侯爵家三男は快適に暮らしたい。〜前世の知識で異世界魔導具づくり〜



「あ、二人も起きてきたんだ?」

昼食のため食堂へ行くと、ガレスとマティアス、ウィルが席に着いていた。

「あぁ。 俺はさっき起きたところだ」

「私も、ゆっくり寝させてもらった。 せっかくの朝食を少ししか食べられなかったのが悔しいが」

……やっぱり食事目当てだった。


食事が運ばれ、使用人は下がった。


「お、美味そう!」

昼食のメニューは天ざるうどんだ。 ローゼン家では、二日酔いの定番メニューと化している。

……まぁ、父さんが二日酔いでも、昼食は食べたい人だからこのメニューが定着したんだけど。 普通の人だったら重めのメニューかもな。

……いや、この三人は食事目当てで来ているから、余裕で食べそうだな。

「ローゼン家の天ぷらって、なんでこんなに軽いんだろうね。 王城で作って貰ったことあるんだけど、天ぷらと言うより海老フライみたいになったことがあったんだ。まぁ、海老フライも好きだけど」

子供の頃に海老フライをローゼン家で出した時、ウィルが目をキラキラさせて喜んでいた。

……あの時は、すごく王子様っぽく見えたな。

まぁ、本物の王子様なんだけど。

「分かる。我が家でも再現してもらった事があるが、料理長曰く天ぷらは簡単そうに見えて難しいらしい」

クローデン侯爵家でも、天ぷらを作っていたのか。
まぁ、天ぷら美味いもんなぁ。

……椎茸ってこの世界にないのかな。

椎茸の天ぷらが食べたい。

この世界が中世ヨーロッパみたいな感じだから、きのこ類は難しいとかあるんだろうか。

でも、前世の記憶持ちに食事関係に特化した人がいたから、もしかしたら……――


「これからレイグレン家でも、二日酔いには冷たいうどんを出してもらおうかな」

「うどんはアレンジも色々できるから、ローゼン家では昼食によく出てくるよ」

「さっと食べたい時にもいいよね。 夜食にお願いする事がたまにあるんだ」

……王城の料理人は、夜中にも働かされているのか?

……大変だな。

さすがに、交代制だと思うが。


そんな話をしながら食事を終えた。


「食べすぎたぁ」

……ガレスは二日酔いとは思えない食欲だったな。

食後のお茶を一口。

……うん。落ち着く。

「午後、どうする?」

「そうだなぁ、俺はもう少し部屋で休もうかな」

「なら、私も部屋でゆっくり過ごそう。久しぶりに時間を気にせず、のんびり過ごせそうだ」

「俺は、魔導具造りの続きだな」

「そうか。それなら、私は少し仕事をしようかな」

「え、ウィル。仕事を持ってきていたのか?!」

「あぁ。持ち出し可能なやつがあってね。 そこまで急ぎではないのだけど、避暑が終わると、また忙しくなるから少しでも進めようと思って」

……休みなのに仕事をするのか。 大変だな。


それぞれ、部屋へ戻った。


……さて。

どこまでやったっけ?

……部品が揃ったところだったか。
じゃあ、次は組み立て…… いや。刃をセットする土台に、風魔法を組み込むのが先か。

……土台を作るの忘れてた。

それぞれの刃を回転させるから、強度がある方がいいか。 そうなると……魔導金属だな。加工もしやすいし、魔法陣の組み込みもしやすい。

ただ、残りが少なかった気が……

棚を見ると――

あ、良かった。これだけあれば十分だ。
そもそも土台自体、小さいしな。

刃が2cmくらいだから、土台は一回り大きいくらいでいいよな。

魔導金属をカットして、魔力を纏わせ形成していく。
刃を取り付けられるように、溝もいるよな……これをあと五つか……。細すぎる。

無心で土台を作り、一息ついた。

とりあえず、細かい作業は終わった。髭剃り型魔導具を作り終えたら、しばらくは細かい作業のいらない魔導具を考えようかな。


……よし。

次は土台に風魔法の組み込みだが……これも細かいの忘れてた。


……次は大きいものも作りたいな。