侯爵家三男は快適に暮らしたい。〜前世の知識で異世界魔導具づくり〜



……あ。

「そういえば、忘れるところだったんだけど、もう一つゲームを用意してたんだ」

「え、そうなのか! どんなゲームだ? リバーシみたいなやつか?」

「カードゲームなんだけど。 夕食の後にでもカードで遊ばない?」

「いいな!」

「私も興味がある。ぜひ、やろう!」

「あぁ。私も楽しみだ」

せっかくカードを作ったのに、使わず終わるところだった。 危ない。

……でも、何からするべきか迷うよな。
一番簡単なゲームだと、神経衰弱あたりか? 七並べも分かりやすい。ババ抜きもルールは簡単だし。

俺的には大富豪が好きだったけど、あれ、人によってルールが違ったりしたけど、地域性とかあったんだろうか?
まぁ、大富豪に関しては、最初は簡単な縛りだけにして、ゲームするのもありなだな。
この三人なら、すぐにルールを覚えるだろうし。

「カードで色んなゲームが出来るから、あとでルールとかも教える」

「へぇ。色んなゲームが出来るのか! じゃあ、残りの二日は色々遊べるな!」

「それぞれルールがあるだろうから、二日で覚えるのは大変そうだね」

「フィンのことだ。最初は簡単なものから始めるだろう?」

「うん。そのつもり。三人ならすぐに覚えられると思う。それに、俺が教えられるゲームは簡単なものしか知らないし」

ストレート!とか、ロイヤルフラッシュ!とか……ブラックジャックだっけ……? 未だにルールを分かってないゲームもあるし。


そんな話をしているうちに、夕食の時間になったから、みんなで食堂へ移動した。

食堂へ向かうと、すでに料理が並べられていた。


今日の夕食は白身魚のムニエルと、夏野菜のソテーに自家製ソーセージ、あとスープか。
バジルを混ぜたソーセージ、前世の時から好きなんだよなぁ。ビールに良く合うし。

……これはビールを持ってきてもらうべきだな。

「ソーセージがあるから、ビールを飲みたいんだけど、みんなはどうする?」

「じゃあ、俺もビール!」

「そうだね。私もビールを飲もかな」

「では、私もビールを。 この白ワインは食前酒代わりに飲もう」

ほどなくして、ビールが運ばれてきた。


「……! 美味い! ビールが進む!」

「本当だね。 バジルの香りも良い。 それに肉汁がすごいね」

「なのに、クドくないというか……。夏の食欲が落ちる時でも食べやすいな」

このソーセージを作る時、料理長にこだわってもらったんだよなぁ。前世で好きだった味に近づけてもらうのに、何回も食材の配合を変えて。
その時はソーセージの試食をし過ぎて、当分食べたくなかったけど。


「あと二日でこの快適な休みが終わるのか……」

「ガレスがフィンみたいなこと言ってる」

「三人は一週間くらい休みだったのだろう? まだいい方じゃないか」

「あぁ……マティは三日だもんなぁ。 文官は大変なんだな」

「宰相府が、特別忙しいんだよ。 他はみんな最低でも一週間くらいは、休みを取れているはずだよ」

「……やはり財務が良かったな」

……父親が宰相って、大変なんだな。
いや、マティアスの場合は兄が魔導師だからか。

「ていうか、久しぶりに遠乗りに行かないか? 街を出て少ししたところに綺麗な川があるだろ?子供の頃によく行ってた」

……え?

暑いのに、わざわざ馬に乗って……?

「いいね。 ここ数日、屋敷でゆっくりしていたから、運動がてら馬に乗るのも」

「そうだな。 私も最近、運動不足だったからちょうどいい」

……なんで二人も乗り気なのか。

「フィンもここ数日、作業部屋にこもってるから、そろそろ出てきた方がいいと思うぞ?」

「……」

……いや、でも――

「……暑くない?」

「フィンが作った扇涼《ヴェント》持ってる!」

「私も持ってきているよ」

「私もだ」

「……」

「よし! 決まりだな! 行くなら明日がいいよな? 明後日だと、次の日から仕事だから前日はゆっくりしたいし」

「そうだね」

「私も明日でいいと思う」

……料理長にサンドイッチでも頼んでおくか。


食事を終え、食後のお茶を軽く済ませて、応接室へ再び戻った。


……さて。

どのゲームから始めようかな。



あ。

ストレートとか、フラッシュって……

……ポーカーだった。