……痛い。
え。起き上がるの無理なんだけど。
完全に運動不足だ。
こんなに筋肉痛になったの初めてなんだが。
……寝返りでさえギリギリだな。
まさか朝からここまで酷いとは思ってなかった。
コンコン――
「フィン様。朝食のお時間です」
「……あれ? ノア? もう休暇終わりだっけ?」
「はい。一週間、お休みを頂いておりました」
もうそんなに経つか。
「あ、見つかったの?」
「……いえ。知ってらしたのですね」
「うん。イルゼがはりきってたから。……そのせいで俺まで母さんにせっつかれそうだったし」
「次は冬までに見つけられなかったら、また母がお見合いを用意すると……」
うわぁ……。冬なんてもうすぐじゃん。
「まぁ、お見合いが嫌なら、自分でいい人を見つけるのがいいだろうね」
「……フィン様も、ですね」
「……。食堂に行こう」
食堂に着くと、すでに三人が座っていた。
「あ、ノアじゃん! 久しぶり! 休暇だったんだろ?」
「皆さま。お久しぶりでございます。一週間ほどお休みを頂いておりました」
「そうだ! 朝食のあと、ノアも一緒にカードゲームしようぜ! 人数多い方が楽しそうだろ?」
「そうだね。仕事もあるだろうから……一戦だけでもどうかな?」
「あぁ。ノア、参加して。アレク叔父さんに話を持っていく時に五人でも遊んだこと、話せるし」
「承知しました」
「ノアは大富豪をやった事があるのか?」
「いや、ノアとはカードゲームやってないよ。二人でやっても面白くないでしょ?」
「じゃあ、ノアには勝てるな!」
朝食を終え、俺たちは応接へ移動した。
「どうする? ノア、カードゲームやったことないんだよな? それなら、神経衰弱とかババ抜きからやるか?」
……一戦とは?
「いや、一戦だけって話だっただろ」
「あ、そうか! もう忘れてた。じゃあ、大富豪やろうぜ! フィン、ノアに説明してくれ!」
……そこは自分でしないんだ。
「……大富豪っていうゲームなんだけど――」
「……分かりました」
「まぁ、やってるうちに憶えるだろ。じゃあ、カード配るよ」
適当に切って、配り終えた。
「……うわぁ。微妙だな」
……俺もこれは勝てる自信はないな。
カードが偏ったか……。
ガレスから順に出し始めた。
「いきなり三枚か……。じゃあ、私は――」
「……パス」
「俺もパスだな」
「では私は、Kを三枚」
一周目でKを三枚か。
ノアは良いカードを多く持ってそうだな。
「革命」
……。
……なるほど。一気に手札を掃き出す気か?
「「「「パス」」」」
「革命返し。……上がりです」
「えっ、ノア、いま持ってたカード全部出し切ったの?! まじかよ!」
「初めてなのに、最初の手札を一人で綺麗に流し切ったのか……?」
「はい。皆様の出すカードや手札の枚数を考えていたら、上手くかみ合いました」
「初めてでトップ抜けとかマジかよ……!」
「……まぁ、ルールは分かったし、次こそは勝てるだろ」
「ノア、初めてなのにすごかったね」
「ありがとうございます。皆さまの出すカードを見ていると、なんとなく分かってきました」
「なんとなくで一位になれるのかよ!」
「……ガレスは、もう少し考えてカードを出した方がいいんじゃないか?」
「フィンまで言うのかよ!」
……。
残ったメンバーでそのままゲームを続ける。
「……上がりだ」
「えっ、マティアス、いつのまに!?」
俺も残りのカードを出していく。
「上がり」
「フィンもかよ!」
「あと、私とガレスだけだね」
「まぁ、確実に勝てるカードを俺は持ってるけどな!」
そういうと――
「上がりだ!」
「……ガレス。それは出来ないルールだな。だからウィルが四位だ」
「はぁ?! なんでだよ!」
「最後に二を出したらだめなんだよ」
「いやいや、そんなルール聞いてないんだけど!」
「……言うのを忘れてたみたいだ」
「はぁ――……」
そういえば、二上り禁止がローカルルールって知った時は、ちょっとびっくりした覚えがあるな。
「では、私は仕事に戻りますね」
「あぁ。また時間があったら一緒にやろう」
「はい。失礼します」
ノアはそう言って応接を出ていった。
「よし! もっかいやろうぜ!」
