翌日になって完全復帰した俺は、結局嵐士(もさもさ)とふたりで空港に来ていた。
「本当に大丈夫?」
「大丈夫大丈夫」
俺が学校で本当に倒れかけたことを知った嵐士は、かなり過保護になっている。場所が昼休みの学食だったせいで少し騒ぎになったけど、もしもあの日こいつがいたら、どうなっていたんだろう。
不謹慎だけど、少し気になった。
たぶん、なりふり構わず駆け付けたんだろうな。
お姫様抱っこされたかも、と思うと、いなくてよかったなと思ってしまうあたり、俺もかなり調子がいい。
「ねえ、あっち座る? 空いたよ」
「大丈夫だって。もうそろそろ出てくるだろ。っていうか、おまえは原稿大丈夫なのかよ」
「あー……担当さんからメール来てたな……投稿してるの見たのかな……まだ開けてない。こわい」
「俺が代わりに読んでやろうか」
「だめ。仕事なんで」
真面目な返事に笑う。
国際線ターミナルには多くの人間が行きかっている。俺たちが親が着くまでの間、手を繋いで立っていたって、気にする人間は誰もいない。
俺たちはいま、どういう関係に見えているんだろう。
マコとシュンからは、体調を気遣うメッセージが届いていた。
ヒメからは、更新が途中で止まったことについての考察が。
両親からは、もうすぐ日本だよという、雲の上からの写真が。
「なあ、嵐士」
「うん?」
「俺、嵐士と……兄弟になってよかった」
「うん。俺も」
「でも、ただの兄弟じゃ嫌だ」
嵐士が俺を見る。あの目で。
「……連れ子同士って、結婚できるって知ってた?」
手を、ぎゅっと握られる。
「うん」
「だったら……」
握った手の、力は緩まない。
本当は、これを言うのはまだ怖い。それを、わかっていると言わんばかりに。
「あのさ……俺と、本当の恋人に……なって……ほしい……うわっ」
突然引き寄せられて、ぎゅうぎゅう抱き締められて、さすがにこれはどうかと思う。
でも、嵐士の、いままで聞いたことのない弾んだ声を聞いたら、文句はどこかに飛んで行ってしまった。
「俺のセリフ、とらないでよ!」
