侯爵家三男は快適に暮らしたい。〜前世の知識で異世界魔導具づくり〜



……。

……疲れた。

当分はもう遠乗りに行くのはやめよう。
昔みたいに若くないし。

「フィン、運動不足すぎだろ」

「……ガレスはともかく、ウィルとマティアスもなんでそんなに元気なんだ」

「俺はともかくってどういう意味だよ!」

「……ガレスは昔から体力有り余ってるだろ」

「いや、俺も疲れてるし!」

「私も久しぶりだったから、ちょっと疲れたかな。でも今夜はゆっくり眠れそうだ」

「だが、明日、筋肉痛になっていそうな気がするな」

……分かる!
やっぱり馬車で行くべきだったんだよ。

「でも楽しかったね。こんなに遊べたのは学園を卒業して以来だよ」

「だよなぁ。何だかんだ忙しかったし」

「そうだな。それぞれ、仕事が違うから休みも合わないしな」

……俺は結構自由にやってる。

「来年もローゼン侯爵家で避暑しようぜ!」

「……それは……どうかな」

「え?なんで?」

「秋には婚約者候補が決まるだろ? そうなると来年の夏は婚約者を優先することになるだろうからね。もちろん、私だけじゃなくてみんなもだよ」

「「「……」」」

……遠い目をするってこういうことだろうな。

まぁ、来年のことは来年考えればいい。


俺たちは夕食を食べるため、食堂へ向かった。


食堂に行くと、すでに夕食が用意されていた。

今日の夕食はステーキか。
香草を混ぜたバターがすごくいい香りだな。疲れて、いつもより食欲が湧いてなかったけど、空腹なのを自覚してきた。

「美味しそうだね」

「香草のいい香りだ」

「……っ、美味い。 疲れた体に染みるな!」

これは白ワインに合うな。
バターでこってりかと思ったけど、全然重くない。
……赤身って、こんなに美味かったっけ?

あ。

焼肉食べたいな……。

……。

この世界に七輪なんてものは無いし。
網だけ用意出来れば……?卓上のガスコンロみたいなのがあれば、手軽に出来そうだけど。
……いや、ホットプレートの方が。

……ホットプレートだったら、魔導具に再現出来そうな気もするな。

大きさ的にも細かい作業はそれほど必要なさそうだし。
艶髪《グロウ》のプレート部分を元に考えたら、案外簡単なんじゃないか?

……。

……作ってみようかな。
焼肉もたべたいし。


食事を終え、俺たちは応接へ移動した。


「今日は軽く飲んで休もうか」

「そうだな。久しぶりにいい疲れ方が出来たからな」

「じゃあ、一戦だけなにかしようぜ!」

「そうだね。何がいい?私はなんでもいいよ」

「大富豪がいい!ルールもなんとなく分かってきたし」

……それなら――

「じゃあ、今日は新しいルールを一つ追加してみる?」

「えっ?まだあるのかよ! 八切りと革命を覚えたばっかりなのに!」

「地域によって、ルールに違いもあったみたい。俺が知ってるのはごく一部のルールだと思う」

「へぇ。……簡単なルールだよな?」

「あぁ。例えば……同じ記号で三、四、五のカードを出せるルールだ。階段って呼んでた。次の人は六以降の階段を作って出す感じだ」

「なるほど。二枚はだめということか?」

「そうだな。俺が知ってるルールでは三枚以上なら、続いていれば何枚でも出せた」

「じゃあ、ここでのルールもそれにならおうか」

適当にカードを切り、配り終えた。

……階段のルールを追加したものの、揃ってないな。

「じゃあ、俺から! 五を二枚」

「では私は六を二枚」

「私は八――……いや、九を二枚」

……マティアス、八切りの使いどころを考えたのか。
まぁ、俺でも序盤で八切りはもったいないって思うけど。

「……十を二枚」

「えーっと、Qを二枚!」

「Kを二枚かな」

「Aを二枚だ」

「……パス」

「俺もパス!」

「私もパス」

ここでみんながパスか。……カードの偏りはなさそうか?

「では、私からだな」

マティアスが出したのは、同じ記号の五、六、七。

「おお! それが階段か!」

「あぁ。同じ記号で揃ってたから出してみたかったんだ」

……だから、最初から強気のA二枚か。

「……パス」

「俺もパス」

「私は……八、九、十。これでどうだろう」

「あ、それも八切りになる。 だから、次はウィルからだな」

「へぇ。階段でも八切りが使えるんだね。 そうなると、ここで八を出すのはもったいなかったのかな」

……持ってるカードにもよるけど、八ありきの階段は場合によって、俺ならしない時もあるな。

「さて、次はどれを出そう。……これかな」

ウィルがカードを出す。

「じゃあ、私は――」

「……パス」

「よし、これでどうだ!」

その後も何度かカードを出していき、気づけば手札がかなり減っていた。

「……あ、上がり」

「またフィンかよ!」

「今回はマティアスが1番先に上がりそうだったのにね」

「……あそこで二枚出してくるとは思わなかった」


勝ち逃げって気分がいいよな。