こんなに気が楽なのも、生まれて初めてだった。
足先の体温が戻ってきて、俺はゆっくりと目を開く。
「……っ」
辺りは弱々しい街灯の光だけで、底なしの闇が永遠に続いていた。
俺は急いでバックからちいまるのぬいぐるみを取り出し、力いっぱい抱きしめた。
暗闇にひとり、放り出されたような気になる。
自由って怖いな。何も、保証されてなくて。
自分が誰なのかも、忘れてしまいそうだ。
(隆太も、こういう感覚だったのかな)
結局、奴の存在が頭を擡げた。
隆太はあんなに明るく見えるのに、身寄りがいないらしい。
しかも俺よりずっと小さい頃に、捨てられて孤児院で生活していたのだ。
あいつなりの考えがあって、社会に出たんだろうが、きっと〝幸せ〟になれると思ったんじゃないだろうか。
だが、実際はどうだったのだろう。
自由の身になって、それでも途方もない深い孤独は消えなかったはずだ。
「なぁ、ちいまる。あいつ、やっぱり金だったのかな」
俺は寝袋も敷かず、その場でごろんと寝転んだ。
ちいまるは、ずっと俺の胸の中にいる。かすかに、甘い香りが香った。
俺の香りなのか、隆太の香りなのか、寒さで判別がつかない。
「ふふ……あぁ……めっちゃむかつくけどさぁ……俺とタメなのに、金も稼いで、ひとりで暮らして、しかも学校にも通ってて……マジですげぇなぁ……」
目からじわっと熱い涙が込み上げ、頬をゆっくりと伝った。
俺は、頭脳は金をかけてもらって多少はいいかもしれないが、生きる術を何も持っていないことに、この場所で、今更気づく。
一方で隆太はどうだろう。
全部、自らの手で生きてるじゃないか。
奈緒さんが言った通り、俺は本当の意味で、隆太を理解していなかった。
(分かりっこないよな。こんな甘ちゃんの俺にはさ……)
恨む気なんか、全く起きなくなった。
屋根もない野ざらしの公園で、隆太にとってもらったちいまるを抱いて、親が用意したものでここに存在している俺が、そんな大それた感情、もっちゃいけない。
そう、痛感したとき、俺の涙腺が爆発した。
死ぬほど、泣いた。
滝汗ならぬ、滝涙。
全部、全部涙で流れて、明日には記憶が空っぽになっててほしい。
家族の思い出も、隆太との思い出も。
(神様。まだなんにもなかったころに、戻してください)
足先の体温が戻ってきて、俺はゆっくりと目を開く。
「……っ」
辺りは弱々しい街灯の光だけで、底なしの闇が永遠に続いていた。
俺は急いでバックからちいまるのぬいぐるみを取り出し、力いっぱい抱きしめた。
暗闇にひとり、放り出されたような気になる。
自由って怖いな。何も、保証されてなくて。
自分が誰なのかも、忘れてしまいそうだ。
(隆太も、こういう感覚だったのかな)
結局、奴の存在が頭を擡げた。
隆太はあんなに明るく見えるのに、身寄りがいないらしい。
しかも俺よりずっと小さい頃に、捨てられて孤児院で生活していたのだ。
あいつなりの考えがあって、社会に出たんだろうが、きっと〝幸せ〟になれると思ったんじゃないだろうか。
だが、実際はどうだったのだろう。
自由の身になって、それでも途方もない深い孤独は消えなかったはずだ。
「なぁ、ちいまる。あいつ、やっぱり金だったのかな」
俺は寝袋も敷かず、その場でごろんと寝転んだ。
ちいまるは、ずっと俺の胸の中にいる。かすかに、甘い香りが香った。
俺の香りなのか、隆太の香りなのか、寒さで判別がつかない。
「ふふ……あぁ……めっちゃむかつくけどさぁ……俺とタメなのに、金も稼いで、ひとりで暮らして、しかも学校にも通ってて……マジですげぇなぁ……」
目からじわっと熱い涙が込み上げ、頬をゆっくりと伝った。
俺は、頭脳は金をかけてもらって多少はいいかもしれないが、生きる術を何も持っていないことに、この場所で、今更気づく。
一方で隆太はどうだろう。
全部、自らの手で生きてるじゃないか。
奈緒さんが言った通り、俺は本当の意味で、隆太を理解していなかった。
(分かりっこないよな。こんな甘ちゃんの俺にはさ……)
恨む気なんか、全く起きなくなった。
屋根もない野ざらしの公園で、隆太にとってもらったちいまるを抱いて、親が用意したものでここに存在している俺が、そんな大それた感情、もっちゃいけない。
そう、痛感したとき、俺の涙腺が爆発した。
死ぬほど、泣いた。
滝汗ならぬ、滝涙。
全部、全部涙で流れて、明日には記憶が空っぽになっててほしい。
家族の思い出も、隆太との思い出も。
(神様。まだなんにもなかったころに、戻してください)


