侯爵家三男は快適に暮らしたい。〜前世の知識で異世界魔導具づくり〜



疲れたから、なにか甘いものが食べたい……。

……夕食までまだ少し時間があるし。


あ。

……そういえば、まだノアが休暇中だった。

直接、厨房にいくか。


「おや? フィン様、どうかされましたか?」

「うん。ちょっと甘いものが食べたくなってね。 クリームを乗せたパンケーキ、作ってくれないかなって思って」

「分かりました。 夕食前なので、小さいのを二枚くらいにしときましょうか」

「そうだね」

「他の方々にはどうされますか?」

「一応みんなの分も作ってもらおうかな」

「かしこまりました」

料理長がパンケーキの準備を始める。

俺はその様子を、ぼぉーっと眺めていた。

……甘いもの、まだかな。

そういえば、この世界にプリンとかショートケーキってないよな。……ショートケーキ好きだったんだけどなぁ。
……作り方を知らない。

誰か、ショートケーキを作ってくれる人が出てこないかな……。

とりあえず、プリンは出来そうなきがするから、今度作ってもらおう。

……。

クリームを作るのって大変なんだな。

……泡立て器を魔導具化するのもいいかも。
回転させればいいだけだから、髭剃り型魔導具を作るより簡単そうだ。 持ち手部分に起動停止のスイッチと魔核を付けるとしても、重さもほとんど変わらないし。
今後もお菓子を作ってもらうなら、魔導具化したら楽になるよな……。

……洗う必要があるから、先端を取り外し出来るようにする方がいいのか。わざわざ洗浄機能まで付ける必要もないだろうし。
髭剃り型魔導具の場合は、部品が細かいから、分解しても洗えるし、洗浄機能で綺麗にもできるようにしたけど。

……髭剃り型魔導具を思いつく前に、泡立て器の魔導具化を先に思いついていれば、もっと早く仕上げることが出来た気がする……。

そんなことを考えていると――


「お待たせしました」

「おぉ!美味そう」

「フィン様。皆さま、応接室にいらっしゃいますが、そちらで召しあがられますか?」

横から声がかかった。

「そうだな。 みんなの分のお茶も用意してくれ」

「かしこまりました」


応接室に入ると、三人がテーブルを囲んでいた。
……リバーシか。

「みんな、ちょっと休憩しない? パンケーキを用意したんだけど」

「お!いいな!」

「これくらいの大きさはありがたいね」

「そうだな。夕食前に食べるには、ちょうど良さそうだ」

使用人がパンケーキとお茶を並べ終え、下がった。

「美味い! ふわふわだな」

「このクリーム、甘すぎなくて食べやすい」

「パンケーキとは、こんなに美味しいものだったか?」

……あぁ。
……疲れが癒されていく。

甘いものは正義だな。

……。

……ゆっくり堪能していたつもりだったが、もう食べ終えてしまった。 三枚の方がよかったか?……いや、さすがに夕食に響きそうだな。


「そういえば、いつから集まってリバーシしてたんだ?」

「俺が最初に応接室にきて、一人でリバーシしてたら途中でマティが来た」

「少し昼寝をしてから、こちらに来てみたらガレスがリバーシをしていたので、私もリバーシを」

「私はさっき、仕事が一段落してね。来てみたら二人が白熱していて、面白かったよ」

……ガレスが奮闘していたのだろうか。
それとも、全敗していて面白かったのか?

「また一勝しか出来なかった!」

「え、一勝出来たのか?」

「……フィンは俺が勝てると思ってないんだな!」

……。

「フィンは魔導具を作っていたのだろう?」

「……あぁ。 ようやく完成した。また試してみてくれ」

「じゃあ、明日の朝、またフィンの部屋に集合だな!」

「そうだね。試作品でも十分良かったけど、もっと改良したんだよね?楽しみだ」

「……ちょっと待て。 フィン、まさか……ウィルに魔導具の使い心地を試させたのか?」

「え、そうだけど?」

「……試作品を?」

「うん。 え、なに?」

「ウィルは仮にも、第二王子殿下だぞ。 試作品を試させるとは……。 フィンが魔導具を作る際、安全性を重視しているのは分かってはいるが、さすがにどうかと思うぞ」

「……確かに」

「学園時代から、試作品を試していたけどね」

「……え?」

「私が魔導具研究会に出入りしていたのは知っているだろう? その時から試作品を試していたんだよ。 もちろん、先にフィンが試してからだけどね」

「あぁ! マティアスは俺の勉強に付き合ってくれてたから、魔導具研究会の方に行くこと少なかったから、知らなかったんだな!」

「……そんな前から」

「今回に限って、俺、ちょっと考え無しだったかもな。刃を使った魔導具だし……」

「刃?! 何を作ったんだ!」

「え、髭剃り型の魔導具だけど……」

「……髭剃り?」

「うん」

「……危険なものではないのだな?」

「そうだけど。 安全性も考えて、保護板に水属性も組み込んだし」

「俺も試してみたけど、剃り残しもなくて、いい感じだったぞ」

「私も完成したら、自分用が欲しいって思ってるよ。 あれは使い心地が良かったからね。 それを更に改良したのだろう? 使うのが楽しみだ」

「……」