侯爵家三男は快適に暮らしたい。〜前世の知識で異世界魔導具づくり〜



「これがゲームで使うカードなんだけど――」

前世で遊んでたトランプを元に、数字と記号を書いた54枚のカードを用意したけど、地味に大変だった。
途中からめんどくさくなってきて、記号が雑になったのは仕方ない。

「数字と、四種類の記号があるんだ。数字は二から十まで。それ以外にA、J、Q、Kがあって――」

……軽くカードの説明だけして、ゲームしながら覚えて行く方がいいよな。

「Aは一として扱うことが多い。 で、この白紙のカードが――」

……ジョーカーって呼んでたんだけど、こっちじゃ通じないよな。

「これは特別なカード。ゲームによって使い方が違う」

「……なるほど?」

「なんとなく分かったよ」

「色が赤と黒なのも、ゲームに関係しているのか?」

「うん、これもゲームによって使い方が変わってくる。とりあえず、簡単なのからやってみようか」

とりあえず、カードを適当に切って、テーブルの上に裏返しに並べていく。

……よし。

「まずは、俺からするか。二枚カードをひっくり返す。……数字が違うから、また裏返す。 次は誰がやる?」

「え、じゃあ俺が……。違う数字が出たから、戻すんだよな?」

「うん。次は――」

「では、私が……。 私も違う数字だね」

「次は私が。……あ。三が揃った」

「揃ったカードを取って、また二枚目ひっくり返して」

「分かった。……あ!さっきガレスが同じ数字をひっくり返していたのに!」

「そう。このゲームは記憶力を試すゲームでもある。 だから、誰かがひっくり返したカードの数字を覚えておく必要があるんだ。 それで、カードを多く取った人が勝ち」

「なるほどな! 俺、記憶力はいい方だから、勝てそうだ!」

「記憶力か……。これ、順番も大事になってくるよね」

「確かに。 今の順番だと私が有利なのか」

三人の理解が早くて助かる。

「じゃあ、次は俺だな」

……さっきマティアスがひっくり返したカードと、ガレスがひっくり返したカードを――

……よし。
間違えて隣のカードをひっくり返すところだったけど、揃って良かった。

「あ! それ、俺が狙ってたのに!」

「さっき、ウィルが言ってたけど、順番も大事だから。 揃ったから、もう一回、俺の番だな」

……。

……さすがにまだ揃えるのは難しいな。

「よし!次は俺の番だ!……あぁ!五と六かよ!」

「……あ。揃った。次は……ここかな。 ……あ」

「ウィルのおかげで……ここだな!よし。……ここと、ここだ。 違うか」

「残念」

「くそー……」

その後も何度かカードをめくっていく。

「あ、ここだ」

「また揃ったのか……」

「マティ、強くない?」

「なんとなく覚えてはいるが、たまたまだな」

……俺も、最初に見たカードはだいぶ覚えてるけど、やっぱり順番大事だな。

「……あ。ここ」

「また?」

「よし、揃った」

「マティばっかり取ってないか?」

「そんなことない。フィンも結構取っているだろ」

……今のところ二番目くらいか。

そうしてゲームを続けているうちに、テーブルの上のカードも少しずつ減っていった。


「……よし。最後のカードを……」

マティアスが残りのカードをひっくり返して、ゲームが終わった。


「あぁ! もう少しで勝てそうだったのに! 最後ウィルが九をひっくり返したから!」

「あれはしょうがないだろう。 残りが少なくなってきた時に、フィンがいきなりカードを混ぜ始めたんだから」

……カードが少なくなったら、前世では混ぜてたから、つい……。

「……悪い。 前世では残りが少なくなってきたら、混ぜてたんだよ。 言うの忘れてた」

「なるほど。確かにそれだと、最後まで誰が勝てるかわからないね」

「でも、マティばっかり取ってたじゃん」

「たまたまだよ」

「じゃあ、次は俺が勝てるゲームにしようぜ!」

「……そんな都合のいいゲームはないと思うけど」

「あるよ。ババ抜きっていうゲーム」

「それ、俺が勝てそうなやつなの?」

「さあ?」

「なんだそれ! 適当だな!」

「まぁ、やってみれば分かるよ」


……あ。

ジョーカーじゃなくて、魔王にするか?
……この世界に魔王がいるって聞いたことないけど。