つけ耳しっぽ。孤高のチーターが可愛すぎる!

「ちゃんと、グループワークしようぜ?」

 捕獲をしたら、思ったよりも小動物になった天馬に、俺は不満をぶつけた。
 天馬はビクビクとした視線を下に向ける。
 つけ耳が俺の二の腕を掠めた。

「……っ……」

 ピクリと天馬の体がまた跳ねる。

 え、何かしたか?
 耳当たっただけ…………。

 スンというような音が聞こえて、少し焦る。
 そりゃ、乱暴に壁に押しつけたけど、泣かしたいわけではない。

 授業中の静かな廊下に漂う沈黙に耐えかねて、俺は声を漏らした。

「あーのさ……」
「ごめん…………」
「え?」

 自分の声に被ってよく聞こえなかったが、天馬の声がした気がする。
 覗き込むように天馬の顔を見ると、モゴモゴと口を動かしていた。

「ごめん。ちゃんとやるから、怒らないで……」
「え、あ、いや怒ってるわけじゃ……」

 いや、怒ってたか。
 イラついていたな、こいつに。
 でも、泣きそうな顔で謝られたら許さない方が悪い気がしてくる。

「ちゃんとやってくれんならいいよ。よろしくな」

 俺はなるべく明るい調子で天馬に声をかけて、くしゃくしゃと頭を撫でた。
 つけ耳がカツカツと手に当たり、思ったよりもふわふわの毛が気持ち良かった。

「んっ……や……」

 天馬が顔を背けながら漏らした声に、俺の神経は過敏に反応して、一気に心臓がうるさくなる。

 え、なに、今、天馬が鳴いた?
 チーターの鳴き真似?
 チーターって鳴くの?吠えるの?
 え、待って……なんで?

 天馬の顔は背けられているが、頬が赤くなっているのがわかる。
 自分の声に驚いたのか、口元にある指が震えている。

 俺の思考は止まった。
 そこからは無意識だった。
 自分の手が、天馬のつけ耳に伸びていて、指がその形をなぞるように動いていた。

 すごくエッチに見えた。

「やっ……んんっ……やだ……」

 ビクビクと肩を震わせて口を抑える天馬からは、可愛い声しか漏れ出てこない。
 俺の心臓はうるさく警告音のように動いているが、手の動きを止めることはできなかった。

 しかし、一方でーー

 つけ耳じゃね!!!!??

 と冷静な俺もいる。

 そんなツッコミはどうでもよくなるほどに、天馬は可愛く、無垢な小動物のようで、俺の中の庇護欲がムクムクと育っていった。

「りゅう、へい……も、やめ……て……」

 天馬の潤んだ目に見上げられ、俺はさらに息を呑んだ。
 ごめん、やめたくない。

 俺の手は、天馬の腰へと向かっていて、その指先にフワフワの感触を感じたら、もう無理だった。
 スルリとしっぽを撫であげる。
 作り物なのに、温かく生きているようだった。

「あぁっ……も……」

 ズルズルと天馬が壁伝いに崩れ落ちていく。
 俺は慌てて天馬を支えながら、一緒にしゃがみ込んだ。

「悪い、悪ノリしすぎた……」

 悪ノリなのかもわからないけど、とりあえず謝っておく。
 なんか触れてはいけないところだったのだろうから。

「チ……チーターのしっぽは……敏感なの……」

 しっぽを守るように抱えた天馬は、それはとにかく可愛く見えて仕方なかった。