死刑囚(アポトーシス)の恋

ボロ臭い服を着て、痩せ細った少女は路地裏を歩く。

ーわたしは、生きてはいけない。ー

ー私はきっと、あくまだ。ー

ママがよく読んでくれたえほんに出てきた、悪役だー

ー私の大好きな村を呪った、悪魔だ、呪いだ。ー

ーわたしはなんで、死んでないんだろう、わたしはなんで、苦しくないんだろう。ー

ーすごく熱いトモダチとパパとママー

ーそのなかでへいきな私、まるで、、血がつめたいみたいー

ー血を吐いて苦しそうなトモダチとパパとママー

ーその中で平気な私、まるで、、血がないみたい。ー

少女はあくびをする。

そうして、地面に顔を打ち付けて倒れ、眠りに入った。

ある研究所の仮眠室でテレビを見ている研究者がいた。

ニュースアナウンサー「速報です、●●県●●市にあるカイテン村の村人全員からエボラウイルスが検出されました。」

エボラウイルス:熱病を発症させるウイルス

宗太郎「は?ナニソレ!ナニソレ!!」

宗太郎「おい!!みんな!!」

机をぶち叩いてテレビのそっぽを向いて宗太郎は叫んだ。

場所は事務室

太郎「んなわけねえだろ、夢でも見てる。そもそもその村の住人全員海外なんか行ってないんだろ?なんかの間違いに決まってるだろ。」

事務作用の耽る同期の太郎は言う

宗太郎「でも、、解析したのあの国立大学だぞ?間違いなんてありえない。」

太郎「それでも何かの間違いだ、ありえない。」

太郎はコーヒーをすすった。

翔「原因はわからないんだと。」

こいつは天才科学者の翔だ。最近、海外出張でラーヴァウイルスのワクチンを完成させたそうだ。全く頭がおかしい。

太郎「お前なら解決できるよ、がんばれよ!」

翔「まてまて仲間を死地に軽率に送り出そうとするな、あれはまぐれだ。」

太郎「天才は誰でもそう言うんだ、何がまぐれだ、そんな後ろ向きだとゆるちゃんにそっぽ向かれちゃうぞー!」

ゆるちゃん、とは事務の許谷(ゆるたに) うずら,翔が片思い中の女性だ。

翔「そんなにエボラに感染した人間の血液に溺れたいなら大歓迎だ、いい場所を案内するぞ」

そんな下世話で物騒な話をしている二人の横でスマホをいじっている宗太郎。

宗太郎「あん?こんなのはさすがに俺でも嘘ってわかるぞ、やっぱり太郎は正しかった。」

太郎「やっぱりて、どう考えても正しいだろ。」

宗太郎「ほら見ろよこれ!!!」

宗太郎は二人にスマホを見せた。

そこに移っていたのは痩せこけた少女の顔写真だった。

翔「で?これが?何?」

宗太郎「このかわいい女の子!村で唯一感染していなかったんだって!!だから原因かもなんだって!!」

翔「そんなん良く見つけるな、普通の記事には原因不明って書いてある、少女の名誉のためだろう。いわゆる、慢性保菌者だろう、それを分かってて記事の人たちは出していないわけだ。当然だな。無知なバカぐらいだ。そんな大々的に掲げるのは。」

慢性保菌者:病原体を保有していながら、その感染症を発症しない人間の事ー

翔「で?感染源は?」

宗太郎「わから、、ない。」

翔「そんな馬鹿な、分かるはずだ。少女だって、嘘を吐く必要ないだろう。」

宗太郎「しかも、、知らずに声をかけた人が感染したって、マジかよ!!!」

翔「普通なら俺でも誰か駆り出されるはずだけど、どういうことだ?とっととワクチン開発して飲ませないと事件は広がる一方だぞ、マスクも予防にはなるが完全に防げるわけじゃない。」

宗太郎「検査の結果、、少女には人間らしい構造が何一つない、、だって」

翔「なんだそれ、そいつと会えるのか」

宗太郎「うん、翔君なら会えるんじゃない?」

翔「なら話は簡単だな」

翔は聞いたことを真実と捉え、すぐに解決策を模索するタイプの人間だ。

翔「今すぐ会って腹を掻っ捌いて何が起きてるか確かめる。麻酔もなしだ、どうせ効かない、、」

事務室から出て少女を殺さんとばかりする翔をがっしりとホールドした宗太郎

宗太郎「ちょっと待て待て!!まだ人類の敵と決まったわけじゃ!!(ここで行かせたら確実に迷惑がかかる、絶対に留めなければ、、)」

翔「どう考えても敵だろ、この西野翔がかならず殺さなければいけない存在だ、そんな馬鹿げたモノ、この世に残しておけない。」

翔は宗太郎を強く睨みつける。

宗太郎「わかった!!わかったから落ち着け!!それでも!!少女に悪意はない!!」

翔「それは関係ない、生活に苦しんで、万引きをした少年を許して何回も万引きさせるのか、違うだろ。そうならないための環境にしてやるんだ、今回の場合は、、地獄が最適だ。」

それでも行こうとする翔に更に制止を掛ける宗太郎

宗太郎「感染の理由がわからない理由だって、少女が、、私を殺して、としか言わないからだ!!そんないたいけな少女をみすみす殺すというのか!信じられない!!」

翔「なら話が速い!その少女とは話が合いそうだ今すぐ会わせろ仲良くなった末に友情の証に殺してやる!!」

翔の前に進む力がさらに強くなる!!

宗太郎「あー!やばいあかんこといった!!違うそうじゃない!!止める理由!!防護服だ!!防護服持っていってください―!!」

翔「あ?やっとまともなこと言ったな、分かった。それが終わったら言ってもいいのか?」

宗太郎「だとしても!!連絡してください!いくらあなたに腰が低い連中とは言え!」

翔「あんなんは下僕だ、好きにしていいはずだ、俺の特権だ。」

翔は天才だ、ゆえに様々なところで優遇されている。

宗太郎「いつか瓦解して立場最悪なりますよ。」

翔「何を言う、そんなにひどい扱い方じゃないだろ、というより助け舟に近い。」

宗太郎「それでも連絡ぐらいしてください、彼らにも予定というものがあります。」

翔「わーったよ。」

そんなことがあり、"連絡"をして"防護服"を持って彼ら、翔と宗太郎は例の国立病院についた。

翔は受付の男性に声をかける

翔「おい!例のバケモノに会わせろ。」

受付の男性「あ!翔様!お待ちしておりました!もちろんです!防護服を着て、ついてきてください。」

翔「ふん!」

翔は自慢気に宗太郎に向けて鼻から息を出した。

宗太郎「ははは、ほんとにすごいですね、そんな人の扱い方をして」

翔「はぁ?勝手に連れて行くっていていたんだろうが!!俺のせいじゃない」

受付の男性「あ!申し訳ありませんが、あのバケモンと会えるのは翔様だけです。片方の方は待っていてください。」

宗太郎「(はぁ?なんで俺まで来たんだ!!連絡した意味とは??まあいいや)分かりました。」

翔「ふん!!」

翔は再度、自慢げに鼻から息を出した。

宗太郎「明らかに雑に扱われていたな、、まあいいか。」

受付の男性「それでは翔様、こちらへ、、」

翔「はーい、それじゃあな!!」

そうして、翔は面会室でガラス越しに少女の前に立つ。

翔「よお、お前を殺しに来た」

少女「誰?そんなことできないよ?」

少女の目に光は一つもなかった。

その大学病院は真っ黒だった、原因不明といったのは殺すためだったらしい。
なら何で死んでいない?理由は簡単。

少女「腹を割かれた、頭をつぶされた。それでも私は死ねない。」

少女はウイルスそのもの、抗ウイルス薬を飲ませることでしか殺すことは出来ないのだ。

翔「それでも、必ず殺してやる。この西野翔の名にかけて、、」

少女「ほんと?」

ーこの人ならこの地獄を終わらせられるの?ー

翔「おい!!このバケモンと一緒に住ませろ!ずっと研究していたい!」

研究者A「もちろんです。」

ー誰も殺せないと思う、でもこのかっこいい人に全てをささげたいー