7月28日
14:03
『美咲ちゃん』
『体調どう? 大丈夫?』
午後の3時過ぎ。寝汗がちょっと酷くて、目が覚めた。ぼんやりする目でスマホを手に取ると、思わず「あーっ」と声が出た。
(……げぇ……2時にDM来てるじゃん……)
この日も朝から少し熱っぽく、私はずっと寝ていた。まるで何のために毎日生きているのか分からなくなる。
(……しまったなぁ)
「こんなに返信しなかったら、きっと心配されちゃうよなぁ」と思いながら、寝起きでぼんやりとした目をこする。まだメッセージの字がぼんやりと映っている。
(はぁ……)
汗をかいたお陰で、だいぶ調子は良い。すっかり頭痛も無くなっていた。
(着替えたらメッセージ返さなきゃなぁ)
浴室前でタオルを手に取り、少し湿って重たくなったTシャツを着替える。自分の部屋に戻る前に、茜の前に座り、手を合わせた。
(……ねえ)
(私、どうすれば良い?)
(あんま体調も良くないしさ)
「あー……あの頃の私、どこ行ったー……」
ゴロンとカーペットに寝転び、天井を見ながら弱々しくつぶやいた。
「茜―……」
天井をじっと見つめたまま何も考えずに茜を呼んだ。体中から力が抜けていて、感情は何一つ湧き上がってこない。
「茜―」
よいしょと起き上がり、また仏壇に向き合う。正座で茜に語りかけた。
「あんたが持ってったの?」
「ねえ」
「私の体調」
茜は何も言ってくれない。笑顔のまま。
「……私のこと、好きなんだったら……分かるけどさ」
「ねえ」
ぐっと顔を、より一層茜に近づけた。
「私のこと、好きなんだったらさ」
「返しなさいよ。持って行かないでよ」
「ねえってば」
今度は横向きにゴロンと体を倒す。覆いかぶさるようにカーペットの上に体を横たえた。
「はぁーー……っ」
「どうしたもんかなぁ……」
「……困った妹ちゃんだよ」
もう一度ゆっくりと手を合わせてから、私は自分の部屋へと戻った。
15:12
『ごめんね……寝てた』
『DMありがと。元気だよ!』
15:24
『本当?』
『良かった! メッセージ遠慮しといた』
(……本当?)
心の中のもやもやがスーッと晴れていくように感じた。
――何て、分かりやすいんだろう。
15:30
『もうちょっと良くなったらさ、どっか連れてって』
『磯子、もっと知りたいから』
「ちょっと積極的過ぎたかな……」と送った後に少し後悔する。でも、ずっとやりとりしたかったから……。「これくらいで丁度良いんだ」と自分を言い聞かせた。
15:38
『うん。また行こう!』
『今度さ、森林公園散歩しようよ』
15:47
『根岸のやつだよね?』
『いつでも良いからね!』
(……『いつだって良いよ?』 今からだって良いのに)
(あー……こんな体調じゃなきゃなあ……もっと気軽に誘ってもらえるのかな)
「あ!」
ベッドから飛び起きて、再び茜の前に座った。
「……分かった」
「あんた、嫉妬してるんでしょ」
「そういうことかあ。可愛いやつだ」
「ダメだよ。ちゃんと温かく見守ってよね」
「……私、頑張るからさ」
茜は笑顔のまま。返事はしてくれない。何一つ表情を変えてはくれなかった。
(茜とも直接話がしたいなぁ……)
(もうできないのか)
「はぁー……」
私は家の中で、毎日毎日ため息ばかりついているような気がする。
布団に入り、もう少し寝る事にした。日が少し傾いて、部屋の中に入ってくる西日は、うたた寝にはちょうど良いなと思いながら。
14:03
『美咲ちゃん』
『体調どう? 大丈夫?』
午後の3時過ぎ。寝汗がちょっと酷くて、目が覚めた。ぼんやりする目でスマホを手に取ると、思わず「あーっ」と声が出た。
(……げぇ……2時にDM来てるじゃん……)
この日も朝から少し熱っぽく、私はずっと寝ていた。まるで何のために毎日生きているのか分からなくなる。
(……しまったなぁ)
「こんなに返信しなかったら、きっと心配されちゃうよなぁ」と思いながら、寝起きでぼんやりとした目をこする。まだメッセージの字がぼんやりと映っている。
(はぁ……)
汗をかいたお陰で、だいぶ調子は良い。すっかり頭痛も無くなっていた。
(着替えたらメッセージ返さなきゃなぁ)
浴室前でタオルを手に取り、少し湿って重たくなったTシャツを着替える。自分の部屋に戻る前に、茜の前に座り、手を合わせた。
(……ねえ)
(私、どうすれば良い?)
(あんま体調も良くないしさ)
「あー……あの頃の私、どこ行ったー……」
ゴロンとカーペットに寝転び、天井を見ながら弱々しくつぶやいた。
「茜―……」
天井をじっと見つめたまま何も考えずに茜を呼んだ。体中から力が抜けていて、感情は何一つ湧き上がってこない。
「茜―」
よいしょと起き上がり、また仏壇に向き合う。正座で茜に語りかけた。
「あんたが持ってったの?」
「ねえ」
「私の体調」
茜は何も言ってくれない。笑顔のまま。
「……私のこと、好きなんだったら……分かるけどさ」
「ねえ」
ぐっと顔を、より一層茜に近づけた。
「私のこと、好きなんだったらさ」
「返しなさいよ。持って行かないでよ」
「ねえってば」
今度は横向きにゴロンと体を倒す。覆いかぶさるようにカーペットの上に体を横たえた。
「はぁーー……っ」
「どうしたもんかなぁ……」
「……困った妹ちゃんだよ」
もう一度ゆっくりと手を合わせてから、私は自分の部屋へと戻った。
15:12
『ごめんね……寝てた』
『DMありがと。元気だよ!』
15:24
『本当?』
『良かった! メッセージ遠慮しといた』
(……本当?)
心の中のもやもやがスーッと晴れていくように感じた。
――何て、分かりやすいんだろう。
15:30
『もうちょっと良くなったらさ、どっか連れてって』
『磯子、もっと知りたいから』
「ちょっと積極的過ぎたかな……」と送った後に少し後悔する。でも、ずっとやりとりしたかったから……。「これくらいで丁度良いんだ」と自分を言い聞かせた。
15:38
『うん。また行こう!』
『今度さ、森林公園散歩しようよ』
15:47
『根岸のやつだよね?』
『いつでも良いからね!』
(……『いつだって良いよ?』 今からだって良いのに)
(あー……こんな体調じゃなきゃなあ……もっと気軽に誘ってもらえるのかな)
「あ!」
ベッドから飛び起きて、再び茜の前に座った。
「……分かった」
「あんた、嫉妬してるんでしょ」
「そういうことかあ。可愛いやつだ」
「ダメだよ。ちゃんと温かく見守ってよね」
「……私、頑張るからさ」
茜は笑顔のまま。返事はしてくれない。何一つ表情を変えてはくれなかった。
(茜とも直接話がしたいなぁ……)
(もうできないのか)
「はぁー……」
私は家の中で、毎日毎日ため息ばかりついているような気がする。
布団に入り、もう少し寝る事にした。日が少し傾いて、部屋の中に入ってくる西日は、うたた寝にはちょうど良いなと思いながら。


