「庸介くん……」
切迫した声。重なり合う唇のわずかな隙間から漏れ出る声も明確におぼえている。
「庸介くん、もうだめ、だめ、だ……」
途中から言葉ではなくなっていた。おれの腕のなかで大きく体を撓らせて、契斗が達した。断続的に痙攣する体を受け止める。
契斗が放った体液は大量で、手首まで濡らされた。下着もトレーニングパンツもぐっしょりと濡れて布の色を濃くしている。すくなくともすぐには帰れなくなった。満足と安堵でおれは深く息をついた。
「……すげえ濃い」
体液まみれの手を見せつけるようにパーカーの胸に擦りつける。
「久しぶり?」
絶頂の余韻か、小さなうめき声しか返ってこなかった。
「あのガキとやってないのは本当みたいだな。最後にやったのいつ?」
「知らない……」
「そんなわけないだろ。いつだよ。だれにしてもらった?」
「だれにも……」
烈しく息をしながら、契斗が答える。
「だれともしてない、ずっと」
「ずっと?」
まだ震えている体を抱きしめ、首の後ろに浮いた汗を啜りながら、いった。
「おれとしたのが最後ってこと? そんなわけないだろ?」
契斗は黙っている。契斗は嘘が苦手だ。だから無言は肯定と判断できる。
「うそだろ。マジかよ」
「レッスンでそれどこやなかったし、最初は言葉もわからんかったし……」
契斗の言葉は半分以上耳に入らなかった。契斗がまだおれしか知らないままだと知り、有頂天になっていた。横になっていた体を引っ繰り返し、再び押し倒した。
「わ……」
契斗が驚いておれを見上げる。契斗の痴態を見せつけられ、全身をきつく密着させていたせいで、おれもすでに極限状態まで追いやられていた。固く膨張した器官を湿ったトレーニングパンツに圧しつける。
「やめて、庸介くん、お願い……」
懇願も聞かなかった。5年ぶりに触れる契斗の体はおれの自制心を奪い去っていった。せわしない手つきでパーカーを脱がせ、下着とトレーニングパンツを引き下ろす。
部屋の照明は消えたままだったが、カーテンごしに差し込む陽光のおかげで契斗の裸身をはっきり見ることができた。最後に触れたのは18歳のときでまだ幼さが残っていたが、23歳の契斗の体はほどよく引き締まり、筋肉は見るからに良質で、よけいな贅肉がいっさいついていない。
体を起こし、膝に引っかかった下着を引き抜いた。床に転がったスーツケースに手を伸ばし、ローションのボトルを取り上げた。一瞬、拘束が解けて、契斗にとっては逃げ出すための最後にして絶好のチャンスだったが、契斗は全裸でベッドに横たわったまま動かなかった。ボトルの蓋を開け、掌にローションを垂らすおれの動きを濡れた瞳で見つめていた。
腰を持ち上げ、脚を開かせた。さっき射精したばかりだというのに、契斗はもう反応しはじめていた。臀部に指を這わせ、奥に指を差し込むと、さらに硬くなり重力に逆らって首を擡げた。ローションを塗れさせた指が内部を擦るたびに、契斗は声を上げた。摩擦音は水音になり、契斗の声と混じり合って耳を刺激してきた。
これ以上自制できなかった。痛いほど猛りきった器官を引き出し、ローションと体液を溢れさせて蠢く部分に圧しあてた。
やめてとは、契斗はもういわなかった。代わりにおれの腰に両脚を絡ませ、きつく密着してきた。臀の肉に指先を食い込ませ、強引に押し入った。久しぶりなうえに拡張が不十分なせいで抵抗がきつかったが、すこしずつ体を進め、最後まで侵入することに成功した。
すべてを埋めてしまうと、契斗のこめかみにこめかみを圧しつけ、動きを止めた。すぐには動けなかった。契斗の体をいたわったのではない。すこしでも動くとあっという間に達してしまいそうだった。
契斗も限界まで感じていることは、腹筋を圧し上げる器官の感触でわかった。頭を持ち上げると、視線が絡んだ。互いに考えていることが手に取るように理解できた。大きく息を継ぎながら、おれたちはしばらく見つめ合った。
共有していたのは驚きだった。何度も繰り返した行為。互いの体は知り尽くしているつもりだったが、予想をはるかに超えたすさまじい快感だった。朋大のときにも、どんな女のときにも得られない特別な感覚。無意識下で求めていたものだった。渇望していた。
「……動くぞ」
「うん……」
唇を重ね、舌を絡めながら、ゆっくりと動きはじめた。緩慢な動きに耐えられなくなったのは、契斗のほうが先だった。自分から腰を揺らし、おれの耳朶に歯を立てた。我を失ったようにおれにしがみつき、隣室に響くことを心配しなければならないほどの声を上げた。
「やばい、もういく、なかに出すからな」
腰をたたきつけながら、捲し立てた。契斗が烈しく首を振る。頷いているのか、揺さぶられているだけなのかわからない。気にする余裕は残っていなかった。
「契斗……!」
思わず叫んでいた。契斗の頭をつかみ、唇を貪った。咆哮。契斗もひときわ高い声で泣き叫んだ。
一番奥で動きを止めた。信じられないほどの量を放った。溢れてベッドを濡らすほどだ。強烈な快感が全身を高速で駆け巡り、頭の奥が痺れた。
ほぼ同時に、契斗も達していた。アルコールと煙草の匂いが染みついたおれのシャツに体液を飛び散らせ、爪先でシーツを掻いている。
痙攣するふくらはぎをつかみ、引き寄せた。体を裏返し、今度は後ろから挿入した。契斗の胸をシーツに擦りつけ、体を重ねて圧し潰した。奥を突くたびに契斗の踵が跳ね上がり、声が枕に染みこんだ。
二度目もあっという間だった。いくらしても足りそうになかった。おれたちはほとんど言葉を交わすこともなく、休憩すら取らずに、狂ったように何時間も互いの体を貪りつづけた。
切迫した声。重なり合う唇のわずかな隙間から漏れ出る声も明確におぼえている。
「庸介くん、もうだめ、だめ、だ……」
途中から言葉ではなくなっていた。おれの腕のなかで大きく体を撓らせて、契斗が達した。断続的に痙攣する体を受け止める。
契斗が放った体液は大量で、手首まで濡らされた。下着もトレーニングパンツもぐっしょりと濡れて布の色を濃くしている。すくなくともすぐには帰れなくなった。満足と安堵でおれは深く息をついた。
「……すげえ濃い」
体液まみれの手を見せつけるようにパーカーの胸に擦りつける。
「久しぶり?」
絶頂の余韻か、小さなうめき声しか返ってこなかった。
「あのガキとやってないのは本当みたいだな。最後にやったのいつ?」
「知らない……」
「そんなわけないだろ。いつだよ。だれにしてもらった?」
「だれにも……」
烈しく息をしながら、契斗が答える。
「だれともしてない、ずっと」
「ずっと?」
まだ震えている体を抱きしめ、首の後ろに浮いた汗を啜りながら、いった。
「おれとしたのが最後ってこと? そんなわけないだろ?」
契斗は黙っている。契斗は嘘が苦手だ。だから無言は肯定と判断できる。
「うそだろ。マジかよ」
「レッスンでそれどこやなかったし、最初は言葉もわからんかったし……」
契斗の言葉は半分以上耳に入らなかった。契斗がまだおれしか知らないままだと知り、有頂天になっていた。横になっていた体を引っ繰り返し、再び押し倒した。
「わ……」
契斗が驚いておれを見上げる。契斗の痴態を見せつけられ、全身をきつく密着させていたせいで、おれもすでに極限状態まで追いやられていた。固く膨張した器官を湿ったトレーニングパンツに圧しつける。
「やめて、庸介くん、お願い……」
懇願も聞かなかった。5年ぶりに触れる契斗の体はおれの自制心を奪い去っていった。せわしない手つきでパーカーを脱がせ、下着とトレーニングパンツを引き下ろす。
部屋の照明は消えたままだったが、カーテンごしに差し込む陽光のおかげで契斗の裸身をはっきり見ることができた。最後に触れたのは18歳のときでまだ幼さが残っていたが、23歳の契斗の体はほどよく引き締まり、筋肉は見るからに良質で、よけいな贅肉がいっさいついていない。
体を起こし、膝に引っかかった下着を引き抜いた。床に転がったスーツケースに手を伸ばし、ローションのボトルを取り上げた。一瞬、拘束が解けて、契斗にとっては逃げ出すための最後にして絶好のチャンスだったが、契斗は全裸でベッドに横たわったまま動かなかった。ボトルの蓋を開け、掌にローションを垂らすおれの動きを濡れた瞳で見つめていた。
腰を持ち上げ、脚を開かせた。さっき射精したばかりだというのに、契斗はもう反応しはじめていた。臀部に指を這わせ、奥に指を差し込むと、さらに硬くなり重力に逆らって首を擡げた。ローションを塗れさせた指が内部を擦るたびに、契斗は声を上げた。摩擦音は水音になり、契斗の声と混じり合って耳を刺激してきた。
これ以上自制できなかった。痛いほど猛りきった器官を引き出し、ローションと体液を溢れさせて蠢く部分に圧しあてた。
やめてとは、契斗はもういわなかった。代わりにおれの腰に両脚を絡ませ、きつく密着してきた。臀の肉に指先を食い込ませ、強引に押し入った。久しぶりなうえに拡張が不十分なせいで抵抗がきつかったが、すこしずつ体を進め、最後まで侵入することに成功した。
すべてを埋めてしまうと、契斗のこめかみにこめかみを圧しつけ、動きを止めた。すぐには動けなかった。契斗の体をいたわったのではない。すこしでも動くとあっという間に達してしまいそうだった。
契斗も限界まで感じていることは、腹筋を圧し上げる器官の感触でわかった。頭を持ち上げると、視線が絡んだ。互いに考えていることが手に取るように理解できた。大きく息を継ぎながら、おれたちはしばらく見つめ合った。
共有していたのは驚きだった。何度も繰り返した行為。互いの体は知り尽くしているつもりだったが、予想をはるかに超えたすさまじい快感だった。朋大のときにも、どんな女のときにも得られない特別な感覚。無意識下で求めていたものだった。渇望していた。
「……動くぞ」
「うん……」
唇を重ね、舌を絡めながら、ゆっくりと動きはじめた。緩慢な動きに耐えられなくなったのは、契斗のほうが先だった。自分から腰を揺らし、おれの耳朶に歯を立てた。我を失ったようにおれにしがみつき、隣室に響くことを心配しなければならないほどの声を上げた。
「やばい、もういく、なかに出すからな」
腰をたたきつけながら、捲し立てた。契斗が烈しく首を振る。頷いているのか、揺さぶられているだけなのかわからない。気にする余裕は残っていなかった。
「契斗……!」
思わず叫んでいた。契斗の頭をつかみ、唇を貪った。咆哮。契斗もひときわ高い声で泣き叫んだ。
一番奥で動きを止めた。信じられないほどの量を放った。溢れてベッドを濡らすほどだ。強烈な快感が全身を高速で駆け巡り、頭の奥が痺れた。
ほぼ同時に、契斗も達していた。アルコールと煙草の匂いが染みついたおれのシャツに体液を飛び散らせ、爪先でシーツを掻いている。
痙攣するふくらはぎをつかみ、引き寄せた。体を裏返し、今度は後ろから挿入した。契斗の胸をシーツに擦りつけ、体を重ねて圧し潰した。奥を突くたびに契斗の踵が跳ね上がり、声が枕に染みこんだ。
二度目もあっという間だった。いくらしても足りそうになかった。おれたちはほとんど言葉を交わすこともなく、休憩すら取らずに、狂ったように何時間も互いの体を貪りつづけた。



