侯爵家三男は快適に暮らしたい。〜前世の知識で異世界魔導具づくり〜



「だから、洗濯・脱水・乾燥まで出来る魔導具があれば楽かなって。食事処って、ただでさえ忙しくなったら、その辺が疎かになりそうでしょ?なら、洗濯機を魔導具化して、ロールカーテンを放り込んでおくだけで綺麗になるならいいかなって」

「なるほど。ところで……フィン。それはロールカーテンだけじゃなく、普通に洗濯にも使えるんじゃないかい?」

「え? うん、そうだけど?」

「……」

「ん?」

「……いや、普通に需要の高い商品になりそうだな……と」

「あぁ。前世では多くの家庭で当たり前にあったね。乾燥機だけ別売りとかもあったし」

「別売りか……。では洗濯機と乾燥機を別々の商品として売り出して、後に乾燥機付きを――」

前世でもこんな感じで売り出してたよな。

……まぁでも、洗濯機と乾燥機を別々に作るのもありだよな。生地によっては乾燥機にかけたら縮んだりしてたし。……いや、魔導具化する場合、その辺もどうにか出来るような気もするな。
……ただ、すごくめんどくさい構造になりそうだけど。

作る時はとりあえず、最低限の機能だな。

「そんな感じで、売り出すのはどうだろう?!」

「……いいんじゃないかな?」

……話を聞いてなかった。

「では、まずは食事処用の洗濯機を作ってもらってから、春以降に屋敷用の洗濯機の販売を目指そう」

「……うん」

良かった。思ってたより時間があるみたいだ。


その後、アレク叔父さんとの話を終え、屋敷に戻った。


……美味い。
休憩には、やっぱり焼き菓子と、このすっきりしたお茶だよなぁ。

洗濯機を作るなら、水に触れるから耐久性のある素材がいいよな。そうなると……水に強い金属ってなにがあったっけ……?

白銀鋼は……高強度だけど、水となると微妙か。じゃあ、青銀鋼あたりか?水に強いし、錆びにくい。
一応作る前に、水と洗浄剤に浸けて、しばらく放置したあと、すすいで乾かしてみるか。

あ。外装も考えないとな。これに関しては扱いやすい素材でいいか。……樹脂系なら加工もしやすいし、水にも強い。
硬質樹脂か強化樹脂……どっちでもよさそうだけど。とりあえず硬質樹脂でいいか。試してみて微妙だったら、強化樹脂にしたらいいだけだし。

あとは部品の素材だけど、魔導金属が無難かな……。

……そもそも大きさ考えなかったな。
ロールカーテンの布をまとめて洗える大きさがいいから、結構デカくなりそう……。それに、屋敷用にもってアレク叔父さんが言ってたから、大きいに越したことはないだろうけど……。

……作業部屋を少し片付けてスペースを作った方がいいかもな。

今まで作った魔導具や素材があちこちに置いてある。必要なものばかりだから捨てるわけにもいかない。

「……端に寄せるか」

使う予定のない素材や道具を壁際にまとめていく。 それだけでも、中央にそれなりのスペースができた。

……もう少し広く使いたいな。別の部屋に少しの間だけ移動させるか。
空いてる部屋に、勝手に魔導具とか置いたら母さん怒りそうだけど……今回はしょうがないよな。

とりあえず、しばらく使わなさそうなものから移動させよう。

……これは――いや、これもまだ使うな。

……こっちは大丈夫。

そんなことを考えながら、一つずつ作業部屋から出していく。

思ったより多いな……。

「あ、ノア!ちょうどいいところに!運ぶの手伝って!」

「……大掃除でも始められたのですか? こんなに運び出して」

「いや、作業スペースをちょっと広げようと思って」

「そうでしたか。では、この魔導具たちはどちらへお運びすればよろしいですか?」

「近くの空いてる部屋に」

「それですと、イレーネ様の確認を取ってからの方がよろしいかと」

「……あと一週間くらい帰ってこない」

「そうですね」

「……どうしよう」

「では、戻られるまで待たれますか?」

「それは遅いなぁ……。あ。フィリップ兄さんの部屋にしよう。どうせ、めったに帰ってこないんだし」

「……フィリップ様の許可は?」

「別に大丈夫でしょ。……いや、一応手紙に一言だけ書いておくか。あとで届けてくれる?」

「承知しました」

「じゃあ、とりあえずフィリップ兄さんの部屋に運ぼうか」


これで母さんの怒りを買わずに、作業スペースを確保できるな。