「どうしたのだ、我が娘オディールよ」
普段ならば固く閉ざしている心の扉を、いまのオディールは抑えきれずに開いてしまっていました。
「私……人間の青年に恋をしてしまったみたいです」
膝を折り、俯くオディールの悲痛な様子とは対照的に、魔王は興味深そうに目を細めます。
「ほう……。それは一体、どのような青年なのだ?」
「おそらく高貴な身分の方かと……。あの方が去られた跡に、このボタンが落ちていました」
差し出された小さな銀のボタンを手に取ったロートバルトは、そこに刻まれた細工を鋭い眼差しで見つめ、暗い思考を張り巡らせました。
(この紋章は、疑いようもなくフリート家の……)
「その青年と、どこで出会ったというのだ?」
「湖のほとりです……。そこには、白鳥の姿をした女性の姿もありました。あのお方は、彼女を何処かへ誘っておられるようでした」
それを聞いた瞬間、ロートバルトの冷ややかな口元が、歪にニヤリと吊り上がります。
(フリート家か……。確か成人を迎える若き王子がいたはず。あそこは代々、祝宴の舞踏会にて妃を選ぶのが仕来たり……)
ロートバルトは、慈悲深い父親を演じるかのように、オディールの肩にそっと手を添えました。
普段ならば固く閉ざしている心の扉を、いまのオディールは抑えきれずに開いてしまっていました。
「私……人間の青年に恋をしてしまったみたいです」
膝を折り、俯くオディールの悲痛な様子とは対照的に、魔王は興味深そうに目を細めます。
「ほう……。それは一体、どのような青年なのだ?」
「おそらく高貴な身分の方かと……。あの方が去られた跡に、このボタンが落ちていました」
差し出された小さな銀のボタンを手に取ったロートバルトは、そこに刻まれた細工を鋭い眼差しで見つめ、暗い思考を張り巡らせました。
(この紋章は、疑いようもなくフリート家の……)
「その青年と、どこで出会ったというのだ?」
「湖のほとりです……。そこには、白鳥の姿をした女性の姿もありました。あのお方は、彼女を何処かへ誘っておられるようでした」
それを聞いた瞬間、ロートバルトの冷ややかな口元が、歪にニヤリと吊り上がります。
(フリート家か……。確か成人を迎える若き王子がいたはず。あそこは代々、祝宴の舞踏会にて妃を選ぶのが仕来たり……)
ロートバルトは、慈悲深い父親を演じるかのように、オディールの肩にそっと手を添えました。



