侯爵家三男は快適に暮らしたい。〜前世の知識で異世界魔導具づくり〜



あ。

個室もいいけど、全体を半個室にするのもいいよな。
何だっけ、あの……ブラインドじゃなくて、ロールカーテン……だっけ?あれを付ければ、少人数で区切ることも、大人数で区切ることも出来る。

……でも、この世界にないよな、ロールカーテン。
そうなると……俺が作るのか?……自動で巻き取ったり伸ばしたり……魔導具化は出来そうだけど。

何席用意するかによって、ロールカーテンをいくつ用意するかが決まるから……ちょこちょこ作り始めるのがいいかもな。

「アレク叔父さん、個室を二、三作って、あとはロールカーテンで人数に応じて区切りを作ろうと思うんだけど」

「……え?ロールカーテン?なんだい、それは?」

「前世にあったものなんだけど――」

「なるほど。いい考えだと思う。普通の仕切りを作るより、コストも抑えられそうだね」

「え、ロールカーテンは俺が作ろうとしてたんだけど」

「ん?魔導具化するのか?」

「そのつもりだけど」

「食事処で使うロールカーテンに関しては、魔導具化しない方がいいんじゃないかな。今後、何かあった時の修理だったり、魔核の消費を考えると」

「……確かに。毎回俺が修理するって考えるとめんどくさいな」

「とりあえず、仕様書を書いてくれたらこっちで作ることも出来るから」

「そういえば俺、魔導具以外の仕様書、書いたことないんだけど。同じ感じでいいの?」

「あぁ。同じで大丈夫だよ。他に気になってることとかある?」

「んー……今のところ、そのくらいかな。 あ。いつくらいまでにメニューを考えた方がいい?なんとなくは、もう決まってるけど」

「そうだね……順調に行けば春には店をオープン出来ると思うから、冬の間に料理人を見つけるとして……食材の仕入先の確保も必要だから、遅くても冬の半ばくらいかな」

「分かった」

店を出すのって結構時間かかるんだな。
……まぁ、そうだよな。改装とかあるし。

前世の感覚的には春スタートみたいな感じも少しあるから、ちょうどいいかもな。桜はないけど。

あ。

「忘れるところだった。……これなんだけど」

「なんだい、これは?魔導具……ではなさそうだけど」

「こっちがリバーシで、こっちがカードゲーム」

「これを食事処に置くってことかい?」

「え、普通に売れるかなって。避暑の間、みんなでこれで遊んでたんだ。男性陣の社交で流行るんじゃないかって言われて」

俺はアレク叔父さんに遊び方を説明した。

「なるほど。確かに楽しそうだね!魔導具ではないから作るのも簡単だし、冬の社交までにこれも間に合いそうだ。それにしてもルールが沢山あるんだね。売る時に説明書もつけた方が良さそうだ」

「ローカルルールが沢山あったから。五人で遊んだ時はもう少し少ないルールでやってたんだけど、他にもルールを思い出したから、一応書いてきたんだ。その都度、どのルールでやるかは色々変えられるし、いいと思うんだよね。こっちでもローカルルールとか出来たら、それはそれで楽しそうだし」

「やっぱりこれは食事処に置いたら話題になると思うんだけど、置く気はない?」

「……客層が悪くなりそうで、俺がふらっと寄れないのは嫌かな」

「まぁ、否定は出来ないね……」

「それに、回転率も悪くなりそうだし」

「じゃあ、このゲーム類は一旦、貴族向けに作るのが良さそうだね」

「うん」

「それじゃあ、今日はこんなところかな?決まり次第、順次知らせるね」

「分かった」

これで、食事処については大体の方向性が決まったな。
あとは店の場所が決まって、改装が始まれば、俺はメニューを考えていけばいい。
ロールカーテンの仕様書も作らないとな。
魔導具にする必要がなくなって、逆に難しくなった気もするけど。とりあえず色々試してみるか。

……なんだかんだ、やることは結構あるな。
でも、春には自分が好きな時にふらっと立ち寄れる店ができる。
そう考えると、ちょっと楽しみだ。


そういえば――

「足どうしたの?」

「……ちょっと乗馬中にな」

「あぁ……大変そうだね」


そういえばこの世界で車椅子を見たことないな。

あ。

車椅子の魔導具化……。

……出来なくもなさそう。