。いろいろな役割を持った人がいて、初めて社会は回っていくんだ」

 明紀はヨボヨボの口をキュッと引きしめ、小さく開いた。

「途中で立ち止まって回り道を余儀なくされたレイルちゃんにしかできないことだって、きっとあるはずだよ。レイルちゃんが歩んできた道はね、なにひとつ無駄なんかじゃないんだよ」

 世間が決めた正解の道からはじき飛ばされた十七年間の軌跡。そのすべての時間を、丸ごと肯定してくれる言葉。

 リヒトの寄り添うような慰めとは違う、前を向くように促される助言。
 学校のカウンセラーやSNSの安っぽい励ましの言葉では届かなかったのに、明紀の口から出ると胸にズーンと響く。

 生まれて初めて存在を許されたような気がして、凍りついていた心の氷が溶けていくのを感じた。

「玲瑠ちゃんは誰よりも人の痛みがわかるやさしい子になれる。そしたら周りの人もそのやさしさに応えてくれるだろうから、もっと自分が持ってるものに誇りを持って、胸を張って生きなさいね」
「……はい、ありがとうございます。この歩みを絶対に無駄にはしません」

 目頭をそっと指先で拭った。

(お母さんがおばあちゃんみたいな人だったらよかったなぁ……)

 否定も怒号もなく、ただ生きているだけでいい所を見つけて価値を見出してくれる明紀。
 もし明紀の下に生まれていたら、どんなことにも挑戦でき、今みたいに不貞腐れずに強く生きられただろうかと、叶わない未来を思い浮かべる。

 もらったことがない愛情を注がれ、今すぐ明紀に抱きしめてもらいたい甘えたい気持ちでいっぱいになった。

「ところでレイルちゃん、ひとつ質問してもいいかい?」
「なんですか?」
「レイルちゃんはリヒト君のことをどう思っているんだい?」
「どうって……素晴らしい絵を描く先生として、とても尊敬していますよ!」
「そういうことじゃなくてね……ひとりの女性として、ひとりの男性をどう思っているんだい?」
「ひとりの男性って……ふぇっ!? ふぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 あまりにもストレートすぎる不意打ちの問いかけに、玲瑠は裏返った大声を上げ、座布団の上でビクッと数センチ跳ね上がった。

 耳の先から首元まで熱した鉄みたいに赤くなっていく。

「え、えっと……あの……それは、そのっ。リヒト先生はお絵描きの師匠として尊敬していて……あの、その……っ!」
「そんなに慌ててどうしたんだい、少し落ち着きなさい」

 首をぶんぶんと振って否定しようとする。でも、明紀の包容力がある魔法が宿った瞳の前では誤魔化すことなどできなかった。

 玲瑠は真っ赤になった顔を両手で押さえ、小さく震える声で白状する。

「はい……リヒト先生のことが大好きです……おつき合いしたいです」
「ほうほう、やっぱりそうかい。若い子は活気があっていいねぇ~」

 明紀はオホホホホっと若々しく微笑んでいる。

「やっぱり私を見てたら、わかっちゃいましたか?」
「もちろんだよ。どれだけ歳を取っても、私は女だからねぇ。同じ女として、勘が鈍ってなくて嬉しいものだねぇ。心は若返ったみたいだよ」

 明紀は出会ってから初めて見せるウキウキと笑う反応を見せている
 やっぱり、長年多くの子供たちとふれ合ってきたからだろうか、感情が若々しい。

「でも……私はまだ高校生の身で、しかもこんな未熟な人間が、リヒト先生を好きになってもいいのかなって悩んでるんです。歳の差もありますし、リヒト先生にはもっとお似合いの大人の素敵な女性がいるんじゃないかって、不安で不安で」

 リヒトとデートした日の夜に抱えた切ない恐怖と葛藤を吐露すると、明紀はクスクスと愉快そうに笑った。

「人を好きになる気持ちに、立場も年齢も関係ないよ」

 インターネットの外でもよく耳にするような、シンプルで強い言葉だ。

「そうは言いますけど、それは大人になってからの話で……」
「ぼやぼや待っていたら、レイルちゃんが大人になる前にリヒト君が他の女の子に取られちゃうよ。それにね、リヒト君にはレイルちゃん以上のお似合いの人はいないと思うよ」
「そ、そうですか?」
「ああ、リヒト君もレイルちゃんも感受性が人一倍強いから、なにかあったときは一緒に喜んで、一緒に悲しんで、手をつないで互いに支えながら寄り添って歩いていけば、きっと幸せな人生を送れると思うよ」
「へっ……えへへ、幸せな人生を送れますかねぇ」

 リヒトと歩んでいく幸せな人生。
 SNSで無数に見てきた人生の答えのひとつだ。
 玲瑠には手が届かないと思っていた模範解答のひとつが、人生の大先輩の助言のおかげで、少しだけ手が届きそうな希望に思えてきた。

「ああ、きっと幸せな人生を送れるさ。リヒト君がボロボロになって、頼れるはずの実のお父さんからも家を追い出されて、逃げるようにこの店にきたときは、本当に見ていられないほど痛々しかったんだよ。部屋から一歩も出てこられなくなって、あんなに大好きだった絵を描くことすらできなくなってねぇ。暗い部屋でただじっと天井を見つめていたんだ」

 明紀の口から静かに明かされる、リヒトの凄惨な過去。

 リヒト本人からの口じゃない、第三者からの言葉でも、ズキズキと胸が痛む。

「でもね」

 明紀は顔を上げ、玲瑠の目を真っ直ぐに見つめた。

「レイルちゃんがこの店にくるようになってから、リヒト君の顔に少しずつ、昔みたいな笑顔が戻ってきたんだよ。感情を失っていたあの子が、レイルちゃんと話しているときは、幼稚園の頃のリヒト君みたいに笑うんだ」

 明紀は少し曲がった腰をピンと伸ばし、深々と頭を下げた。

「レイルちゃん、リヒト君を救ってくれて、本当にありがとうねぇ」

 存在価値がないと思っていた人間が、大好きな人の家族から「孫を救ってくれてありがとう」っと、感謝された。

 またひとカケラ、自信がつく音が胸に響いた。

「おばあちゃん……こちらこそありがとうございます。おばあちゃんからそんな風に言っていただけて……なんだか私、少しだけ自信を持てた気がします」
「ああ、それはよかった。私もレイルちゃんのお役に立てて嬉しいよ。この年になって、また可愛い孫の成長を見守っているみたいだね」

 顔を上げた明紀のほっそりとした瞳からも気持ちが伝わってくる。

「レイルちゃん、リヒト君のことをよろしく頼んだよ」

「はい! 任せてください! 私、絶対にリヒト先生を支えられるぐらいの人間になります。それで、キッチリとした大人になったら、リヒト先生に思いを伝えるつもりです!」
「ホホッ、そのときは私が一番の味方になってあげるからねぇ。それにしても頼もしいねぇ。レイルちゃんがリヒト君のそばにいてくれれば、安心して先立つことができるよ」
「そんな悲しいこと言わないでください。少なくても、私とリヒト先生が結婚するところまでは見届けてくださいね」
「楽しみにしているよ」

 年配の女性……いや、先輩の『女の子』と一緒に、誰にも言えない秘密の恋バナをする時間。
 これはきっと、放課後の教室で、友達と好きな人の話をしている、照れくさく、甘酸っぱい青春のワンシーンだ。

 明紀の言葉に強く背中を押され、玲瑠の心の中に確かな決意がまたひとつ、しっかりと灯ったのだった。

◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇

 それから数時間後、高校を卒業して最低限の大人になるために必要な課題を続けていると、帰らないといけない時間になった。

 アトリエを覗くと、物音に気づいたリヒトが少し疲れた顔で振り返った。

「あ、玲瑠ちゃん……もうそんな時間か。店番してくれてありがとうね」
「こんなのお安い御用ですよ! 絶対にコンテストで最優秀賞を取ってくださいね!」
「ああ、約束するよ。最高の作品にしてみせる」

 リヒトと少しだけ雑談をして、名残惜しさを残しながらも涼水文房具店をあとにした。

 冷たくなりつつある秋風が吹き抜ける裏道を、しっかりと踏みしめて歩いていく。

 トートバッグをギュッと抱きしめながら、居間で明紀と交わした会話を何度も頭の中で繰り返した。

(しっかりした大人になって、自信を持ってリヒト先生に告白するんだ!)

 未来へ向かって強く小さく微笑んだ。