見えない方程式



「ばいばーい、心音」

「また明日ね~」

手を振る瀬那と玲亜の姿が、手を振り返す心音が角を曲がったことで見えなくなる。

「……はぁ」

だから心音は、自然とため息を吐き出していた。

――友達って、こんなに疲れる存在なのかな。

そう考えてみても無駄だった。

心音の生きている今こそが、心音の全てだから。

高1まで友情すら築く相手がいなかった自分には、もう友達が出来た。

初めての友達を失わないために、心音は明日も2人に合わせるんだろうな、と思う。

正直な自分でいたら、確実に嫌われるから。

嫌われるくらいなら、友達――瀬那と玲亜の望む〝心音〟でいる。