「おいっ!」
ガッシャーンっ!
「かはっ、」
僕は大きな音とともにフェンスに思いっきり押し付けられた。痛い……。
「お前さ、いつもかわいいものもばっか身につけてて気持ち悪ぃんだよ!!」
この学校に入学して、今日がちょうど一年。その一年間ずっと浴びせられた言葉。いや、生まれてからずっと言われ続けた言葉。
男のくせにかわいいのが好きとかヤバいでしょ、気持ち悪い、おかしい、転校しろよ。
「くっ……」
無意識に手に力が入り、爪がめり込んで血が出てきた。
でも、こんなちっぽけな傷よりもずっとずっと深く、心は痛くて、つらくて、しんどくて。
「なんで……」
僕は、普通に生きてるだけなのに、なんでこんなに怒られなきゃいけないんだろう……。
「はぁ?声が小さくてなんも聞こえねぇーよ。もっと声大きくして喋れよ」
「なんで普通に生きてるだけなのに、それのなにがおかしいの!?」
精一杯の反抗で、血が滴る右手を相手の胸板に押し付けた。
——が、逆効果だったみたいだ。
「ふざけんなよっ!!!」
相手の拳が僕の顔面に勢いよく降りかかってきた。
僕は目をつむって衝撃が来るのを待った。でもいつまで経っても衝撃は来ない。
恐る恐る目を開けると、目の前で拳が誰かの手によって止められていた。
「おにーさんたち」
少し高めの声がする方を見ると、そこにはかっこいいボーイッシュのスラックスを履いた人がいた。


