「心音!やっと来たーー!!」
玲亜と共に教室に入った瞬間、心音の前に飛んできた人物がいた。
瀬那だ。
「……私?」
名指しされたにも関わらず、情けない声で聞いたのにはわけがある。
明るいというか弾んだ声で、まるで心音を待っていたかのような言葉を発した瀬那に、ただただ圧倒されていたのだ。
心音が瀬那が怖がって機嫌を伺っているのはおそらく伝わっているだろうから、特に好かれていないだろうと――実際、2人きりになっても会話が弾んだ試しがない――心音は思っていた。
なのに急に、まるで幼なじみとか気を許せる友達のようなテンションで話しかけられて困惑しかない。
「心音以外にだれがいんの!ねぇ知ってる?あー、でもさすがに知ってるよね。だって妹なんだし!」
そんな心音とは真逆のテンションで矢継ぎ早に言われる。
正直、困惑に邪魔されて瀬那の言いたいことがよく理解出来なかったが……『妹』の単語に肩が跳ねた。
「い、妹って。私の妹?」
「だーかーら、それ以外になにがあるんだってば。それよりさぁ、心音はどう思ってんの?やっぱ気持ち悪い?」
「一旦落ち着きなよ瀬那〜。心音がびっくりしてるよ?」
見かねた玲亜が助け舟を出す。
「落ち着けるわけないって!というか、玲亜は知らないんだ?」
「うん。なにも知らな〜い」
「マジ!?じゃあ見せてあげる。気になるよね?」
「そんなに言われたら気にならなくもないけど〜」
「じゃあはい、これ見て!目が飛び出るよ絶対!」
瀬那が、持っていた自身のスマホを勢いよく玲亜の眼前に突き出す。
玲亜同様、なにも知らない心音も横からスマホ画面を覗き込んだ。
「――待って、やっばい!!たしかにうち、今目が飛び出そうなんですけど〜!」
瀬那の興奮が乗り移ったかのように、玲亜がキンキン声を上げる。
その隣で……心音は固まった。
口から言葉が出ないほどの衝撃を、真っ向から受けたからだ。


