侯爵家三男は快適に暮らしたい。〜前世の知識で異世界魔導具づくり〜



リバーシとカードを作るために、作業部屋へ戻ってきた。

魔導具じゃないから、さっさと作っていく。

……。

やっぱりコピー機とか欲しくなるな。
……いや、ハンコを作れば……。今はめんどくさいな。

……。

……よし。カードは出来た。

あとはリバーシだな。

……。

これ、光らせたりするのはどうだろう。男性陣の社交……それより子供に受けそうだな。

ひっくり返す度に光る……起動停止を使えば出来そうだな。……でもそうなると全体の魔導回路が光りそうだな。
五つくらいひっくり返せたら、その部分の魔導回路だけ線になって光る……。

……そんなことしてたら、魔核がいくつも必要になるな。

無駄に贅沢すぎるリバーシが出来そうだ。

……。

出来た。普通の光らないリバーシ。


そろそろ夕食の時間か。
作るのに地味に時間が掛かったな。


食堂へ行くと、すでにエミール兄さんとフィリップ兄さんが座っていた。

「フィリップ兄さん、ちゃんと寝たんだね。顔色が戻ってる」

「あぁ。さすがに限界だったみたいだ。ベッドに横になったらすぐに寝ていたよ」

「魔導師団でどんな生活をしているんだか……」

エミール兄さんが呆れたように言う。

「普通だよ。私より兄上の方が――」

俺からすればエミール兄さんもフィリップ兄さんも同じ気がする。


食事を終え、応接室に移動した。

「これが言っていたゲームか」

「どっちのゲームからする?覚えやすいのは、こっちのリバーシかなって思うけど」

「じゃあ、それからやろう」

「分かった。じゃあ、二人がやるのを俺が教える」

――

「あ、そこに置けるよ。そう、斜めにもひっくり返せる」

「なるほど。あ!そこは!」

「兄上、次の手も読んで置かないと……よし。大量にひっくり返せた」

「……!じゃあ、次はここだな!」

「……角を取られた。狙っていたのに!」

「フィリップ、最後まで油断は禁物だ」

最後の一マスにエミール兄さんが置いて、ひっくり返した。

「よし。俺の勝ちだな」

「……まさか兄上に僅差で負けるとは」

うん、分かる。エミール兄さんって脳筋だから、こういったゲーム、負けそうなイメージだった。

「もう一度やろう、兄上」

「あぁ。次も私が勝つけどな」

……。

盤を元に戻して、二人が向かい合い、フィリップ兄さんが先手を取った。

「そこに置くのか……」

「うん。そうすると……こっちも取れる」

「なるほど」

エミール兄さんは少し考えてから、別の場所に駒を置いた。

「あ、そこは――」

「どうした?」

「いや……なんでもない」

……言わない方がいいな。
俺が教えすぎると、楽しくなくなるだろう。

二人は黙々と盤面を見ながら駒を置いていく。

「……ここだな」

「そこか」

「あぁ」

「……なるほど」

さっきまでとは違って、二人ともかなり真剣だ。
……思ったより気に入ってくれたみたいだな。

しばらくして、フィリップ兄さんが最後の駒を置いた。

「よし。私の勝ちだ」

「……くっ」

エミール兄さんが盤面を見つめる。

「次は勝つ」

「兄上、さっきも同じことを言っていたよ」

「今度は本当だ」

「……」

二人とも、もう一戦やる気満々だ。
……これはしばらく終わらなさそうだな。

「俺、もう作業部屋に戻っていい?」

「フィン、まだ始めたばかりだろう」

「それに、もう一つのゲームもまだやっていないよ」

「そうだぞ」

……二人とも明日から仕事のはずだけど。


「じゃあ、次はこっち。これは神経衰弱っていうゲーム」

カードを裏向きに並べていく。

「同じ数字のカードを二枚見つけたら、自分のものになる。違ったら元に戻して、次の人の番」

「なるほど。記憶力が必要なんだな」

「そうそう」

「では、私から」

フィリップ兄さんが二枚のカードをめくる。

「……違うな」

「場所は覚えておいてね」

「分かっている」

カードを戻して、エミール兄さんの番になる。

「こっちと……こっちだな」

「あ、それ――」

二枚とも同じ数字だった。

「よし!」

「兄上、覚えていたのか」

「もちろんだ」

……脳筋だと思ってたけど、意外と記憶力はあるんだな。

「次は私の番だな」

フィリップ兄さんも、さっきエミール兄さんがめくった場所を思い出しながらカードを選ぶ。

「……ここだ」

「おぉ、正解」

「よし」

二人とも、結構楽しんでるな。

これなら男性陣の社交でも、普通に遊ばれそうだ。


……そろそろ部屋に戻りたい。