曇り空。体育館倉庫の裏。いつもと同じように僕——立花 悠は、いじめられいた。
「おいっ!」
ガッシャーンっ!
「かはっ、」
僕は大きな音とともにフェンスに思いっきり押し付けられた。痛い……。
「お前さ、いつもかわいいもの女子と語ってて気持ち悪ぃんだよ!!」
この学校に入学して、今日がちょうど一年。その一年間ずっと浴びせられた言葉。いや、生まれてからずっと言われ続けた言葉。
男のくせにかわいいのが好きとかヤバいでしょ、気持ち悪い、おかしい、転校しろよ。
「お前は 男 だろ」
「くっ……」
無意識に手に力が入り、爪がめり込んで血が出てきた。
でも、こんなちっぽけな傷よりもずっとずっと深く、心は痛くて、つらくて、しんどくて。
「なんで……」
僕は、普通に生きてるだけなのに、なんでこんなに怒られなきゃいけないんだろう……。
「はぁ?声が小さくてなんも聞こえねぇーよ。もっと声大きくして喋れよ」
「っ、なんで普通に生きてるだけなのに、それのなにがおかしいの!?」
精一杯の反抗で、血が滴る右手を相手の胸板に押し付けた。
——が、逆効果だったみたいだ。
「ふざけんなよっ!!!」
相手の拳が僕の顔面に勢いよく降りかかってきた。
僕は目をつむって衝撃が来るのを待った。でもいつまで経っても衝撃は来ない。
恐る恐る目を開けると、目の前で拳が誰かの手によって止められていた。
「おにーさんたち」
少し高めの声がする方を見ると、そこにはかっこいいボーイッシュのスラックスを履いた人がいた。
「なにしてんの?」
「おにーさんたち、なにしてんの?」
華奢な体、高い声、かっこいいボーイッシュな髪型、スラックスを身に纏った人。
この人、ブレザーに赤い線が入っている……ってことは、今日入学してきた一年生なのか。
「はぁ?おめぇには関係ねーだろ」
「そーだぞ、知らん奴が口出すんじゃねぇよ!」
後ろにいた野次が口調を荒く、一年生を怒鳴り散らかした。
「えぇ~?wおにーさんたち、こわぁーいw」
「お前、いいかげんに……っ、ヴッ」
中心核の奴が近寄ると、一年生はそいつの頭を思いっきり殴った。
「一応これでも体は女だから優しくしろっつーの、バカが。あーでも、それは男女平等じゃないかぁー」
一年生は「じゃーあw」と、とても悪い顔をしてこの言葉を言い放ったのだ。
「お前らボコして、もう二度と喧嘩出来ないようにしてあげる♡」
……数分後。
「ぐはっ、」
「うぐ、っ……」
「お前らw、めちゃくちゃよえーじゃんw 拍子抜けしたわw」
一年生はケラケラと笑いながら汚れた手をハンカチで拭った。
「あ、あのっ……」
僕は一年生を情けない声で引き留めると、一年生は「んー?」と手を頭の後ろに当てながら答えてくれた。
「あ、ありがとう、っ!」
一年生に、それも一応体は女子……の人に助けてもらったことから、感謝の気持ちが情けない声になってしまった。
一年生は少しの間の後、ふっ、と笑った。とても可愛らしかった。
「あのさ、君!名前、教えてくれない?」
「え!?あ、えっと、立花悠、っていいます」
「おっけー、悠ね。じゃあ!」
ニコッと八重歯を見せて笑って「悠センパイ、これから一緒に世界壊そうな!」と拳を強くこちらに向け、元気良く答えた。
その姿はとてもかっこいい少年のように見えた。
「それじゃあ!明日の放課後、屋上で待ってるからねー!」
そう手を振りながら去っていく一年生の背中をただひたすら見ていた。姿が見えなくなってしばらくした後、いつもよりゆっくりと家に帰っても、家についてからも、寝る前までも、「世界を壊す」というあの一年生の言葉の意味が分かんなかった。
でも、帰りの空はなぜか、少し晴れていたのだった。
翌日。昨日の一年生に言われた通り、帰りのHRが終わった後に屋上へ向かった。
屋上へと続く階段を上っていると、ふいに斜め前にあった鉄の扉がギィーと音を立てながら開いた。
「お!悠センパイきたぁー!おはよーございます!」
元気良く答えた一年生に僕も「おはよう」と答えた。
ギィーと鳴って屋上の扉が閉じる。
少しの間の後、僕は昨日からずっと考えていたことを、一年生に聞いた。
「あの、昨日言ってた『世界を壊す』……って、どうゆ……」
「ちょ、センパイ!まだ早いって!それは本題!まずは僕の名前、教えないと!」
僕のセリフを遮ってから、咳払いをした一年生。
「僕は 佐々木いつき っていーます!一年生だよ!みんなからは いっちー って呼ばれてるから、悠センパイにもそう呼ばれたいかも!よろしくね?」
「わかったよ」
「ありがとーございます!そして、好きなものは、かっこいいものと、かわいいもの!あと!自分の信条は『性別に囚われない』こと!」
終始とてもにこにこしていて、表情が豊かな子だと、その様子からわかった。
「悠センパイの信条とかってないの?」
「うーん、ないかな、」
「ないのかー、まあでも!それも悠センパイの良いところかもね!じゃあ!これからよろしくお願いしまーす!」
「よろしく」
一通り、いっちーの自己紹介が終わると、いっちーが
「ええーとね、悠センパイをここに呼び出した理由はねー……」
と喋り出した。
「ズバリ!悠センパイと世界を壊したいと思ってたからです!!」
「その、昨日も言ってたし、さっきも僕聞いたんだけど、『世界を壊したい』ってどうゆうこと?」
「???」
僕が質問すると、頭にハテナを浮かべたような顔をされてしまった。どうしよう。
それも束の間、すぐにいっちーは軽く笑った。
「そのまんまの意味だよ。僕は世界を壊したいんだ!」
「でも、世界を壊す、って、どうやって?」
「……暴力!」
「絶対ダメでしょ」
ふざけながら空中にグーパンチを繰り出しているいっちーに冷静にツッこむと、「リズム良っ!僕、悠センパイと相性良いかもしれない!」と騒いでいた。
「やったね♪」
いっちーにハイタッチを求められて、僕は少し戸惑いながらも、手に触れた。
「だけど、なんで僕?昨日のなんて、本当にカッコ悪いところだけしか見せてないと思うんだけど……」
「悠センパイだから、だよ」
「……って、いうと?」
「悠センパイさ、昨日、アイツらにボコボコにされてたじゃん」
「うん」
ボコボコって……。いや、本当のことなんだけどさ。
でも、昨日は反撃したからいつもより手荒だったし、結構ヤバかったから、いっちーが来てくれて良かった。
「その理由……に、僕は興味があるんだよね」
「り、ゆう、、」
「うん」
この流れは、"僕のこと"、を話さなきゃいけないのか?
「な、なんで、そんなこと、君に言わなきゃいけないの……?」
もう、傷付くのは、嫌だっ。
そう思い、咄嗟にUターンをし屋上のドアノブに手をかけようとした時、「別に!」といっちーが声を上げた。
その声に僕は手を止めた。
「別に僕は、悠センパイがおかしいって、微塵も思わないよ」
その瞬間、僕の正面から風が通り抜けたような、爽快感に包まれた。
「え……?」
「あの状況で反撃するなんて、めっちゃかっこいいじゃん!」
また、八重歯を見せてこちらにグットサインを見せて笑っていた。
「怖すぎてボク、気絶しちゃうかも~」
「いや、僕の代わりにアイツら五人やっつけてたじゃん」
「たしかにー!」
可愛い子ぶってるいっちーに本当の事をツッコミながら言うと、元気に賛同された。
「でもさ!悠センパイは、もっと自分に自信を持って生きてよ!」
「悠センパイに悪さをする奴がいたら、また僕がボコボコにしてあげるからさ!」
「いっちー……」
手を後ろにやり、背中を見せた いっちーは、
「実はね……」
と少し声のトーンを低くしたので、世界を怖す理由を話してくれるのかと身構えたけど、僕の見当違いだったようだ。
「まぁ!世界壊す理由は、これから探していこ!って話!」
「え!?」
とても元気良く答えられたのでまさかの言葉に驚いてしまった。
「焦っても仕方ないじゃん?まだ時間はたっくさん!あるんだし、これからゆっくりお互いのことを知っていこうよ!」
「うん」
「でーもっ!ここでサービス!少しだけ話してあげよーう!理由はね、悠センパイが……悠センパイみたいな人たちが、もっと気楽に、自由に!生きていけるために、世界を壊したいって思ってるってことかな~」
「僕や、僕みたいな人たちが……?」
「そう!僕もその人たちの仲間だよ!あと、世界を壊す理由はまだまだあるんだけどね~♪」
僕もその人たちの仲間だよって、いっちーも僕みたいな悩みを抱えてる、っていうことなのかな……。
そう思っていると、いっちーは僕に軽く微笑み、話し出してくれた。
「僕さぁ、性別に囚われずに生きていきたいんだよね」
「性別に、囚われずに……」
「そう!僕は男でも女でもないなって自分自身で思ってて、可愛いものもかっこいいものも好きだし!僕は性別の二つで決められるものじゃないし、それに決められたくないし!」
「好きなものはちゃんと大好きー!って大声で言いたい!!し、それを性別のせいで言えない人がいるのはおかしいって思ってるんだよね」
「すべての人が性別関係なく、好きなものをちゃんと好きって言えて、好きなものに正直に、幸せになれる世界になってほしいな、ってずっと思ってるんだ!」
「すべての人が性別関係なく、好きなものに正直になれる、世界……」
清々しい顔をしながら話すいっちーの言葉を独り言のように、呟いた。
「そもそも!世間に性別ってゆー言葉が無くなることが、僕自身の目標なんだけどね!」
「……っ!」
いいな、それ……そんな、世界……。
「そんな世界を僕は、悠センパイと作っていきたいんだ!」
いっちーとそんな世界を作れたら、今の世界を壊せたら、その先には今よりもっと、素晴らしい世界が待っているんだろう。
少なくとも、今の生活のようなことになることはないんだろう。
「ふっ、」
思わず頬がにやけた。
今、柄にもなく、僕は興奮している。そんな世界を作れたら……と、とてもワクワクしているんだ。
「いいね……一緒に作ってみたい、!」
「うん!これから一緒に世界を壊して、作ろう!」
これからの一年は、違う景色が見れるかもしれない、と思った。
「おいっ!」
ガッシャーンっ!
「かはっ、」
僕は大きな音とともにフェンスに思いっきり押し付けられた。痛い……。
「お前さ、いつもかわいいもの女子と語ってて気持ち悪ぃんだよ!!」
この学校に入学して、今日がちょうど一年。その一年間ずっと浴びせられた言葉。いや、生まれてからずっと言われ続けた言葉。
男のくせにかわいいのが好きとかヤバいでしょ、気持ち悪い、おかしい、転校しろよ。
「お前は 男 だろ」
「くっ……」
無意識に手に力が入り、爪がめり込んで血が出てきた。
でも、こんなちっぽけな傷よりもずっとずっと深く、心は痛くて、つらくて、しんどくて。
「なんで……」
僕は、普通に生きてるだけなのに、なんでこんなに怒られなきゃいけないんだろう……。
「はぁ?声が小さくてなんも聞こえねぇーよ。もっと声大きくして喋れよ」
「っ、なんで普通に生きてるだけなのに、それのなにがおかしいの!?」
精一杯の反抗で、血が滴る右手を相手の胸板に押し付けた。
——が、逆効果だったみたいだ。
「ふざけんなよっ!!!」
相手の拳が僕の顔面に勢いよく降りかかってきた。
僕は目をつむって衝撃が来るのを待った。でもいつまで経っても衝撃は来ない。
恐る恐る目を開けると、目の前で拳が誰かの手によって止められていた。
「おにーさんたち」
少し高めの声がする方を見ると、そこにはかっこいいボーイッシュのスラックスを履いた人がいた。
「なにしてんの?」
「おにーさんたち、なにしてんの?」
華奢な体、高い声、かっこいいボーイッシュな髪型、スラックスを身に纏った人。
この人、ブレザーに赤い線が入っている……ってことは、今日入学してきた一年生なのか。
「はぁ?おめぇには関係ねーだろ」
「そーだぞ、知らん奴が口出すんじゃねぇよ!」
後ろにいた野次が口調を荒く、一年生を怒鳴り散らかした。
「えぇ~?wおにーさんたち、こわぁーいw」
「お前、いいかげんに……っ、ヴッ」
中心核の奴が近寄ると、一年生はそいつの頭を思いっきり殴った。
「一応これでも体は女だから優しくしろっつーの、バカが。あーでも、それは男女平等じゃないかぁー」
一年生は「じゃーあw」と、とても悪い顔をしてこの言葉を言い放ったのだ。
「お前らボコして、もう二度と喧嘩出来ないようにしてあげる♡」
……数分後。
「ぐはっ、」
「うぐ、っ……」
「お前らw、めちゃくちゃよえーじゃんw 拍子抜けしたわw」
一年生はケラケラと笑いながら汚れた手をハンカチで拭った。
「あ、あのっ……」
僕は一年生を情けない声で引き留めると、一年生は「んー?」と手を頭の後ろに当てながら答えてくれた。
「あ、ありがとう、っ!」
一年生に、それも一応体は女子……の人に助けてもらったことから、感謝の気持ちが情けない声になってしまった。
一年生は少しの間の後、ふっ、と笑った。とても可愛らしかった。
「あのさ、君!名前、教えてくれない?」
「え!?あ、えっと、立花悠、っていいます」
「おっけー、悠ね。じゃあ!」
ニコッと八重歯を見せて笑って「悠センパイ、これから一緒に世界壊そうな!」と拳を強くこちらに向け、元気良く答えた。
その姿はとてもかっこいい少年のように見えた。
「それじゃあ!明日の放課後、屋上で待ってるからねー!」
そう手を振りながら去っていく一年生の背中をただひたすら見ていた。姿が見えなくなってしばらくした後、いつもよりゆっくりと家に帰っても、家についてからも、寝る前までも、「世界を壊す」というあの一年生の言葉の意味が分かんなかった。
でも、帰りの空はなぜか、少し晴れていたのだった。
翌日。昨日の一年生に言われた通り、帰りのHRが終わった後に屋上へ向かった。
屋上へと続く階段を上っていると、ふいに斜め前にあった鉄の扉がギィーと音を立てながら開いた。
「お!悠センパイきたぁー!おはよーございます!」
元気良く答えた一年生に僕も「おはよう」と答えた。
ギィーと鳴って屋上の扉が閉じる。
少しの間の後、僕は昨日からずっと考えていたことを、一年生に聞いた。
「あの、昨日言ってた『世界を壊す』……って、どうゆ……」
「ちょ、センパイ!まだ早いって!それは本題!まずは僕の名前、教えないと!」
僕のセリフを遮ってから、咳払いをした一年生。
「僕は 佐々木いつき っていーます!一年生だよ!みんなからは いっちー って呼ばれてるから、悠センパイにもそう呼ばれたいかも!よろしくね?」
「わかったよ」
「ありがとーございます!そして、好きなものは、かっこいいものと、かわいいもの!あと!自分の信条は『性別に囚われない』こと!」
終始とてもにこにこしていて、表情が豊かな子だと、その様子からわかった。
「悠センパイの信条とかってないの?」
「うーん、ないかな、」
「ないのかー、まあでも!それも悠センパイの良いところかもね!じゃあ!これからよろしくお願いしまーす!」
「よろしく」
一通り、いっちーの自己紹介が終わると、いっちーが
「ええーとね、悠センパイをここに呼び出した理由はねー……」
と喋り出した。
「ズバリ!悠センパイと世界を壊したいと思ってたからです!!」
「その、昨日も言ってたし、さっきも僕聞いたんだけど、『世界を壊したい』ってどうゆうこと?」
「???」
僕が質問すると、頭にハテナを浮かべたような顔をされてしまった。どうしよう。
それも束の間、すぐにいっちーは軽く笑った。
「そのまんまの意味だよ。僕は世界を壊したいんだ!」
「でも、世界を壊す、って、どうやって?」
「……暴力!」
「絶対ダメでしょ」
ふざけながら空中にグーパンチを繰り出しているいっちーに冷静にツッこむと、「リズム良っ!僕、悠センパイと相性良いかもしれない!」と騒いでいた。
「やったね♪」
いっちーにハイタッチを求められて、僕は少し戸惑いながらも、手に触れた。
「だけど、なんで僕?昨日のなんて、本当にカッコ悪いところだけしか見せてないと思うんだけど……」
「悠センパイだから、だよ」
「……って、いうと?」
「悠センパイさ、昨日、アイツらにボコボコにされてたじゃん」
「うん」
ボコボコって……。いや、本当のことなんだけどさ。
でも、昨日は反撃したからいつもより手荒だったし、結構ヤバかったから、いっちーが来てくれて良かった。
「その理由……に、僕は興味があるんだよね」
「り、ゆう、、」
「うん」
この流れは、"僕のこと"、を話さなきゃいけないのか?
「な、なんで、そんなこと、君に言わなきゃいけないの……?」
もう、傷付くのは、嫌だっ。
そう思い、咄嗟にUターンをし屋上のドアノブに手をかけようとした時、「別に!」といっちーが声を上げた。
その声に僕は手を止めた。
「別に僕は、悠センパイがおかしいって、微塵も思わないよ」
その瞬間、僕の正面から風が通り抜けたような、爽快感に包まれた。
「え……?」
「あの状況で反撃するなんて、めっちゃかっこいいじゃん!」
また、八重歯を見せてこちらにグットサインを見せて笑っていた。
「怖すぎてボク、気絶しちゃうかも~」
「いや、僕の代わりにアイツら五人やっつけてたじゃん」
「たしかにー!」
可愛い子ぶってるいっちーに本当の事をツッコミながら言うと、元気に賛同された。
「でもさ!悠センパイは、もっと自分に自信を持って生きてよ!」
「悠センパイに悪さをする奴がいたら、また僕がボコボコにしてあげるからさ!」
「いっちー……」
手を後ろにやり、背中を見せた いっちーは、
「実はね……」
と少し声のトーンを低くしたので、世界を怖す理由を話してくれるのかと身構えたけど、僕の見当違いだったようだ。
「まぁ!世界壊す理由は、これから探していこ!って話!」
「え!?」
とても元気良く答えられたのでまさかの言葉に驚いてしまった。
「焦っても仕方ないじゃん?まだ時間はたっくさん!あるんだし、これからゆっくりお互いのことを知っていこうよ!」
「うん」
「でーもっ!ここでサービス!少しだけ話してあげよーう!理由はね、悠センパイが……悠センパイみたいな人たちが、もっと気楽に、自由に!生きていけるために、世界を壊したいって思ってるってことかな~」
「僕や、僕みたいな人たちが……?」
「そう!僕もその人たちの仲間だよ!あと、世界を壊す理由はまだまだあるんだけどね~♪」
僕もその人たちの仲間だよって、いっちーも僕みたいな悩みを抱えてる、っていうことなのかな……。
そう思っていると、いっちーは僕に軽く微笑み、話し出してくれた。
「僕さぁ、性別に囚われずに生きていきたいんだよね」
「性別に、囚われずに……」
「そう!僕は男でも女でもないなって自分自身で思ってて、可愛いものもかっこいいものも好きだし!僕は性別の二つで決められるものじゃないし、それに決められたくないし!」
「好きなものはちゃんと大好きー!って大声で言いたい!!し、それを性別のせいで言えない人がいるのはおかしいって思ってるんだよね」
「すべての人が性別関係なく、好きなものをちゃんと好きって言えて、好きなものに正直に、幸せになれる世界になってほしいな、ってずっと思ってるんだ!」
「すべての人が性別関係なく、好きなものに正直になれる、世界……」
清々しい顔をしながら話すいっちーの言葉を独り言のように、呟いた。
「そもそも!世間に性別ってゆー言葉が無くなることが、僕自身の目標なんだけどね!」
「……っ!」
いいな、それ……そんな、世界……。
「そんな世界を僕は、悠センパイと作っていきたいんだ!」
いっちーとそんな世界を作れたら、今の世界を壊せたら、その先には今よりもっと、素晴らしい世界が待っているんだろう。
少なくとも、今の生活のようなことになることはないんだろう。
「ふっ、」
思わず頬がにやけた。
今、柄にもなく、僕は興奮している。そんな世界を作れたら……と、とてもワクワクしているんだ。
「いいね……一緒に作ってみたい、!」
「うん!これから一緒に世界を壊して、作ろう!」
これからの一年は、違う景色が見れるかもしれない、と思った。


