新横浜駅には、美咲ちゃんのお父さんが迎えに来ていた。
美咲ちゃんが寝ている間に、こっそりと俺はお父さんに連絡していた。改札口で美咲ちゃんのお父さんの顔を見た時、正直心の底からほっとした。
(……1度電話で話しをしてて良かった)
お父さんは、こうなるかも知れないと事前に考えていたらしく、仕事を休んでいるみたいだった。お陰ですぐに新横浜まで来てもらうことができた。
車で帰っていく美咲ちゃんを見送ると、僕は1人電車に乗った。キャリーケースが2倍くらい重たく感じた。
たった1日だったけど……物凄く長く感じた。もし、行く前に美咲ちゃんがあそこまで体調が悪いと知っていたら……俺は熊本に行ったのかな。どうだったんだろう。
(ふぅー……)
磯子駅に着いた時「何だか懐かしいな」と僕は思った。たった1日だけの旅だったのに。何だか数ケ月振りくらいの感覚だった。
家に帰って、ベッドに飛び込む。緊張が解けたからなのか、一気に眠気が襲ってくる。
(流石に疲れたな……)
(美咲ちゃん、大丈夫かな)
とりあえず一旦シャワーを浴びると、俺はそのまま眠ってしまった。
「あれ? 何でいるんだよ」
(……?)
「あ……父さん」
「熊本に行ったんじゃなかったのかよ」
「ん? もう帰ってきたよ」
「2泊するって言ってなかったか?」
お父さんの質問に、一瞬答えることができなかった。
「なんか……友達が急に体調悪くなって」
「……そうか。無事なら……それで良いんじゃないか?」
「大丈夫だと思う。……たぶん」
次の日、俺は図書館へ行く事にした。美咲ちゃん達が演奏会をしていた音楽堂から、歩いて5分くらいにある。横浜市中央図書館。
別に勉強するわけでも無く、プラプラとこの図書館に来ることが多い。……恵や勇太も来ているから。
「あれっ? あんた」
「……おぉ」
「……何。もう帰ってきたの?」
「うん。帰ってきた」
「いつ?」
「昨日」
「何かあった?」
図書館に向かう途中、恵とばったり会った。流石に様子が変なのがバレたのか、入口の階段に腰を掛けて、少し話をすることにする。
「美咲ちゃんさ、体調悪くなっちゃって」
「えー……そうだったんだ……」
「うん。……それで、急きょ、戻って来た感じかな」
「風邪でも引いちゃった?」
「……分からない」
「分からない? どういうこと?」
「熱が結構あったから……とりあえず帰って来たけど。風邪なのかどうかは分かんない」
「……そっか」
「うん」
「美咲ちゃんと連絡取ってんの?」
「……いや。取ってない」
「はぁ? 何で? 心配じゃ無いの?」
「うるさいな……心配に決まってんじゃん」
「じゃあ……何で?」
「違うんだよ。……そういう事じゃ無いんだって……」
「はっ? 意味が分かんない……」
「色々あるんだって。こっちにも」
「……ふぅん。そっか」
「うん」
「まぁ……あんた達にしか分かんないこと、あるもんね」
「……そうだね。でも、後でDM送ってみようとは思ってる」
「うん。そうしてみたら?」
「ありがとね、恵」
「ははっ……あんたらしくないね。もっと堂々としてれば?」
「うん……。たぶん、誰かに聞いて欲しかったのかも」
「……そっか。私で大丈夫だった?」
「あぁ。助かったよ。ありがとな」
きっと俺は誰かと共有したかったんだと思う。1人で抱えるには……ちょっと重たいのかも知れない。怖かったのかも知れない。
図書館からの帰り道。俺は美咲ちゃんにDMを送った。きっと家に帰ってから送ると、何を送ろうか色々と悩んでしまいそうだったから。
「体調、大丈夫?」
俺は一言だけ美咲ちゃんにメッセージを送った。
……だけれど、美咲ちゃんから返信が来ることは無かった。
――嫌な予感が当たりそうで……何だか急に怖くなってしまった。
美咲ちゃんが寝ている間に、こっそりと俺はお父さんに連絡していた。改札口で美咲ちゃんのお父さんの顔を見た時、正直心の底からほっとした。
(……1度電話で話しをしてて良かった)
お父さんは、こうなるかも知れないと事前に考えていたらしく、仕事を休んでいるみたいだった。お陰ですぐに新横浜まで来てもらうことができた。
車で帰っていく美咲ちゃんを見送ると、僕は1人電車に乗った。キャリーケースが2倍くらい重たく感じた。
たった1日だったけど……物凄く長く感じた。もし、行く前に美咲ちゃんがあそこまで体調が悪いと知っていたら……俺は熊本に行ったのかな。どうだったんだろう。
(ふぅー……)
磯子駅に着いた時「何だか懐かしいな」と僕は思った。たった1日だけの旅だったのに。何だか数ケ月振りくらいの感覚だった。
家に帰って、ベッドに飛び込む。緊張が解けたからなのか、一気に眠気が襲ってくる。
(流石に疲れたな……)
(美咲ちゃん、大丈夫かな)
とりあえず一旦シャワーを浴びると、俺はそのまま眠ってしまった。
「あれ? 何でいるんだよ」
(……?)
「あ……父さん」
「熊本に行ったんじゃなかったのかよ」
「ん? もう帰ってきたよ」
「2泊するって言ってなかったか?」
お父さんの質問に、一瞬答えることができなかった。
「なんか……友達が急に体調悪くなって」
「……そうか。無事なら……それで良いんじゃないか?」
「大丈夫だと思う。……たぶん」
次の日、俺は図書館へ行く事にした。美咲ちゃん達が演奏会をしていた音楽堂から、歩いて5分くらいにある。横浜市中央図書館。
別に勉強するわけでも無く、プラプラとこの図書館に来ることが多い。……恵や勇太も来ているから。
「あれっ? あんた」
「……おぉ」
「……何。もう帰ってきたの?」
「うん。帰ってきた」
「いつ?」
「昨日」
「何かあった?」
図書館に向かう途中、恵とばったり会った。流石に様子が変なのがバレたのか、入口の階段に腰を掛けて、少し話をすることにする。
「美咲ちゃんさ、体調悪くなっちゃって」
「えー……そうだったんだ……」
「うん。……それで、急きょ、戻って来た感じかな」
「風邪でも引いちゃった?」
「……分からない」
「分からない? どういうこと?」
「熱が結構あったから……とりあえず帰って来たけど。風邪なのかどうかは分かんない」
「……そっか」
「うん」
「美咲ちゃんと連絡取ってんの?」
「……いや。取ってない」
「はぁ? 何で? 心配じゃ無いの?」
「うるさいな……心配に決まってんじゃん」
「じゃあ……何で?」
「違うんだよ。……そういう事じゃ無いんだって……」
「はっ? 意味が分かんない……」
「色々あるんだって。こっちにも」
「……ふぅん。そっか」
「うん」
「まぁ……あんた達にしか分かんないこと、あるもんね」
「……そうだね。でも、後でDM送ってみようとは思ってる」
「うん。そうしてみたら?」
「ありがとね、恵」
「ははっ……あんたらしくないね。もっと堂々としてれば?」
「うん……。たぶん、誰かに聞いて欲しかったのかも」
「……そっか。私で大丈夫だった?」
「あぁ。助かったよ。ありがとな」
きっと俺は誰かと共有したかったんだと思う。1人で抱えるには……ちょっと重たいのかも知れない。怖かったのかも知れない。
図書館からの帰り道。俺は美咲ちゃんにDMを送った。きっと家に帰ってから送ると、何を送ろうか色々と悩んでしまいそうだったから。
「体調、大丈夫?」
俺は一言だけ美咲ちゃんにメッセージを送った。
……だけれど、美咲ちゃんから返信が来ることは無かった。
――嫌な予感が当たりそうで……何だか急に怖くなってしまった。


