一歩、また一歩と後ずさりしながら、自分がどのようにして生まれ、存在するに至ったのかを知ったオディールは、やがてすべてを諦めたように静かに両手を下ろします。
部屋から漏れ聞こえる不気味な笑い声を背に、彼女は朦朧と自室へと向かって歩き出していました。
途中の階段の踊り場、窓から覗く真珠色の月を見上げながら、彼女の胸を占めるのはやはりジークフリートのことでした。
(あの方を求めてもいいのだろうか。私のような存在が、あの方の隣に寄り添うことなど許されるのだろうか……)
懐に忍ばせた銀のボタンを服の上から強く握りしめますが、あまりの衝撃に涙さえ流れてはくれません。
オニキスが心配そうに寄り添うと、その黒い毛並みを細い指で撫でながら、オディールは己の嘲笑的な運命をあざ笑うのでした。
(私は、魔王の娘ですらなかった。何を感じ、何の為に生まれて来たのだろう)と。
部屋から漏れ聞こえる不気味な笑い声を背に、彼女は朦朧と自室へと向かって歩き出していました。
途中の階段の踊り場、窓から覗く真珠色の月を見上げながら、彼女の胸を占めるのはやはりジークフリートのことでした。
(あの方を求めてもいいのだろうか。私のような存在が、あの方の隣に寄り添うことなど許されるのだろうか……)
懐に忍ばせた銀のボタンを服の上から強く握りしめますが、あまりの衝撃に涙さえ流れてはくれません。
オニキスが心配そうに寄り添うと、その黒い毛並みを細い指で撫でながら、オディールは己の嘲笑的な運命をあざ笑うのでした。
(私は、魔王の娘ですらなかった。何を感じ、何の為に生まれて来たのだろう)と。



