侯爵家三男は快適に暮らしたい。〜前世の知識で異世界魔導具づくり〜



……風魔法を組み込んでみたけど、回らない。

そりゃそうか。
回転するための軸を忘れてたんだから。

……土台と同じ魔導金属で作るか。
そうなると、土台に軸を差し込む形がいいだろう。……先に土台側に軸を挿す穴を開けるべきだな。

先ほど作った土台に魔力を纏わせ、穴を開けていく。
念のため、気持ち小さめがいいか。軸を作って挿した時に穴が合わないとなれば、土台を作り直さなきゃいけないし。

……こんなものかな。
続けて五つ、同じように穴を作る。

次は軸になる魔導金属をカットし、細い棒状に形成していく。
土台に差し込む部分と、刃を取り付ける部分を少し太くして……。よし。これなら土台にしっかりはまるだろう。

……ちょっときついか。
でもはめる時以外はしっかりと固定してる方がいいし……。あ。でも取り外して洗浄したり、部品交換を想定するなら、これだと取り外しが不便になるか。……外せるようにしておかないと、後が面倒だよな。

そうなると……爪みたいな突起で着脱可能にするのが使いやすいよな。 だけど、それを作るとなるとバネのようなものが必要になる……と、思う。……あの仕組みがいまいち分からないんだよなぁ。

どう魔導具に再現していくべきか……。

こんな時、チートだったらすぐに思い付くんだろうな……。なんで俺は異世界に転生してまで、平凡なんだ?

……バネだと、また作るの大変だしなぁ。
他で似たようなことを再現するには……磁石? 無属性魔法を組み込んで、起動停止を着脱のスイッチにするとか?

外す時に起動して、磁石が反発するような仕組みにすれば……いけるか?


とりあえずやってみるか。

土台と軸に無属性魔法を組み込んでいく。
魔力を流しながら、滞りがないように細かく調整。……結局ここでも細かい作業が必要になるけど、仕方ない。

……よし。

……! おぉ!いい感じにできた!

あの懐かしいような、磁石がくっ付いた時のような感覚と、反発した時のような感覚……楽しい!

簡単な仕組みだし、これなら最初に試作した髭剃り型魔導具と同じ大きさの魔核で十分そうだな。
髭剃り自体を動かすのにも使うし、土台と軸の着脱にも使うことになるけど、これなら問題なさそうだ。

まぁ、消費量が多少多くなって、魔核の交換が必要になるなら、それはそれでアレク叔父さんが喜びそうだ。


次は……刃を取り付けて……あ。保護板に水属性を組み込むのが先だな。

……。

よし。組み込みはこれで大丈夫そうだ。

はぁ……。やっと組み立てられる。

……。

魔力を流し、動作確認。

うん。見た感じは問題なさそうだな。
とりあえず試しに剃ってみるか……どこを剃ろう。

試作品で腕と顎は試して、今毛がないし……。足で試すか。

……。

……いい感じだ。 引っかかりのようなものも感じられないし、肌を傷めることなく、深剃りも出来てるな。


……洗浄機能を付けるの忘れてた。

……なんか、今回、色々忘れてることが多いな。 一応、避暑中なのに疲れが溜まってるみたいだ。

洗浄機能用に風属性と水属性を組み込むのはいいけど……これ、部品を全部外してからか?

……いや、ヘッド部分だけで外せば大丈夫そうだな。

……。

前回の試作品の時より、組み込めるスペースがあるけど、細かいことには変わりないな……。

……よし。
洗浄機能も問題ない。

あとは、本体自体の起動停止か。

その前に起動停止用と、洗浄機能用にスイッチを……。

……。

ここに無属性を組み込んで……。

……。

……出来たぁ。

疲れたぁ……。

とりあえず、もう一度足で試すか。……これで問題なければいいけど、次に問題が見つかったら、もう剃るところがなくなるな。

……。

剃る分には問題ないな。あとは洗浄機能……よし。これも大丈夫だ。


……やっと終わった。