その翌日、学校で友人といる怜司を見かけた。俺は嬉しくなって、手を振ろうとしたとき、怜司は俺に気づいていないように視線を逸らし、そのまま去っていった。
――俺とのことを知られたくないんだ。
俺はショックでそのまましばらく動けなかった。怜司が友人と笑う声が俺の心の奥を刺した。
それなのに、怜司はその日の夜、また俺のうちにやって来た。
「学校で無視したのに、来るんだ」
思わず嫌な言い方をしてしまった。すると怜司は驚いたように俺を見た。
「お前、俺と友達になりたいの?」
「いや、友達っていうか……」
「俺、お前を友達には入れねぇよ」
「なんだよそれ」
「分かるだろ?」
怜司が冷たい目で俺を見た。
「……うん」
俺は悲しくて俯いた。すると怜司が俺の顎を持って上を向かせた。
――泣いてなんてやらねぇ。
俺は下唇の内側だけを噛んで堪えた。
怜司がふっと笑っている。その笑顔はどこか悲しそうに見えた。
「分かれよ」
――何を分かれてっていうんだよ。
怜司はそのまま、前の日のようにキスをした。俺はそのまま逆らえなかった。めちゃくちゃ悲しいのに、怜司は抱きしめるときは優しくて、大切にされているような気持ちになってしまった。
それから、いつも突然連絡をしてきては俺と体を重ねた。まるで俺は都合のいいセフレだった。
怜司はとにかく無茶苦茶なヤツだった。俺以外の人たちと一緒にいるときにはいつも爽やかな好青年なのに、俺の前では俺様で自分勝手なヤツだった。学校で俺とすれ違っても、怜司は俺を知らないやつのように無視し続けた。初めはショックだったけど、いつしかそれにも慣れた。
それどころか、二人だけの秘密の関係のように思えて、俺はどんどん怜司を好きになった。怜司が俺に悪態をつくほど、自分が特別なように思えてしまった。
でも、それは案外勘違いでもなかったと思う。
「怜司は実家なんだよね?」
俺たちはいつものように体を重ね、いつものように裸のままベッドの上で話をしていた。
「ああ」
「だから一人暮らしか聞いたの?」
「ん?」
「ほら、初めて会ったとき」
「あー」
「あのとき」
「ああ、そうだな。実家じゃあ、できねぇじゃん」
「あのとき、それ目的で聞いてきたの?」
「……さあな」
怜司は仰向けに寝て、頭の後ろで腕を組んだ。
「じゃあ、俺が実家だったら、こうなってなかったってこと?」
「どうだろうな?」
「怜司は俺のことセフレだと思ってんの?」
怜司が俺をちらっと横目で見た。
「どう思って欲しい?」
「俺に聞くなよ」
怜司が少し笑った。
「お前なあ、俺のどこ見てたの?」
「え?」
怜司は俺を見てニヤニヤと笑っていた。
「ずるいやつ」
「なんでだよ」
怜司が俺を抱き寄せて、深く唇を重ねた。そして、俺の頬を包み込むように掌で触れたまま、じっと見つめた。
「お前が、俺の見せてないとこまで見てたから。お前だったらもっと見られてもいいと思った」
「……うん」
俺は嬉しくて、照れ笑いをした。
「俺さあ、養子なんだ」
「……え?」
「だから色々気を遣うんだよ」
そう言いながら、怜司は俺にしがみつくように抱きついた。
「悠真が一人暮らしで良かった」
「そっか……俺、怜司が好きだよ」
「知ってる」
怜司はそのまましばらく俺を抱きしめていた。
怜司は俺を好きだとは言わない。それでも怜司の態度はいつも、言葉以上に俺の心の奥を揺らしていた。正直、傍から見れば、ただのセフレなのかもしれない。でも俺はそれ以上のものを感じていたし、きっと怜司もそうなんだと思っていた。
――俺とのことを知られたくないんだ。
俺はショックでそのまましばらく動けなかった。怜司が友人と笑う声が俺の心の奥を刺した。
それなのに、怜司はその日の夜、また俺のうちにやって来た。
「学校で無視したのに、来るんだ」
思わず嫌な言い方をしてしまった。すると怜司は驚いたように俺を見た。
「お前、俺と友達になりたいの?」
「いや、友達っていうか……」
「俺、お前を友達には入れねぇよ」
「なんだよそれ」
「分かるだろ?」
怜司が冷たい目で俺を見た。
「……うん」
俺は悲しくて俯いた。すると怜司が俺の顎を持って上を向かせた。
――泣いてなんてやらねぇ。
俺は下唇の内側だけを噛んで堪えた。
怜司がふっと笑っている。その笑顔はどこか悲しそうに見えた。
「分かれよ」
――何を分かれてっていうんだよ。
怜司はそのまま、前の日のようにキスをした。俺はそのまま逆らえなかった。めちゃくちゃ悲しいのに、怜司は抱きしめるときは優しくて、大切にされているような気持ちになってしまった。
それから、いつも突然連絡をしてきては俺と体を重ねた。まるで俺は都合のいいセフレだった。
怜司はとにかく無茶苦茶なヤツだった。俺以外の人たちと一緒にいるときにはいつも爽やかな好青年なのに、俺の前では俺様で自分勝手なヤツだった。学校で俺とすれ違っても、怜司は俺を知らないやつのように無視し続けた。初めはショックだったけど、いつしかそれにも慣れた。
それどころか、二人だけの秘密の関係のように思えて、俺はどんどん怜司を好きになった。怜司が俺に悪態をつくほど、自分が特別なように思えてしまった。
でも、それは案外勘違いでもなかったと思う。
「怜司は実家なんだよね?」
俺たちはいつものように体を重ね、いつものように裸のままベッドの上で話をしていた。
「ああ」
「だから一人暮らしか聞いたの?」
「ん?」
「ほら、初めて会ったとき」
「あー」
「あのとき」
「ああ、そうだな。実家じゃあ、できねぇじゃん」
「あのとき、それ目的で聞いてきたの?」
「……さあな」
怜司は仰向けに寝て、頭の後ろで腕を組んだ。
「じゃあ、俺が実家だったら、こうなってなかったってこと?」
「どうだろうな?」
「怜司は俺のことセフレだと思ってんの?」
怜司が俺をちらっと横目で見た。
「どう思って欲しい?」
「俺に聞くなよ」
怜司が少し笑った。
「お前なあ、俺のどこ見てたの?」
「え?」
怜司は俺を見てニヤニヤと笑っていた。
「ずるいやつ」
「なんでだよ」
怜司が俺を抱き寄せて、深く唇を重ねた。そして、俺の頬を包み込むように掌で触れたまま、じっと見つめた。
「お前が、俺の見せてないとこまで見てたから。お前だったらもっと見られてもいいと思った」
「……うん」
俺は嬉しくて、照れ笑いをした。
「俺さあ、養子なんだ」
「……え?」
「だから色々気を遣うんだよ」
そう言いながら、怜司は俺にしがみつくように抱きついた。
「悠真が一人暮らしで良かった」
「そっか……俺、怜司が好きだよ」
「知ってる」
怜司はそのまましばらく俺を抱きしめていた。
怜司は俺を好きだとは言わない。それでも怜司の態度はいつも、言葉以上に俺の心の奥を揺らしていた。正直、傍から見れば、ただのセフレなのかもしれない。でも俺はそれ以上のものを感じていたし、きっと怜司もそうなんだと思っていた。


