侯爵家三男は快適に暮らしたい。〜前世の知識で異世界魔導具づくり〜



とりあえず、次は回転式の髭剃りを再現してみるか。

……でも、前世で実際に使ったことないんだよなぁ。
刃の部分が丸くて、それが三つくらいあって、それぞれ動いてたような……そのくらいしか覚えてない。

……再現というより、魔改造になりそう。

とりあえず、持ち手部分はさっき作った髭剃り型魔導具と同じサイズを一つと、女性でも持ちやすいサイズを作るか。

薄型鉄板に魔力を纏わせ、楕円形に形成していく。

……よし。

男性向けの持ち手はこれでいい。 女性向けの持ち手は、これのふた周り細めくらいで作ってみるか。
あとで使用人に試してもらおう。

次は持ち手部分に魔導回路を描き、魔力を流しながら調整していく。

ここまでは、さっき作った髭剃り型魔導具と同じだから、スムーズだ。
問題はここから。

……扇風機みたいに、外側に保護板を付けて、その内側で刃を回転させるイメージなんだけど……。
違う気もするが、試してみるか。

まずは、保護板からだな。
大きさは……直径3cm……は大きすぎるか。 なら、直径2cmくらいだな。

薄鋼板を2cm角にカットし、魔力を纏わせ、円形に形成していく。

……小さい上に丸いから、溝部分を形成するの大変だな。 これなら魔力で形成していくより、ある程度溝部分を削ってから、形成していく方がいいのかもしれないな。

細工用の魔導針ヤスリを取り出し、薄鋼板の表面に三重の円状の溝を削っていく。
ある程度形が出来たところで、魔力を纏わせ、細かな部分を整える。

……こんなものかな。

……これを後五個か。
弟子でもいれば任せるのに。

……

……。

……出来た。
もう保護板は当分、作りたくないな。

次は刃だけど……刃を一枚ずつ作って取り付けるか、刃鋼を筒状にして、そこから刃を形成していくか……。
筒状から形成していく方がいいか。刃鋼をカットして、一枚一枚刃を作る方が大変そうだな。

ただでさえ、保護板の形成で細かい作業が続くのに……。

刃鋼に魔力を纏わせ、筒状に形成していく。

……よし。
ここから余分な部分を削って、刃の形にしていくか。

……
……あれ?

どっちみち、細かい作業が続くな……。

……

……よし。こんなものかな。

……これの切れ味をどう試したらいいんだ?
まだ取り付けも出来ないし、これだけで試しても意味がないよな……。

とりあえず一旦全部の部品を作って、組み立ててから試そうか。
刃の調整は最後だな。

じゃあ次は、刃を取り付ける土台部分だ。
刃を取り外し出来るように作るべきか迷うな……。取り外しが出来れば、刃の交換だけすれば、長く使えるし、外して洗うことも出来る。
でも、洗浄機能を付ける予定だから、洗うことに関しては必要ない。

……髭剃りの魔導具は、ヘッド部分を取り外し出来るように作ったから、こっちもヘッド部分自体を取り外し出来るようにすべきか。

……いっその事、ヘッド部分と刃の部分、両方取り外せるようにしたら、アレク叔父さんは喜びそうな気がする。 「その分儲けられる!」って……。

ヘッド部分は薄鋼板で作っていく。

保護板が三つ収まる大きさにカットし、魔力を纏わせ、形成する。
……側面はなるべく、なめらかになるようにした方がいいよな。もし肌に当たった時のことを考えると、少しでも安全な方がいい。

……よし。
次は魔導回路を描いていく。

……はぁ。これもまた細かい作業だな。

細かく調整しながら描き終えた。


細かい作業ばかりで疲れたな。
一度休憩を入れるか……。

いつもの、頭がスッキリするお茶を入れ、一息つく。

魔導時計を見ると、もう夕方に差し掛かっていた。

……あ。
マティアスが今日くるんだったな。

なら、今日の作業はここまでで一旦やめておくか。

お茶を飲み終え、応接室に向かった。

「やっぱりまだやってたんだ」

「おぉ!フィン! ウィルから一勝を取ったぞ!」

「……」

……一勝しか出来てないのか。

「魔導具が完成したのかい?」

「いや、まだ途中。細かい作業が多くて疲れたから休憩してたんだけど、そろそろマティアスが来るんじゃないかと思って、こっちに来たんだ」

「え?もうそんな時間なのか!」

「飲みながらリバーシしてたからか、時間の感覚なくなってたね」

「フィンも飲もうぜ!」

「……夕食前だから、少しだけ」


それからしばらくして――



コンコン

「失礼いたします。マティアス様がご到着されました」