秘密を隠した僕たちは、極端な世界を壊す

 キーンコーンカーンコーン。
 僕は屋上に行き、いつものように一人で至福の時間を過ごしていた。
 それは……。

「かわいいっ……!!」

 弁当袋からお弁当を取り出し、可愛らしいシマエナガと目が合う。
 そう。至福の時間とは、僕の大好きなシマエナガを眺めることだ。
 でもなんで、一人でこんなにコソコソしているのかというと、やっぱり男の子で可愛いものが好きだっていうことを誰かに知られるのは、嫌だから。
 僕は、僕の好きなものが大好きだけど、誰にも知られずに、なんにも言われずに、一人で満喫したいのだ。
 好きな気持ちを誰かに共有したくて、でも出来なくて悲しい時もあるけど、それ以上に好きなものをバカにされたり、好きなものを誰かに何かに言われて嫌いになることになったら、それの方がもっと嫌なのだ。僕はとっても弱いから。
 だから、この学校に入学してから一ヶ月間、お昼休みは誰もいない屋上に行き、たった一人で 好きなものに囲まれてお昼ご飯を食べているのだ。
 
 数秒、大好きなシマエナガを眺め、やっと弁当に手をつけた。
 
「美味しいなぁ〜!」

 今日の自信作のたまご焼きを頬張り、呟く。
 次々に食べ進めて、三分の一くらい食べ終わって喉が乾き、水筒を手にしたその時。
 ガチャ、と後ろから音が聞こえた。

「えっ……」

 屋上にきた男子生徒と目が合う。
 男子生徒が風呂敷を指差し、口元を手で押さえてる。指の隙間から、口角が上がっていることがわかった。

 終わった、と思った。でも、そう思った時には手遅れで……。

「フッ……」
「まっ」

 待って!!と叫ぼうとしたが、その男子生徒は、とても悪い顔をして、屋上を去っていった。