宇宙‹スペース›級博愛系アイドルみるく♡めぽわ~る☆

その後、俺は事情聴取のため先生に職員室へ来るように呼び出しを食らった。
今回の件に関して俺はとばっちりでは?とも思ったがこの短い期間に俺含め2人も校内で気絶している異常事態のせいか、明らかに先生達の顔色が悪い。
俺に質問をする担任の先生もありえないほど猫背になり机に肘をついて、重たそうに頭を抱えながら5秒に1回くらいため息を吐いている。
他人事になってしまうが本当に気の毒だ。
「あぁ......うん、それで...ハア......あの、聞いた、かな?西条くんから...あの、金髪の男の子ね。...ッスーーー...はあ......」
「...ええと、『みるちゃん』のことですか?」
「...あっ、あ、あ~~~、そう、そう。そっか、聞いちゃったか〜。ははは......えー、うん。
...どんなこと言ってた?」
「...俺の事を『みるちゃん』って......言ってて、なんか、様子がおかしかったです。」
「...うん。そうだね。他にはある?」
「えーと、意味はわからなかったんですけど、みるちゃんは自分のこと『俺』なんて言わない、みたいなことを言ってて.......」
「...うん。そっか。他には?」
「いえ、そのまま倒れちゃったので特に何も...」
「...何も?」
「はい。」
「えッ!!!!何も!?」
「え、はい。」
「ッッッシャア!!!!」
「うわっ!は、え?」
「神は俺を赦した!!!!!」
「えっ!?え!?」
さっきまで死刑執行5分前くらいの顔をしていた先生が突如として天高くガッツポーズを掲げながら笹食ってる場合じゃねえ!くらいの躍動感がすごい俊敏な動きで職員室を飛び出して行ってしまった。なんか、そんなブチアガる要素ありましたっけ、今の時間。
なんか『神』とか言ってたし、今この時間だけで何か新たな信仰にでも目覚めてしまったんだろうか。
そして「あっ!」とか「ずる!」とか他の先生から聞こえた気がする。唖然とした顔のままそちらを向くと全員がすばやく俺から目を逸らした。
手近な教師に話しかけようとするも見えない壁でもあるみたいに一定の距離を保って逃げられた。なんだこれ。
誰も相手にしてくれそうに無いので仕方なくモーセの如く教師陣の海を割って職員室を後にした。なんとなく気付いたことだが、学年問わずすれ違うほぼ全ての生徒からもチラチラ見られている。もう自意識過剰なんてレベルじゃない。
みんな俺がそちらを向いただけでビクッとして足早に去っていくが、一定の距離を保って目を合わさないように、まるで檻から出てきた珍獣を見るみたいに遠巻きに見てくるのである。
どうなっているんだ?
本当に俺は何をしたんだ?
今現在記憶から飛んでる期間に、教師生徒問わず学校中から避けられるまでのレベルのとんでもないことをしてしまったことは分かりたくないけど分かってしまった。
自分のことなのにいくら頭の中を引っ掻き回しても出て来ない。まるで自分の中に見えないバケモノでも潜んでいるみたいな...
もう暖かい季節だというのに血管の一つ一つから全身が冷えきって、ドクドクと心臓の音が頭の中を揺らしながら反響する。
正体不明の不安でとても聞けたもんじゃない授業を終えて、1人とぼとぼと帰り道を歩く。
何もしないで歩くと余計に嫌なことを考え込んでしまいそうで、何の気なしにスマホをいじっていた。
とりあえずメッセージの通知を見る。
親からの「今日大丈夫だった?」というメッセージに返信しようとアプリを開くと、記憶にないグループが追加されていた。
開くとそれはクラスのグループチャットのようで、時間割や提出物や課題を聞いたりだとか、対戦ゲームのフレンドを募ったりだとか、なんてことの無い内容がポツポツと連なっていた。
記憶にない間に登録してたんだ。
手持ち無沙汰にスイスイと上へ、過去のチャットの方へと遡っていくと、緑色をしたフキダシ、つまり自分が投げたであろうメッセージが目に入った。
日付は入学して数日経ったあたり。
内容は...なんだ、これは........?
...絵文字が多すぎてまるで読めない。
ハートだのキラキラだの星だの、いかにもカワイイ系のそれが単語の間、下手したら2文字か3文字ごとに突っ込まれているし、なんか「めう」とか「ぺぽ」とかおおよそ普通の会話に使われないような謎の言葉も挟まっている。
カワイイを勘違いした重度の精神病患者が書いたような文章をどうにか読み解けば、なんか、なんだろう...信じたくないがライブ、だの握手会だのとのたまっている、っぽい。
俺まだ頭がおかしいまんまだったのかな?と思って何度か読み返したが間違いない。
しかもチケットが3000円とか言ってるし。
え?曲とか自作してCDも作ってるの?
嘘だろ?
おい待て。
CD(サイン付き)1枚1200円。
ちゃんとした金額を取るなバカ野郎。
え?
マジで?
誰かのイタズラか?
そう思い込もうとしても、これがドッキリとかイタズラの類じゃないことは今までの周りの人たちの反応や雰囲気でなんとなくわかってしまって。
いくつもの点と点がつながって線になり、1つの答えが浮かび上がった。
...そ、
そういう事だったのか...!!!

ようやく合点がいった。

俺はすぐさまそのグループのメンバー一覧の1番上から個人チャットを開いた。