侯爵家三男は快適に暮らしたい。〜前世の知識で異世界魔導具づくり〜



とりあえず、持ち手部分を先に作るか。

薄型鉄板に魔力を纏わせ、円柱状に形成していく。
……これだとイメージしてた物より太いか。

もう少し細くして……。

……うん。これくらいなら持ちやすそうだ。
鼻の中に入れる部分は、これよりさらに細くする必要があるけど……。

あ。

髭剃り型魔導具の持ち手に、滑り止めとして柔軟樹脂を使ったけど、鼻毛カッターにもつけた方がいいのか?
……俺が前世で使ってたやつには付いてなかった気がするけど。

今回は付けなくていいか。
その分、材料費が浮くし。

じゃあ、次は……刃の部分……いや、先に持ち手部分に魔導回路を描いておこう。

……一番細いペン先でもギリギリかもしれないけど……。

……。

……。やり直し。

魔導回路修正ペンで、修正し、描き直した。

……。
これは本当にギリギリだな。魔導回路同士が接触しそう……。
やっぱり危ないよなぁ。

……どうするべきか。

太くしてもいいけど……それはそれで何か悔しいし。
……それか、いっその事、持ち手部分を前世のものに近づけるんじゃなくて、別の形にするのもありだな。

……。

いや、別の形にしたところで、土台や保護板は大きくもできないからなぁ。

……持ち手部分の大きさは変えずに、魔導回路同士が接触しないように……あ。
また考えが凝り固まってたな。

持ち手部分が円柱状なんだから、中に一枚薄型鉄板を仕込めばいいだけじゃ?
清涼《ブリーズ》を遠隔操作出来るようにスイッチを作ったとき、フィリップ兄さんが言ってたんだよな。
「この間に挟んである薄型鉄板を、もう一枚挟むだけじゃ駄目なのか?」
今回はそれを応用出来る……はず。

そうなると……薄型鉄板を成形するところからやり直しだな。

円柱の断面が+の形になるように、薄型鉄板を仕込むのがいいか? -の形だと、形成するときにズレてしまう気がするし。

試してみるか。

最初に薄型鉄板で+の形を成形する。
次に、その+を軸にして薄型鉄板を巻き付けるように形成……よし。ズレもなく、良さそうだ。

……あ。

……やっぱりまたやり直しだ。

先に+部分に魔導回路を描いておくべきだった……。

はぁ……。また+部分から作るか……。

……。

……よし。
+部分に魔導回路を描いていく。……+にした事で、描ける面が八箇所増えたから、円柱状に描かなくても良さそうだな。

あ。でも、そうなると、使用時の魔導回路が淡く光るのが見れないか。
……いや。鼻毛を整えてる時に、誰も魔導回路の綺麗さなんて気にしないか。

……。
魔導回路が描けたから、薄型鉄板を巻いていく。

……やっと持ち手部分が出来た。まさか持ち手部分だけで、こんなにやり直すとは思わなかったな。

さて、次は土台だな。
髭剃り型魔導具のヘッド部分と同じ魔導金属でいいか。

持ち手部分より一回りほど細く形成していく。
……こんなもんかな。
次は軸だな。土台よりもさらに細く形成して……。
……細いと折れそうで、若干不安になるが、魔導金属だから、まぁ大丈夫だろう。

保護板は……その前に刃を作ってからの方がいいか。

刃鋼を小さくカットして、魔力を纏わせて形成していく。
……小さいから、魔力コントロールがより必要になるな。

刃先に向かって鋭く、段差ができないように……。あれ?そういえば鼻毛カッターの刃って回転式髭剃りの刃とは違って、丸くなかったような気がする……。掃除するときに保護板を取り外した時、軸になるような部品に、刃が二、三枚固定されてる様な感じだったはずだ。

そうなると、今作ってる刃じゃない方がいいんだろうか?
……完全再現がしたいわけじゃないから、別にいいけど……魔導具化した場合、どっちがいいのか……。
使いやすさや安全性、素材の特徴……今後売り出すことを考えたら、回転式髭剃り同様に、刃を丸くした方が作る側は分かりやすいか。

……いや、細かい作業がさらに細かくなるから、丸くしない方が……。

まぁ、一旦このまま進めるか。

よし。次は保護板だな。
薄鋼板を、刃を覆うような筒状に形成していく。
……このくらいでいいか。

あとは、刃が触れる部分に、細かな隙間を作って……。

……均等に隙間をつくるの難しいな。……よし。部品は揃ったな。あとは土台に魔導回路を描いて、土台に風属性、保護板に水属性、起動停止に無属性を組み込む……あ。スイッチを先に作ろう。