サヨナラの理由は選択の余白に詰めて

どのくらい泣いたんだろう。
目がぱんぱんに腫れて痛い。

病室に行ったら、陽翔がいなかった。私のたった一人の弟…。
お母さんもお父さんも、そして蓮も。みんな泣いていた。
その後すぐに医師が慌てて入ってきて、『陽翔君のことで、ご家族様にお話があります』って言われた。
でも私はついて行かなかった。その場に蓮と一緒に残った。

泣き疲れたあと、私は陽翔が使っていた物をひとつずつ手にもった。
窓辺に置いてあるぬいぐるみだけ、私は持って帰ることにした。昔、陽翔が生まれたときに私がお母さんと選んだ、思い出の品だったから。
ぬいぐるみを持ち上げたとき、カサッと音を立てて、何かが落ちた。
「なんだろ……」
確認すると、そこには『姉ちゃんへ』と書かれていた。