そして迎えた文化祭二日目の朝。
空は一面の曇り空だったが、雨の予報は出ていない。夏の名残を感じさせる蒸し暑さも和らぎ、過ごしやすい季節となった。
怜太はリビングの食卓に座り、朝食をとっていた。白米に焼き魚、味噌汁、漬物といった、いつもと変わらない和食が並んでいる。湯気の立つ味噌汁をすすりながらテレビをぼんやり眺めていた。
父親はすでに一足早く出社しており、家にいるのは怜太と母親の二人だけ。
母親は怜太の向かいには座らず、キッチンで弁当箱におかずを詰めていた。
卵焼きや唐揚げといった怜太の好物を所狭しと並べ、最後に蓋を閉じて「よしっ」と満足そうに笑った。
「怜太―今日って二時からで合ってる?」
「え、見に来るの?」
思わぬ言葉に、怜太は味噌汁を噴き出しそうになった。
「当たり前じゃない。可愛い息子の晴れ舞台なんだから」
「晴れ舞台って……そんなのバスケの試合で散々見ただろ」
「バスケとディベートは全然違うでしょ。はい、お母さんの勝ち」
母親は勝ち誇った笑みを浮かべ、完成した弁当を怜太の前に置いた。
「二時に行くからね」
「ディベート部の出番は九時から」
「はいはい。だったら呑気に朝ご飯食べてる場合じゃないでしょ」
怜太は返事の代わりに、茶碗の白米を口へ運んだ。
これから文化祭の舞台に立つという実感が、まだ十分に湧いてこない。いつもと変わらない朝食を食べ、いつもと同じようにテレビを眺めていると、今日が特別な一日だということすら忘れそうになる。
怜太はいつもより長く白米を噛みしめながら、これから始まる長い一日を思った。
空は一面の曇り空だったが、雨の予報は出ていない。夏の名残を感じさせる蒸し暑さも和らぎ、過ごしやすい季節となった。
怜太はリビングの食卓に座り、朝食をとっていた。白米に焼き魚、味噌汁、漬物といった、いつもと変わらない和食が並んでいる。湯気の立つ味噌汁をすすりながらテレビをぼんやり眺めていた。
父親はすでに一足早く出社しており、家にいるのは怜太と母親の二人だけ。
母親は怜太の向かいには座らず、キッチンで弁当箱におかずを詰めていた。
卵焼きや唐揚げといった怜太の好物を所狭しと並べ、最後に蓋を閉じて「よしっ」と満足そうに笑った。
「怜太―今日って二時からで合ってる?」
「え、見に来るの?」
思わぬ言葉に、怜太は味噌汁を噴き出しそうになった。
「当たり前じゃない。可愛い息子の晴れ舞台なんだから」
「晴れ舞台って……そんなのバスケの試合で散々見ただろ」
「バスケとディベートは全然違うでしょ。はい、お母さんの勝ち」
母親は勝ち誇った笑みを浮かべ、完成した弁当を怜太の前に置いた。
「二時に行くからね」
「ディベート部の出番は九時から」
「はいはい。だったら呑気に朝ご飯食べてる場合じゃないでしょ」
怜太は返事の代わりに、茶碗の白米を口へ運んだ。
これから文化祭の舞台に立つという実感が、まだ十分に湧いてこない。いつもと変わらない朝食を食べ、いつもと同じようにテレビを眺めていると、今日が特別な一日だということすら忘れそうになる。
怜太はいつもより長く白米を噛みしめながら、これから始まる長い一日を思った。
