侯爵家三男は快適に暮らしたい。〜前世の知識で異世界魔導具づくり〜




「ババ抜き……?とは、どういったゲームなのかい?」

「この白紙のカード……仮に魔王と呼ぼうか」

「魔王?」

「うん。前世ではジョーカーって呼ばれてたんだけど、こっちの世界で通じないと思ったから、魔王って呼ぼうかなって」

「魔王って、絵本に出てくるようなやつだよな?」

「そう。 結構重要な役でしょ?魔王って」

「……まあ、確かに?」

「……それにしても大層なネーミングだな」

「前世だと、このカードに絵が描いてあったんだけど、絵心ないから描くのやめたんだ。もし、販売されるようになれば、魔王が描かれるかもね」

「へぇ」

「とりあえず、ババ抜きは魔王のカードを一枚だけ使う」

適当にカードを切って、みんなに配っていく。

「配ったカードは他の人に見えないようにして、まず、同じ数字のカードが二枚あったら――」

説明しながら、俺も揃っているカードを捨てていく。

……魔王は俺か。

……時計回りに進むようにするなら、隣はガレスだから、魔王を引かせやすいか。

「じゃあ、時計回りでいいか? 隣の人のカードを順に引いていって、揃ったら、さっきみたいに捨てていく。最後までカードが残った人の負けというゲームだ」

「なるほど。結構分かりやすいゲームだね」

「じゃあ! 俺から! ……フィンのを引けばいいんだよな? どれにしよう……これだ!……あ!」

……まさか一発で引くとは。

「ちなみに、最後に残るカードが魔王だ」

「え?!」

「……もしかして、魔王をガレスが引いたのか?」

「それって言わない方がいいゲームなんじゃないかな?」

「まぁ、言わない方がいいな」

……ガレスの反応でバレバレだけど。


「次は私だね。……これかな。……揃わなかった」

「では……。……私も揃わなかった」

……。

……あ。揃った。


その後もカードを引いていったが、なかなか魔王は動かなかった。


……ガレスが静かすぎるな。

「……まだ魔王持ってるの?」

「……! さあな!」

……分かりやすい。


その後、ようやくガレスの手元から魔王が離れた。

……ウィルがわざと魔王を取ったか。

……まさか。

……。

「……はぁ?! なんでだよ!」

……魔王はガレスの元へ戻った。

せっかく魔王を回したのに、あっさりとガレスが引き抜いたのが悪い。

「……上がり」

「えっ?!もう?」

「私も上がりだ」

「マティアスまで?! ということは、俺の魔王をウィルが引いて、俺がウィルのカードを引けば上がれるってことか!」

「……じゃあ、これかな……。よし、上がりだ」

「……なんでこんなあっさり」

「ガレスは表情に出やすいからね」

……ガレスにババ抜きは向いてなかったみたいだ。


「もう一つやりたいゲームがあるんだけど、する?」

「フィンがやりたいって言うってことは、面白いんだね?」

「……まぁ、前世ではよくやってたかも」

「二つのゲームより難易度が上がりそうだな。楽しそうだ」

「……俺もやる! 次のゲームでは顔に出さないようにする!」

……大富豪って、顔に出さない方がいいゲームだっけ?


「大富豪っていうゲームで、基本は手札を早くなくした人が勝ち」

「じゃあ、ババ抜きと同じで、カードをなくしていけばいいんだね」

「そう。ただ、相手が出したカードより強いカードを出さないといけない」

「強いっていうのは?」

「数字が大きい方。三より四、四より五って感じで、二が一番強い。魔王は別として……この辺は最初に覚えておけばいいかな」

「なるほど」

「あと、同じ数字を二枚持ってたら、二枚まとめて出すこともできる」

「へぇ。じゃあ、三枚なら三枚まとめて?」

「そうそう」

……まぁ、細かいルールは色々あったけど、最初はこれくらいでいいか。

「とりあえずやってみようか。 じゃあ、三を一枚」

「えっと……五」

「じゃあ、私は六かな」

「……七。こんなに数字を刻んでいいんだよな?」

「うん。場に出ているカードより強ければ、何を出してもいい。早く上がれれば勝ちだから」

……。

「……え?」

「どうした?」

「今の、なんだ?」

「八切り。八を出すと、場が流れてもう一回俺から出せる」

「そんなルールがあるのか!」

「うん。 じゃあ、四を二枚」

「二枚か……。 六を二枚!」

「……九を二枚かな」

「……このJが十一と言う意味だったよな? じゃあ、Jを二枚だ」

……さて、どうしようかな。
Q……いや、Kのほうがいいか……。

「K二枚」

「……A二枚――」

「ちなみに、戦略としてパスも使える」

「パス!!」

「……出さなくていいのか?」

「あぁ。今回はパスにしとく!」

「……じゃあ、私もパスかな」

「俺もパスだ。 ある程度強いカードは持っておいた方が良さそうだ。だろ?」

「そうだね。今のところは」

「今のところ?」